趣味(旅行)部門
スロー&リッチな旅
今年、注目されたのはクルーズ船や、豪華寝台列車「ななつ星」の登場である。昨年はLCC元年といわれ、より低コストの旅が話題になったが、団塊シニアの完全退職などで、移動も楽しめるような旅が好まれるようになったのが、今年の特徴である。
クルーズや観光列車も含め移動手段の選択肢が豊富に
今年はクルーズや観光列車など、ラグジュアリーな移動手段が相次いでサービスを開始した。国土交通省の調査によれば、日本のクルーズ人口は昨年、10年ぶりに20万人を超え、クルーズ船の寄港回数は過去最高となった。
こうしたクルーズ人気の火付け役となったのが、外国船クルーズである。今年はプリンセス・クルーズ、ロイヤル・カリビアン・インターナショナル、コスタ・クルーズの海外3社が日本でサービスを開始。いずれもゴールデンウイークから、東京または横浜で発着するクルーズをスタートした。
外国船は日本国内輸送のみのクルーズはできないため、済州島や釜山といった韓国やコルサホフ等へ寄港し、運行した。
また、エイチ・アイ・エスや阪急交通社などの旅行会社もチャーター船によるクルーズの販売に注力。今まで高額と思われていたクルーズが、手に届きやすいものであることが認知された。
「外国船はリーズナブルなので、クルーズ初心者でも参加しやすいのではないでしょうか。外国船が参入して相乗効果で日本船も伸びましたね。何より今年は選択肢が増えたことで、いろいろな楽しみ方ができるようになりました。来年は今年以上に外国船が多く日本発着を行うので、クルーズ人気は高くなるでしょう」(「旅の準備・お得・便利」ガイド 村田和子氏)
さらに今年は10月15日から、JR九州が国内シニア層やアジアの富裕層をメインターゲットにした豪華寝台列車「ななつ星」の運行を開始。1人当たり3泊4日で55万~56万6,000円と高額ながら、先々まで予約が取れないほどの人気を博している。
また3月24日には、肥薩おれんじ鉄道が東シナ海の絶景を眺めながら沿線の食事が楽しめる観光列車「おれんじ食堂」を、そして10月19日からはJR八戸線で「Tohoku Emotion」が運行を開始。動くレストランとして人気を集めている。
クルーズやこれらの豪華列車に共通するのは、単なる移動ではなく、そこで過ごす時間を、ゆったりと楽しめるようになっていることだ。
「陸、海、空といろんな移動手段の選択肢が増えたことで、消費者は、早い、安いだけでなく、旅の楽しみとして移動手段を選び始めました。それが今年の大きな特徴だと思います」(村田氏)