消費・購買部門
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一億総トレーナー化
ポケモンを探す決断
これまでゲームをしなかった人も『ポケモンGO』をすることを決断
今年7月よりNiantic社が世界的に配信を開始したスマートフォン向けゲームアプリ『ポケモンGO』。日本でも7月22日10時から配信がスタートし、社会現象になっている。
インテージが7月22~24日の3日間に行った『ポケモンGO』の利用実態分析によると、この3日間のダウンロード数は1,000万に達し、利用率(23%)はInstagramを超え、FacebookやTwitterといった主要アプリに並んだという。
また、ゲーム総合情報メディア「ファミ通」が今年7月25~26日の2日間にわたり、全国47都道府県のスマートフォンユーザー(男女5~69歳)10,411人を対象に行った『ポケモンGO』の利用実態調査によれば、利用率は20.2%に上り、その半数以上にあたる51.4%が同ゲーム以外のアプリ・ソーシャルゲームを「現在はプレイしていない」と答えた。以上のことから、普段はゲームをする習慣がないような人も、『ポケモンGO』だけはダウンロードして遊んでいる姿が浮き彫りとなる。
飲み物・軽食・交通費などリアル社会での関連消費も
そんな『ポケモンGO』の聖地の一つとして知られる鶴舞公園(名古屋市)。前出のインテージが8月3~6日、『ポケモンGO』利用経験者(16~69才男女1,335人)に行った調査によると、7月23日(土)の18~23時にかけて、周辺エリアの滞在人数が前週を2,000人前後、上回ったことが判明。同ゲームが強い集客力を持つことがわかった。こうした集客力はリアル社会における消費行動にも一定の波及効果があり、同調査では利用経験者の21.4%がアプリ内課金以外にコンビニなどでお金を使ったと回答。その平均利用金額は1人あたり4,016円だった。調査時点でのユーザー数は推計1,200万人。うち21.4%がリアル社会で1人につき4,016円の消費をしたとすると、『ポケモンGO』は配信後約2週間で103億円の関連消費を生み出したことになる。
ARや位置情報を活用したと言う意味で、近い技術を使ったゲームはこれまでにもありました。しかしポケモンGOは「ポケモン」の認知度も含めて、ゲームと現実が融合するという面白さを圧倒的に分かりやすく提示したことで、ゲームをしない人にまで広がりました。今後はユーザーを継続させるためのイベントや機能の追加、そしてあまりに大きすぎる影響力をどうコントロールするかという意味で、運営の力が求められるでしょう。
~未来予測~
VR≒バーチャル・リア充
PS VR装用イメージ
デジタルで作られた世界の中で楽しむ、仮想現実「VR(バーチャル・リアリティ)」。米Oculus VRの「Rift」、台湾HTCの「Vive」、韓国LGの「LG360VR」、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「プレイステーションVR(PS VR)」といった商品の発売が相次いだ今年は、「VRビジネス元年」ともいわれる。米ゴールドマン・サックス証券によれば、「AR」(拡張現実)と「VR」を併せた市場規模は、2025年に7兆7千億へ膨らむ見通しだ。
東海テレビ放送は9月5日、ジョリーグッドと共同で、SKE48のライブステージなどを360度、自分の見たい所を好きなタイミングで見られるVRコンテンツの配信をスタート。また、セガ・ライブクリエイションは7月23日、東京ジョイポリス(港区台場)内にVRアトラクション「ZERO LATENCY VR」をオープンした。こうしたエンタメ・ゲーム分野をはじめ、観光、スポーツなど幅広い分野の商品やサービス、販売促進にVR活用の波は広がりつつある。今後はさらにその加速度を増していくだろう。
安部 徹也
マーケティング ガイド
VRは今後私たちの生活を大きく変える可能性を秘めた技術です。最近では、超高額なマンションの販売現場で完成前に物件を内覧できる販促ツールや、建設会社が高所で工事をするトレーニングツールとして活用されています。このようにゲームやエンターテイメント、マーケティング、社員研修など今後も多くの分野で様々な試みが期待されています。