消費・購買部門ランキング
- 1位
-
音楽・映画は定額利用が当たり前
所有せずに楽しむ決断
月500~1000円程度で動画が見放題
世界最大級の「Netflix」も国内参入
これまでは、作品毎に課金し、視聴やダウンロードをするのが一般的だった音楽や動画のオンライン配信。最近は、毎月の定額制で(=サブスクリプション)好きなだけ楽しめるサービスが注目されている。
動画配信の分野では今年9月、全世界での会員数が6,900万人を超えるという世界最大級の定額制動画配信サービス「Netflix」が、いよいよ正式に日本でサービスを開始。米国系のサービスとして2011年9月に日本に上陸した「Hulu」は、日本テレビ傘下となってから今年3月下旬までの約1年間で、会員数を61万人から100万人超に急増させている。
定額制音楽配信サービスの
利用率はまだ8%
今年は音楽配信サービスも続々と定額制のものが登場した。5月にサービス開始した「AWA」は、11月時点で600万ダウンロードを突破。「LINE MUSIC」は6月のサービス開始から10月21日時点でダウンロード数が860万件を記録するなど急成長している。また、アップルが7月にサービス開始した「Apple Music」の会員数は、10月で1,500万人に達しているという。ただし、これは全世界での会員数であり、国別の会員数は公開されていない。
クロス・マーケティングが今年9月、全国に住む20~69歳の男女に実施した「サブスクリプション型音楽配信サービスの実態調査」(有効回答数3,000人)によれば、これらのサービスの認知率は約70%であるのに対し、実際に利用している人の率は約8%。定額制音楽配信サービスは、まだ普及の余地が大きい。
★「マーケティング」ガイド 安部 徹也氏
最近はモノの所有に執着せず、利用に価値を見い出す消費者が益々増えていく傾向にあります。かつては、ブランド品などを所有することによって自身のステータスを誇示する風潮がありましたが、今では効率を考え “持たない生活”を重視するライフスタイルが定着してきたのです。この消費のトレンドは、映画や音楽などエンタメの世界に留まらず、今後も様々な分野で“所有する”から“利用する”へシフトしていくことが予想されます。
- 2位
-
お金持ちだけの特権じゃない
家事をプロに任せる決断
働く女性が増え、時間を省くためのモノやサービスに対するニーズが高まっている。なかでも注目株が「家事代行サービス」。たとえば家事代行のベアーズは毎年着実に業績を伸ばし、2014年9月期の売上高は前年同期比23.8%増の26億円に。宅配ネットクリーニングのリネットは、今年8月に会員数が15万人を突破し、2年間で442%増となった。
成長戦略として、「女性が輝く社会」の実現を掲げる日本。経済産業省は、2012年度見込み980億円だった家事代行サービス市場を、将来は6,000億円規模に拡大すると推計して発表している。「価格の高さ」や「他人が自宅に入ることへの抵抗感」など不安感を払拭して利用を促進しようと、「家事支援サービス事業者ガイドライン」も策定した。
★「家事」ガイド 矢野 きくの氏
古くはお金持ち向けだった家事代行ですが、共働き家庭の増加やサービス内容の細分化などにより、利用者が年々増加。今では一人暮らしのOLも「ベランダの掃除だけ」のように気軽に利用しています。大手スーパーも参入し、今年は経産省から「家事支援サービス事業者ガイドライン」も出るなどして、安定的な市場拡大が見込まれています。
- 3位
-
情報過多の時代だからこそ
買う前に試す決断
無料または格安で試せるサービスが、いろいろな商品に広がっている。使ってみて欲しくなったら買ってもらおうというのが企業の狙いだ。かつてなら、ほんの数分に限られた自動車の試乗も、日産では丸1日~数日間 、無料で貸し出す試乗キャンペーンを実施。メトロの駅構内にあるパウダールーム「クリュスタ」では、パナソニックの美容家電を使ったセルフエステを試すことができる。インテリアショップのSTYLICSでは、新品の家具を月々定価の3%でレンタルできる。2年以降はいつでも返却でき、購入額と支払総額の差額でいつでも買い取りできるプランが人気だ。また、移住も試せる。鳥取県などではお試し住宅に泊まって現地生活を体験するプランを用意している。
★「マーケティング」ガイド 安部 徹也氏
使える予算が益々厳しくなる昨今、消費者の買い物に失敗したくない意識が強まっています。こうした購入に対する壁を低くしようと、企業が積極的に取り組んでいるのが“お試しサービス”。家電量販店が最新家電をレンタルし、気に入れば購入してもらうという新サービスを開始するなど、今後多くの企業でもお試しモデルが広がるでしょう。