板長の父が教えてくれた繁盛する店の秘訣
社員が大切にしている言葉を紹介する連載企画「Quotes」。第18回に登場していただくのは、メディア事業部 ・メディアビジネス部 徳永正利さん。いつもお店の切り盛りに忙しい父親に、ふと尋ねた一言。その答えが今回のQuotesです。
私の実家は飲食店を経営していて、父親は経営者兼板長でした。
自分が生まれたバブルの時期は仕事がとても忙しく、幼稚園の中盤くらいまでは父親の記憶は全くありません。
むしろ“父親=遊んでくれる人”という定義で捉えていたので、よく一緒に遊んでくれるお店の板前さんを父親だと勘違いしていました。(当時はお店の前の海にひたすら石を投げるというプリミティブな遊びに熱中していました)
現在、お店は父親の高齢もあり昨年閉店してしまったのですが、それまでいつも忙しく、定休日も平日で、連休も年に2回の盆と正月しかないため、父親と話す機会はごくごく限られたものでした。
そんな父親と比較的話す機会があるのが、習い事の送り迎えの車中です。
中学生の頃だったでしょうか。当時週4日ほど塾に通っていたため、お店の配達用のバンに父親と乗り込み、坂本冬美を聞きながら塾に向かっていました。(実家には坂本冬美と井上陽水とマライア・キャリーしかCDがありませんでした)
正直普段父親とあまり話す機会もなく、多感な年頃でもあるので、ほとんどの場合において車中ではお互い無言のことが多かったように思います。塾に着くまであまりにも暇なので、よく目をつぶったまま今どのあたりを走行しているか予想して、目をあけてどのくらいイメージと合っているかという孤独な遊びをしていました。
しかし、その日はふと父親にこんなことを聞いてみました。
自分が生まれたバブルの時期は仕事がとても忙しく、幼稚園の中盤くらいまでは父親の記憶は全くありません。
むしろ“父親=遊んでくれる人”という定義で捉えていたので、よく一緒に遊んでくれるお店の板前さんを父親だと勘違いしていました。(当時はお店の前の海にひたすら石を投げるというプリミティブな遊びに熱中していました)
現在、お店は父親の高齢もあり昨年閉店してしまったのですが、それまでいつも忙しく、定休日も平日で、連休も年に2回の盆と正月しかないため、父親と話す機会はごくごく限られたものでした。
そんな父親と比較的話す機会があるのが、習い事の送り迎えの車中です。
中学生の頃だったでしょうか。当時週4日ほど塾に通っていたため、お店の配達用のバンに父親と乗り込み、坂本冬美を聞きながら塾に向かっていました。(実家には坂本冬美と井上陽水とマライア・キャリーしかCDがありませんでした)
正直普段父親とあまり話す機会もなく、多感な年頃でもあるので、ほとんどの場合において車中ではお互い無言のことが多かったように思います。塾に着くまであまりにも暇なので、よく目をつぶったまま今どのあたりを走行しているか予想して、目をあけてどのくらいイメージと合っているかという孤独な遊びをしていました。
しかし、その日はふと父親にこんなことを聞いてみました。
「父さん、なんでうちのお店ってあんなにお客さんくるん?」
当時の私の心境としては、忙し過ぎて家族で過ごす時間をほとんど持てないことへの皮肉の気持ちもあったのかも知れません。
父親は「あんなぁ……」と言って運転しながら一瞬こちらを向きました。
「お客さんは儲かるからうちにご飯食べにくるんや」
一瞬何を言ってるのか意味が分かりませんでした。普通に考えてお客さんはむしろお金を払う側です。
「どういうこと?」
シンプルに質問すると、父親は前を向きながら色々と説明してくれました。
「儲かるっていうのはな、お金をもらえることだけじゃないんやで。美味しいのに安いとか、一緒に連れてきた人に喜んでもらえるとか、いろんな儲かるがあるんや」
「そんなかでもな、一番大事なんは、びっくりしてもらうことや」
「うまいでも安いでも多いでもなんでもええねん、びっくりするぐらいっていうのがポイントや」
「ごはん屋さんはな、一回きてもらってもそんなに儲からんねん。何回も来てもらうことが大事やねん。じゃあなんで何回もくるかっていうとな、びっくりするくらいご飯で感動するからや。しかもびっくりするくらい感動するとな、他の人もびっくりさせたくなって、他のお客さんも連れてきてくれるんや。ワシは誰かにびっくりしてもらうことが好きやねん。ほやから板前じゃなかったらマジシャンになりたかったんや」
「そんなかでもな、一番大事なんは、びっくりしてもらうことや」
「うまいでも安いでも多いでもなんでもええねん、びっくりするぐらいっていうのがポイントや」
「ごはん屋さんはな、一回きてもらってもそんなに儲からんねん。何回も来てもらうことが大事やねん。じゃあなんで何回もくるかっていうとな、びっくりするくらいご飯で感動するからや。しかもびっくりするくらい感動するとな、他の人もびっくりさせたくなって、他のお客さんも連れてきてくれるんや。ワシは誰かにびっくりしてもらうことが好きやねん。ほやから板前じゃなかったらマジシャンになりたかったんや」
最後のマジシャンのくだりはなんやそれ、と思いましたが、当時よりも今になって、自分でもビジネスに関わるようになると、父親の言っていたことが段々分かるようになりました。
思い返せば300円のうどんや、異様に蓋のデカイお弁当、高速で出てくる釜飯、壁に掛かった巨大な鯛の絵など、うちのお店にはびっくりする要素や工夫がたくさんあったように思います。
思い返せば300円のうどんや、異様に蓋のデカイお弁当、高速で出てくる釜飯、壁に掛かった巨大な鯛の絵など、うちのお店にはびっくりする要素や工夫がたくさんあったように思います。

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