人は生まれてから死ぬまで、あらゆる場面で”決断”を迫られます。
All Aboutはその決断を後押しするため、約900名のガイド(専門家)と共に 今年を表す9部門の決断を選び、ランキング形式で発表します。
2015年総合ランキング
-
- 1位
-
相次ぐ著名人のがん報道に衝撃
がん検診を受ける決断
-
健康 部門
-
- 2位
-
都会を捨て、田舎に向かう若者が急増
地方移住する決断
-
住まい 部門
-
- 3位
-
子育てもオトコの人生の一部
パパが育休を取る決断
-
妊娠・出産部門
-
- 4位
-
個人向け「ラップ口座」残高が3兆円超え
貯めるより投資する決断
-
マネー 部門
-
- 5位
-
企業・自治体によるLGBTへの受入体制も充実
"性"の多様性を尊重する決断
-
結婚・離婚・再婚 部門
-
- 6位
-
2枚目の名刺を忍ばせよう
複業を持つ決断
-
転職・起業 部門
-
- 7位
-
ノーリタイヤシニアが急増
一生働く決断
-
老後 部門
-
- 8位
-
会社探しの猶予期間が激減
“待ったなし”の入社決断?
-
進学・就職 部門
-
- 9位
-
音楽・映画は定額利用が当たり前
所有せずに楽しむ決断
-
消費・購買部門
2015年「国民の決断」の審議を終えて
All About「国民の決断」アワードも今年で3回目。例年、さまざまなジャンルの専門家と相談しながら行っているが、今年は明るい話題が少ない印象を受けた。
というのも、自発的な決断ではなく環境要因などからやむを得ず決断した(させられた)という事象が多く見受けられたのだ。
そんな中、自らの意思で決断した最たるものとして総合1位に選んだのが『がん検診を受ける決断』である。今年は40代、50代と比較的若い有名人のがん報道が続き、多くの人がその若さに驚き、他人事ではないと行動を起こしたように思われる。中でも北斗晶氏の乳がん告白は多くの女性を動かした。弊社が2,200人の女性を対象に行った独自調査でも、3割近くの女性がこの報道をきっかけに検診を受けようと決断したとのこと。ただし、欧米諸国と比べると日本の乳がん検診率はまだまだ低い。一時の意識の高まりではなく、生活者の健康リテラシー向上に繋がるよう、我々も総合情報サイト「All About」を通じて啓発を図り、がん検診を定期的に受けるような土壌づくりに貢献していきたい。
また今年は多様なライフスタイルや価値観の浸透もランキング結果から見えてきた。たとえば地方への移住。東京を捨てて田舎へ移住すると聞くと、ついつい某プロブロガーの顔を思い浮かべてしまうが、若者を中心に“都心から離れたいマインド”が高まっているようだ。行政が企業のサテライトオフィスを誘致するなど、若者が地方で働くための環境整備は少しずつ進んでいる様子。今後も動向に注目していきたい。移住とは違った形での働き方では、複業(パラレルキャリア)にも注目したい。経済状況の変化によるリスク回避としてだけでなく、自分らしい働き方を追求するといった点で来年以降も多くのビジネスパーソンに浸透していくと思われる。
さらに価値観の多様化でいうと忘れてはならないのが「LGBT」。渋谷区・世田谷区が一足早く、LGBTのパートナーシップを認めるなど、自治体のみならず企業においても受入体制が整いつつある年だった。欧米だけでなく、日本でも“性“の多様性を尊重する動きが益々活発化していくだろう。
そして私自身も二児の父であるため、個人的にも気になるテーマが、総合3位に選んだ『パパが育休を取る決断』だ。弊社の独自調査では10%超の男性が育休を取得したとの結果が出た(2014年10月以降に配偶者が出産した方を対象)。しかし、肌感覚ではまだまだ少数派。男性の取得率の低さは文化や企業体質のせいにされがちではあるが、国も社会保障の範疇として企業へのサポート体制を一層整えてほしい。そうすれば“決断”というやや重苦しいプレッシャーから開放され、政府が掲げる「2020年に男性の育休取得率13%」という目標も達成できるのではないだろうか。
All About編集長 松井直之