――そんな戸井田さんが情報を収集するための手段とは?
「Webであったり紙媒体であったり、メディアの情報は毎日チェックしていますね。PR TIMESさんも昔から登録していて、活用しています。家電、インテリア、住宅など興味のあることを登録しておけばどんどん届くので、原稿の合間だったり移動時間だったり、ちょっとした空き時間にタイトルだけをざーっと見て、今現在のおおよその流れを把握するのに役立てています。その中に知らないメーカーさんの名前を見つけたときは特に、中身までよく読むようにしています。それから私の場合はリアル店舗に行くことも大切にしています。」
――家電量販店に行くということですか?
「ええ。これはとても大切なことですね。専門家が情報を受け取るタイミングと、生活者が情報を受け取るタイミングには少し差があって。私たちが知りえる情報だけで判断すると、やっぱりちょっと早すぎる場合があるんですよ。消費者の方がどんな商品に興味を持っているのか、実際に売場面積を見るとすごくよくわかります。リアルな消費者の動向を探るために、実店舗へ行くことは欠かせないですね。」
――リアルの大切さですね。
「そうですね。業界に関係のない身近な人、家族や友だちが、何を知っていて何を知らないのかということも、意識するようにしています。企業からの情報がどれだけ消費者に浸透しているか、というバロメーターになります。」
■事実と提案を切り分けたプレスリリースを
――情報収集として、プレスリリースを活用されている戸井田さんですが、プレスリリースに求めることはありますか?
「『事実』をわかりやすく伝えることですかね。取材依頼をいただくメディアの方は、専門家の知識を信用して頼ってくれていますから、私たちがしっかりとした情報を得ていないといけません。最近少し混同するのは、企業からのプレスリリースで事実と提案が混じっているものですね。」
――事実と提案が混ざっているというのは、例えばどのような?
「何月何日にどういった商品が出て、その機能はこうで……というのは事実ですが、『赤ちゃんのいるご家庭にぴったり』とか『2人暮らしの助けになる』といったことは事実ではなくあくまで提案や企業が訴求したい使用シーンですよね。それがリリースの中で事実と混在していると、読みにくいと感じてしまう。まずは事実を、そして別のシートで提案や商品への思いなどを語っていただけると、読みやすいと感じます。」
――読みやすさは重要ということですね。
「そうですね。専門家もメディアもそうだと思いますが、一発で読めないリリースは、読まなくなっちゃうんですよ。最近一番多いのは、ファイルが圧縮されて、さらに鍵がついているもの。これはそもそもスマホだと読めないので、後でパソコンで開いて読むことになるんですが、だいたい面倒で結果開かなくなってしまう。
私の場合、移動時間がとにかく多いので、その間に情報収集をしているわけなんですが、そういうライフスタイルもあってスマホでもタブレットでも簡単に内容が把握できるものが理想的です。たとえば、メール本文にリリースの要約を記し、添付でPDFと画像を送っていただくとか。環境によってはPDFすら開けないこともあるので、メール本文に概要を書いていただくのは重要なんですよね。
」
――リリースのタイミングについてはいかがでしょう。
「紙媒体への情報の出し方と、Web媒体、ニュース媒体への情報の出し方を切り分けてくださるとありがたいですね。速報性が重んじられるTVやニュースサイトと違って、紙の雑誌やWebマガジンなどの編集が入る媒体の場合、発行の1カ月前に情報が来ても載せられないんですね。間に合わない。特に紙の場合は顕著です。
けれど2カ月前なら載せられる。発売のタイミングと発行のタイミングを合わせられるんですね。種まきの時期をずらして、花が咲く時期をそろえる。もちろん、いただいた情報を漏らすようなことはありませんので、そこは信頼していただければと思います
。」
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