健康部門
延命されない逝き方
部門別ランキング3位
厚生労働省が今年3月に実施した「人生の最終段階における医療に関する意識調査(20歳以上、2,179人)」によると、延命治療として「胃ろう」(※)を望まない人が7割以上、「人工呼吸器」を望まない人も6割以上もいることが明らかになっている。また、過去に行った調査でも「延命治療を望まない」人は1998年は15.9%であったが、2008年では37.1%と増加しているなど、延命治療をせずに緩和ケアなどだけで終末を迎えたいと考える人が増えている。
※胃ろう:胃に管を通し、食物・水分・医薬品を注入する処置
家庭の医学 ガイド
菅原 道仁
「『終活』というのは、自分自身の死に方を選ぶというもの。それに対して、医療従事者も死に方についてプロとしての提案をする時代になってきました。我々はいままで無宗教の人が多かったので『死』についてあまり考えてきませんでしたが、ようやくどこからが『死』なのかを考えるようになりました。つらい化学治療を乗り越えて、長く生きるほうがよいのか、自然に死んだほうがよいのか。それを考えるきっかけになったのが『胃ろう』なのではないでしょうか。人間の本質がどこにあるのか、自分の人生を考え始める人が増えたのだと思います」
家庭の医学 ガイド
清益 功浩
「ターミナルケア(終末期医療)などにも象徴されるような、『死への向かい方』を考える人が増えてきました。震災後、死を身近に感じるようになり、自分もいつ死ぬかわからないということから、『死への向かい方』に対する意識の高まりがあるのかもしれません」