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経営者意識を持つために営業から経理にジョブチェンジ~新卒入社12年目のリアル

オールアバウトの成長や変革に寄与した人物にお話を伺い、仕事に対する価値観や取り組みの詳細を深堀りしていく「プレイヤーズ」。今回は、自ら志願して営業から経理へジョブチェンジしたという、新卒一期生の中でも一風変わったキャリアパスを経てきた、経営企画グループの吉岡雅英さんをご紹介します。

吉岡 雅英(よしおか まさひで)
株式会社オールアバウト 経営管理部 経営企画グループマネジャー

2006年3月に慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、新卒1期生として株式会社オールアバウトへ入社。 広告営業、商品開発などを経験した後、2009年10月に全社統括部(現 経営管理部)へ異動。 経営管理部 経理グループマネジャーを経て、2017年7月より現職。2017年4月より早稲田大学大学院 経営管理研究科に在学中。

■営業で学んだスキルは経理でも活かせる

—2006年に新卒一期生として入社されましたが、就職活動の際にオールアバウトを選んだ理由は何でしたか?

就職活動中に総合情報サイト「All About」内の“大学生の就職活動”というガイドサイトを参考にしていたのと、業績が急拡大していることに魅力を感じたのが興味を持ったきっかけです。 当時、ちょうどインターネットが世の中にインパクトを与え始めていた頃だったのも大きいですね。
実際に会社説明会で代表の江幡さんの話を聞いて、「システムではなく、人間。」という会社の理念に強く共感しました。専門知識や得意分野を持つ人がそれぞれの知識や経験を世の中に広げていくことに関わり、世の中の役に立ちたいと思い、入社を決めました。

—入社してからは、どのようなお仕事をされていましたか?

営業部に配属されて、2年半ほど営業に従事していました。当時、インターネット広告はリスティングやリターゲティングなど獲得系のニーズが強く、オールアバウトが得意とする記事型のタイアップ広告は提案から受注に至るまでの時間がかかることも多かったので、正直、営業活動の成果が数字として出るまでは、辛いと思うことはありましたね。ただ、そういった状況下でも、営業活動は「量×質×タイミング」だと考え、質を上げてタイミングを逃さないためにも、まずは量をこなすことが重要だと感じていました。

私は広告代理店に対する営業を中心に担当していましたが、1人で幅広い業種・業界をカバーする必要があったため、クライアントである広告代理店の様々な部署に足を運び、各部署に点在するニーズのヒアリングを毎日のように繰り返しながら、数多くの提案を行っていました。そんな中で、私が大切にしていたのは、“過去にオールアバウトで手掛けたタイアップ広告のありとあらゆる事例を調べ、数百の案件の企業名・タイアップの切り口・平均的なCTRなどを頭の中に叩き込む”ことでした。こうして入念に準備しておくことは、営業活動において、かなりの強みになりましたし、商品や事例に関する知識に関しては、社内でも一目を置かれていたと思います。

そこから広告商品の開発グループに異動になり、半年間、商品企画兼営業という形で仕事をしていました。

—営業部時代の経験で今の経理の仕事に活きていることはありますか?

当時の上司が、お客様の立場に立って物事を考えることを大事にする人だったので、相手の気持ちを推測して、そこから導いた仮説に基づいてコミュニケーションを図る重要性を学んだことは、今にも活きていると思います。

営業は自社の商品やサービスの良さを伝えることが仕事ではあるものの、その提案を受け止めるお客様にも発注する側としての立場や考え方があるじゃないですか。「自分が伝えた結果、相手がどう受け止めて何を感じるのか」ということを考えながら話をするよう意識していました。
今だと例えば、経理の仕事の中で会計監査(※注:会社の財務状態が、その計算書類の記載内容に適正に表示されているかどうかを確かめること)の対応をする際に、「なぜこの資料が欲しいと言われているのか」と推測してコミュニケーションをとることで、「それならこういった資料もありますよ」と先回りして、適切な追加資料を提示することができます。それによって、お互いに効率よく仕事を進めることができていると思います。

■営業から経理へ転身した理由とは?

—そもそも営業から経理に移られたのは、どんな思いがあったのですか?

商品開発の仕事が軌道に乗り、通常の営業活動に組み込める状態になったところで、今後、自分のキャリアをどのように築いていこうかと改めて考えたときに、営業に戻るという選択肢はないなと感じていました。

新卒で総合職として入社している自分にとっては、いろんな経験を積むのが重要だと強く思っていたのですが、今でこそ当たり前に行われているジョブローテーションも、当時は前例がありませんでした。

ちょうど同じ頃、営業の肌感覚としては業績が好調だったにもかかわらず、対外的には業績を下方修正することが何度かあり、どうして自分の感覚と実際の数字の間にギャップが生まれているのか、気になるようになりました。営業で現場の商習慣は身についていましたが、会社の経営に関する知識がまったくないことに気がついたんです。

—実際に経理に移ってみて、いかがでしたか?

そこで、新卒一期生で前例がないのであれば自分が作ればいいと思い、「経営に近いところへ行きたい」と経理への異動希望を出すことにしました。まったく未経験の分野ではありましたが、今後のキャリパスを見据え、さらには会社の実情をきちんと把握できるだけの経営知識のベースを身につけるには、会計と財務の知識が不可欠だろうと考えたのです。
とりあえず簿記を取らなければと思い、通常業務が終わってから深夜まで会議室にこもり、黙々と簿記の勉強に励んで2級を取得しました。

その後、従来のメディアビジネス事業一本の経営体制から、まったくビジネスモデルの異なるEC事業や生涯学習事業を買収して、グループ経営となったため、セグメント会計や連結納税を導入したり、キャッシュフローの在り方や適切な変動費の割合などを考えたりと、ノウハウがゼロのところから整備して、今に至ります。

■新卒1期生としての熱い想い

—この7月から新設された経営企画グループのマネジャーに就任されて、株主優待制度を導入されました。その狙いは、どこにありますか?

オールアバウトは上場企業ですので、金融商品取引法や上場規則を遵守しなければなりません。経理がしっかりしていないと、会社として存続することすら、ままならないのです。売上総額が100億円を超え、時価総額も200億円を超える規模にまで成長し、今後さらなる成長に向けて、新たなフェーズに入って行きたいと考えています。

その上で、もっと投資家のみなさんとのコミュニケーションを深めた方がいいのではないかという反省があり、「オールアバウトの成長を中長期的な視点で応援していただけるファン株主を増やしたい」、「新しい株主還元の方法を検討したい」という思いから、このたび株主優待制度を導入しました。

—経営に関する数字が見られるようになった吉岡さんから見て、今のオールアバウトのいいところはどこだと思いますか?

もともとオールアバウトは、マネタイズの源泉が法人向けのメディアビジネス事業だけでしたが、今は日本最大級のサンプリングサイト「サンプル百貨店」という大きな柱も増えて、2本柱になったところが強みだと思います。従来のメディアビジネスで採用している広告収益モデルは、景気変動の影響を受けやすいんですよね。 実際に、住宅や金融業界のクライアントが占める売上比率の割合が多かったために、どうしてもリーマンショックや東日本大震災といった市場変化の影響を避けるのが難しい環境にありました。

しかし、個人向けのビジネスとして「サンプル百貨店」が増えたことで、底力がかなりついてきたと思います。今後は、第三、第四の柱を増やしていくことで、さらに堅牢なグループ経営体制を築こうとしているところです。
 (2605)

—“経営に近いところに行きたい”というお話がありましたが、将来は経営者になりたいというお考えですか?

はい。当初、経営に興味を持ったきっかけは、単純に“営業現場の感覚”と“会社経営”の間にある違和感の原因を知りたいと思ったことでしたが、今はちょっとまた別の理由から経営に高い関心があり、経営を託される人材になりたいという考えを持っています。

それは、今の市場環境において「大企業=安泰」という構図が崩れ、既存の仕事がAIに奪われると言われる中、1つの会社でしか通じないスキルしか身についてない人は、人材市場に出たら生き残っていけません。しかも、私は今36歳になりました。今後、高い付加価値を生み出せなければ、歳をとればとるほど人材価値は下がっていき、職業選択の幅が狭まっていく一方です。

私は、最後まで職業人として、自分の意志で働く環境を選べる人でありたい。言うなれば、荒波の中でも自ら船を漕いでいけるようなビジネスマンになりたい、ということです。そのためには、経験を積んで、これからも成果を出し続けていきたいです。

—MBA取得に向けて社会人大学院に通われているそうですが、多忙な日々の中で進学を決意された理由は何でしたか?

理由は3つあります。1つめは、自分のこれまで経験してきたことを整理して体系立てて学び直し、弱いところを引き上げることで、キャリアの実現に近づけると思ったからです。2つめは、経営の基礎という先人の知恵を学ぶことによって、将来ビジネスにおいて起こり得る不確定要素をヘッジして、会社に貢献したいから。そして3つめは、事業部門での経験と全社統括の経験を合わせ持った新卒1期生として、後輩のロールモデルになりたいと考えたからですね。

—最後に、メッセージをお願いします。

江幡さんがよく口にする「自立」というキーワードには、就活当時から強い影響を受けており、オールアバウトで約12年間の経験を積む中で、社会人としての自分のDNAにも深く刻み込まれていると思います。

会社を船に例えると、「どこに行くのか分からないけど、とりあえず大きな船に乗っていれば安心」という時代ではありません。沈没することもあれば、行き先を間違えることもあります。あくまで船は目的ではなく手段。行き先を「自分」で決めて、そこにたどり着く・近づくために、数ある船の中から、最も自分の行きたい方向に進む船を探し、乗り込むものだと思うのです。

自分なりの「行き先」と会社の「行き先」が違うと感じたら、どこか経由地で船を乗り換えるという選択肢を、必ず考える。あるいは、不幸なことに乗っている船が沈没しそうになったら、生き残るためには、自らゴムボートを漕ぐスキルや意志が必要になるはずです。

社員と会社が依存し合うのではなく、それぞれの行き先へたどり着くために、“お互いを選び合う”関係性を築くことが、社員にとっても、会社にとっても、健全な緊張感を保った「自立」した状態と言えるのではないでしょうか。
(取材・文 野本 纏花)
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