子育て部門
0歳からの英語教育
幼少期からの英語教育は昔から行われてきたが、最近は0歳から英語教育を受けさせる親が増えている。2011年の小学校での英語教育の義務化、さらに企業内での英語公用語化などを受け、子供が「英語」でつまずかないようにしたい、という親の考えがうかがえる。
小学校での必修化により子供向け英語教育市場が堅調
子供の将来を見据えた早期英語教育に関心をもつ保護者が増えている。矢野経済研究所によれば、2012年度の幼児・子供向け外国語教室市場(0歳~中学生を対象)の市場規模は前年度比101.0%の929億円と伸びた。
その背景にあるのは、2011年度から実施されている小学校での英語必修化。それが、保護者に早期英語教育への関心を高めさせるきっかけになったとみられる。
現在、小学校における英語は現在5、6年生が対象で、正式な教科ではない。そのため教科書もなく、英語の言葉遊びや歌を中心に授業を行う学校が大半だ。
そこで、政府の教育再生実行会議は5月、グローバル人材の育成に向けて、英語を小学校の正式教科とすることなどを盛り込んだ提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。実施学年の引き下げも検討されるという。下村博文文部科学相は、「目安として4年生から」と発言しているが、実行会議の委員からは「3、4年生から」という意見も出ているそうだ。
こうしたことから、幼児・子供向け外国語教室の需要は今後も堅調とみられている。矢野経済研究所の予測では、2013年度の同市場規模は前年度比101.4%の942億円となる。
「同じ苦労をさせたくない」親心が早期化に拍車をかける
今年5月、ジャストシステムが行ったアンケート調査では、子供(3歳から小学生まで)に英語・英会話を習わせている20~40代の女性1,000人のうち、7割以上が小学校における英語教育の正式教科化に「賛成」と答えた。
英語・英会話を習わせている理由については、最も多かったのが「正しい発音を身につけさせたかった」(「あてはまる」と「ややあてはまる」の合計が93.1%)。
次いで、「英語を好きになってほしいと思った」(同92.1%)。一方、意外と少なかったのが、「将来、受験に必要だと思った」(同55.2%)、「将来、就職に必要だと思った」(同66.0%)だ。
楽天などの日本企業が英語を公用語化する流れができる中、もはやグローバル化は当然と考え、苦労を少なくするために早めに慣れさせたいという親心がうかがえる。
「小学校での正課授業化を意識し、早めに英語に慣れさせておこうと、子供が小さいうちから習わせている親が多い感じがしますね。グローバルに活躍できる人に子供を育てようというより、今後の苦労を減らせるようにと考える親が多いです」と指摘するのは、「子育て」ガイドの高祖常子氏。
同じく「子育て」ガイドの猪熊弘子氏も、「親が英語学習で苦労したので、同じトラウマを子供に感じさせたくないという気持ちだと思います」と同意見だ。
企業の動きとしては今年、次のようなものがあった。
ベネッセコーポレーションは4月、2007年から販売してきた幼児向け英語教材シリーズに、0歳向けの教材をラインナップ。同社のプレスリリースによれば、グローバル化が進む中、子供が早い段階から英語に親しめる環境を作りたいと願う家庭が増え、近年は1歳未満からの受講を希望する家庭がとても増えていたことを開発の背景として挙げている。
「0歳からの英語教育」を決断する親は、もはや珍しくなくなっているのだ。