住まい部門ランキング
- 1位
-
都会を捨て、田舎に向かう若者が急増
地方移住する決断
都市から田舎へ移住したい人、9年前に比べ11ポイント増加
都市部に住む人で、田舎暮らしをしたいと考える人の割合が増加している。内閣府が昨年6月、全国20歳以上の男女に行った世論調査によると、都市部に住む人1,147人のうち「農山漁村地域に定住してみたいという願望がある」と答えた人の割合は31.6%。前回調査(2005年)の20.6%に比べ、11ポイントも増加した。
年齢別に見ると、「願望がある」の割合は20代が38.7%と最も高かった。一方、70歳以上は22.5%と最も低く、「願望はない」と答えた人の割合が55.7%と、他の世代より突出して高い。若者は田舎暮らしに憧れ、高齢者ほど医療機関へのアクセスなどの利便性を求めて都市部に住みたがる姿が浮き彫りになった格好だ。
企業がサテライトオフィスを地方につくる動きも
今年3月、株式会社インテージリサーチが全国の18歳から69歳までの男女に行った移住意向調査でも、「Uターン」「Jターン」の移住意向は10代20代で高く、今年以降も田舎暮らしを希望する若者が増える傾向は続きそうだ。
実際に移住しても仕事がなければ生活できないが、近年では、行政が地方定住の受け入れも強化の一環として、企業のサテライトオフィスを積極的に誘致する動きもあり、とくに徳島県、長野県、高知県などが力を入れている。実際、クラウド名刺管理サービスを提供するSansan株式会社が徳島県神山町に、同じく徳島県美波町にもテクノロジーベンダーのサイファー・テック株式会社がサテライトオフィスを置くなど、ネット環境の普及によって、とくにIT系、クリエイティブ系が地方進出する傾向が強い。
★「最新住宅キーワード」ガイド 山本 久美子氏
かつては、団塊世代がリタイア後に、田舎暮らしを選ぶ流れがありましたが、今は、特に若い子育て層が、豊かな自然の中で子育てをしたいとか、ストレスのない生活をしたいなどの理由で地方移住を選ぶ傾向があります。一方、平日は都市部に勤務し、週末は田舎で家族とゆっくりと過ごす「ニ地域居住」といった移住スタイルもあり、多様なライフスタイルを実現する手段も増えています。子育て層が地域の活性化に一役買うことも大いに期待できます。
- 2位
-
気軽に貸せるが課題は山積み
自宅を貸す決断
自宅の空き部屋を貸したい所有者と泊まりたい旅行客をつなぐ「Airbnb(エアビーアンドビー)」などの「空き部屋マッチングサイト」が話題を呼んでいる。
JTB総合研究所が今年1月にまとめたマッチングサービスの利用意向に関する調査の結果では、全国の20歳から69歳までの男女5万8,017人のうち16.3%が部屋を「提供したい」という意向を示した。貸し手にとっては空き部屋の有効活用で収入が得られるのが魅力のサービス。国も国家戦略特区を設けて外国人観光客の増加に伴う宿泊施設不足に対応しようとしているが、旅館業界が猛反対している上、防犯・防災面からマンション管理組合や町の自治会からの反対も懸念されるなど、普及への問題は山積みだ。
★「最新住宅キーワード」ガイド 山本 久美子氏
政府も東京五輪をにらみ、経済特区で民泊を推進しようとしています。一定期間、一定時間だけ他人と共有する「シェア」の広がりも後押ししています。空き家や空き室の活用や国際交流の推進など、さまざまな効果が期待できる一方でトラブルも懸念されています。トラブル回避のルール作りが急がれますが、この流れは今後も拡大するでしょう。
- 3位
-
在宅介護を見越したリフォーム計画
自宅を“介護仕様”にする決断
介護が必要になってからではなく、元気なうちに自宅をバリアフリー仕様に改装する事前の介護リフォーム需要が高まりつつある。今年4月の介護保険法改正により、特別養護老人ホームへの入居条件が「要介護3以上」に制限されるなど、国も在宅介護を推進。一方、利用者にとっても、住み慣れた環境でリラックスして過ごせるという点で在宅介護のメリットは大きい。オウチーノ総研が昨年5月、東京都内に住む50代60代の男女556人に実施した調査では、65.9%の人が「自宅を終の棲家にしたい」と回答。しかし、子がいる350人のうち81.1%が、子どもに介護されることを望んでいなかった。誰にも迷惑をかけずに自宅で暮らしたいからこそ、元気なうちにリフォームするのだ。
★「リフォーム」ガイド Yuu氏
団塊の世代が65歳以上になり、超高齢化時代のいま。従来介護保険の枠組内にあった介護サービスの一定量を、地域に任せようという動きもあります。これは、自宅介護を念頭に医療と自治体が連携することで、そのシステムを作ろうとする動きです。今後は高齢者が安心して療養できることが、家づくりの標準になるでしょう。