老後部門ランキング
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オンラインでも身辺整理
死後も残るSNSアカウント。どう処分する?オンライン上の記録
これまでの「終活」では、財産の分配や延命、ペットをどうするか、死亡後は誰に連絡するかといったことを決める身辺整理が推奨されてきた。その代表的なものがエンディングノートだが、「実際に書き終えた人は2%に満たないという統計データが出ています(2013年リサーチバンク調べ)。やはり、普段から家計簿をつけるなどの習慣がないと難しいのでしょう」と「葬儀・葬式」ガイドの吉川美津子氏は話す。
このように、従来型の終活の普及があまり進まない中、今年はパソコンやスマートフォン内のデータ、利用者の死後もネット上に残る交流サイト(SNS)のアカウントや記録をどう処分するかという身辺整理に注目が集まり、オンラインでの終活をサポートするサービスが続々と登場した。
デジタルデータの消去など新サービスが続々と登場
たとえば、ネットサービスを運営するKitamura(東京・港区)は3月、依頼者が持つEメールや画像などのデジタルデータを死後に家族や友人に依頼して、消去や譲渡の手続きをする仲介サービス「ラストメッセージ」を開始。今後、同社の主力事業にするという。
また、ヤフーが7月に開始した「Yahoo!エンディング」では、事前に登録した利用者の死亡をヤフーが確認すると、有料サービスを自動的に停止し、登録された個人データも消去するというもの。さらに、自分が死亡した場合は、メールアドレスを登録しておいた最大200人までに、事前に用意しておいたお別れのメッセージを自動でメール送信してくれる。
さらにGoogleでも、指定した期間後にGoogleアカウントのデータをどうするかを決められる新サービス「Inactive Account Manager(アカウント無効化管理ツール)」の提供を開始している。
パソコン、スマホを使いこなすシニアの増加を受け、こうしたサービスを利用したオンライン上の終活は今後の常識になるだろう。
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継げない、通えないから墓じまい
厚生労働省の調査によると、2012年度の改葬は7万9,749件。前年度に比べ4%増となっている(平成24年度衛生行政報告例)。改葬とは本来、墓を別の場所に移転させることを言うが、メディアが「墓じまい」というワードを使うようになった今年は、注目度が爆発的にアップした。その背景にあるのは、やはり少子高齢化。墓を継ぐ子供がいない場合や、高齢になって遠い故郷への墓参りが何かと負担になった場合などが代表的な例だ。
★「葬儀・葬式」ガイド 吉川美津子氏
「改葬」ではピンとこなかったものが、「しまう」という言葉が出たために、今まで「何とかしなきゃ、どうしよう」という気持ちでいた多くの人たちの気持ちにうまく刺さったのでしょう。少子高齢化以外の背景では、離婚などで墓の事情が複雑になった人が増えたことも挙げられます。「墓じまい」は永代使用権を寺や霊園に返還し、更地に戻すのが一般的。遺骨の行き先は、永代供養の合葬墓に入れたり、散骨したりと様々です。
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ケンカしない“親家片(おやかた)”
今年はメディアでも「親の家の片付け」という話題が取り上げられることが増え、関連書籍も出版された(主婦の友社)。東洋経済が7月に実施したインターネット調査(有効回答数811人/20代4%、30代9%、40代18%、50代33%、60代以上36%)によると、実際に親の家の片付け・処分をしたのは540人。片づけに要した期間については、3カ月未満が最多で、半数に及んだが、1年以上の期間を要した人も2割近くに上った。きっかけは「親の死去」が最も多い回答だが、生きているうちの片付けならスムーズに進むとは限らない。親は物を捨てられない世代。一方、子は溜め込まない断捨離世代。業者に託すなど、いかに衝突せずに行うかといった手法も話題になっている。
★「不動産売買」ガイド 平野雅之氏
親の家を引き継がず、売却したり貸したりする例が増えているのに比例して、その前提となる家の片付けに苦慮するケースが多いようです。
★「住宅購入のお金入門」ガイド 久谷真理子氏
「どんな財産があるのか」「それはどこにあるのか」を把握しておくことは、スムーズで揉めない相続のためにも大切。そういう意味でも「親の家の片付け」に関心を持つ人が増えるといいと思います。