住宅ローンで地獄を経験したFPだからこそ言える、コロナに負けないお金との向き合い方
総合情報サイト「All About」の中でも多くのユーザーから支持を集めるマネー領域。ガイドの層も厚く、現在80名を超えるマネーガイドがいる。その中でも貴重な存在となる住宅ローンの領域。コロナ禍による住宅ローン破綻の話もメディアを賑わせる今、不動産実務を経験したCFPとして「住宅ローン破産者を1人でも減らしたい」と日々奔走する大島さんにお話を伺いました。
CFP・All About「住宅ローン・住宅購入のお金」ガイド 大島 浩之(おおしま ひろゆき) 住宅ローンを切り口に、ライフプランニングを提案するCFP。大手ハウスメーカー、不動産業者を経て、現在はFP試験の講師を務める傍ら、住宅ローンを切り口に、住宅購入をはじめとしたライフプランニングの相談を受ける。 |
■ 家族の気持ちになって、相談者に寄り添う
―現在、不動産実務をご経験されたCFP(Certified Financial Planner)としてご活躍ですが、それまでの経歴を教えていただけますか。
大学卒業後、ハウスメーカーで3年、その後、不動産仲介会社に12年勤め、資格講師の会社に転職をして、2018年にフリーのFPとして独立しました。
―ご経験が最も長い、不動産業界の営業職でのエピソードについて教えてください。不動産仲介の営業って扱う金額も大きいですし、大変そうなイメージが……。大島さんはどんな営業マンだったのですか?
最初のころは、営業でどうすればうまくいくか悩みました。本を読んで「営業トークがこれだ!」とか、「こういわれたらこう切り返せ」とか学んでみても、成果を出せなくて(苦笑)。
でも、初めてハウスメーカーで成約してくれたご高齢の方との経験がターニングポイントとなりました。その方は、家へのご要望がとても多く、どんどんオプションをつけていって金額が膨れ上がっていたんです。当初のお話では、退職金の範囲内で建て替えをし、老後は、ご夫婦で旅行をたくさんしたいとおっしゃっていたのに、予算の2割増しまで膨らんできたため、その時に、「本当にそれは必要ですか?」とアドバイスをしたところ、お客さんが「あなたは売り込んでこないんだね、ちゃんと自分たちのことを考えてくれるから、本当に息子みたいだ」って言ってくれて、最終的には成約に至ったんです。それがすごく嬉しくて。
それからは、自分がお客様の兄弟や親子だったらどんなアドバイスをするかなという気持ちで向き合うようになり、仕事がうまく回るようになりました。FPの立場となった今でもそれは常に考えています。
でも、初めてハウスメーカーで成約してくれたご高齢の方との経験がターニングポイントとなりました。その方は、家へのご要望がとても多く、どんどんオプションをつけていって金額が膨れ上がっていたんです。当初のお話では、退職金の範囲内で建て替えをし、老後は、ご夫婦で旅行をたくさんしたいとおっしゃっていたのに、予算の2割増しまで膨らんできたため、その時に、「本当にそれは必要ですか?」とアドバイスをしたところ、お客さんが「あなたは売り込んでこないんだね、ちゃんと自分たちのことを考えてくれるから、本当に息子みたいだ」って言ってくれて、最終的には成約に至ったんです。それがすごく嬉しくて。
それからは、自分がお客様の兄弟や親子だったらどんなアドバイスをするかなという気持ちで向き合うようになり、仕事がうまく回るようになりました。FPの立場となった今でもそれは常に考えています。
―家族の立場でアドバイスをされることで、信頼を獲得されてきたんですね。オプションをつけませんか?っていう提案をされることはありますが、そんな営業さんに当たったら、本当にうれしいと思います。ほかにも工夫されていた点はありますか。
営業マンって、成績を出さなくちゃいけないので、月末になると心理的に焦ってくるんです。でも、それだと精神状態が安定した中でお客さんと対話ができないので、ある時から基本的に月初に契約するようなサイクルにしました。そうすると「なんとかあと3日で成約にもっていかなくちゃ」といったプレッシャーに惑わされず、結果的に本当にお客さんの立場に立ってできるようになりましたね。
ただ、そういう立場には立っていても、いいアドバイスが出来なかったお客様、たとえば変動金利のほうが結果的には有利だったのに、固定金利を選んでしまったなど、うまく導いてあげられなかった人のことは、今でもひきずっちゃって気になっています。
ただ、そういう立場には立っていても、いいアドバイスが出来なかったお客様、たとえば変動金利のほうが結果的には有利だったのに、固定金利を選んでしまったなど、うまく導いてあげられなかった人のことは、今でもひきずっちゃって気になっています。
―売ったら終わりではなくて、ずっと気にかけてくださるんですね。お人柄がうかがえます。
■ 住宅ローン地獄を自ら経験したガイドが断言、コロナ禍でも住宅ローン破綻を防ぐ方法は、「ある!」
―大島さんの専門分野である、住宅ローンについてお伺いします。住宅購入といえば、人生で最も大きな買い物とも言いますが、住宅ローンについては知識のないまま組む方がほとんどだと思います。住宅ローンについて教訓や学びになるノウハウ、気を付けたほうがいいといったようなことはありますか。
年収の何%だからローンを設定しても大丈夫、今賃貸で家賃が払えているから大丈夫と言われる方は多いのですが、住宅を買うタイミングにいちばん支出が多い時とは限らないので、今だけの状態で判断しないほうがいいですよというのは常に言っています。子どもができれば教育費もかかりますし、公立・私立に行くかどうかでまた変わりますし。
年収も多くて貯金もしっかりと準備してきた人のほうが住宅ローン組めるのかなと意外と心配している一方、頭金すらあまり用意できておらず、家賃と変わらないからといった理由で住宅ローンを組むような、その計画は厳しいのではないかなと感じる人のほうが楽観的だったりしますね(笑)。
年収も多くて貯金もしっかりと準備してきた人のほうが住宅ローン組めるのかなと意外と心配している一方、頭金すらあまり用意できておらず、家賃と変わらないからといった理由で住宅ローンを組むような、その計画は厳しいのではないかなと感じる人のほうが楽観的だったりしますね(笑)。
―今は、コロナ禍で収入が減ってしまう人や今後その心配が出てくるケースも多いと思うのですが、そういう人たちが住宅ローン破綻しないですむ方法はあるのでしょうか。
私は2007年にタワーマンションを購入したんですが、その後東日本大震災があって、マンションの価格が思いっきり下がりました。収入も減ってローンが払えない。売却しようにも住宅ローンの残債が全部消えないという状態で、普通なら完全に人生終わりというか、詰んじゃうと思うんですけど、意外と大丈夫なんです。
銀行に相談すれば返済期間をのばしてくれたり、月々の返済を減らしてもらったりができます。僕の場合、35年ローンで毎月返済していましたが、利息が4割、元金が6割ぐらいだったので、一時的に利息だけの返済にしてもらったんです。
もし、自宅に住み続けるのをあきらめて賃貸に引っ越したとしても、4割の金額では自分が今住んでいるレベルのところに住めないですよね。もちろん最終的には元本分返済しなくてはいけないのですが、病気や天災など、自分が予想してなかった危機的な状況に陥ってしまい、一時的に返済が難しいという時は、まずは銀行に相談すればなんとかなるというのは知っていると安心かなと思います。
銀行に相談すれば返済期間をのばしてくれたり、月々の返済を減らしてもらったりができます。僕の場合、35年ローンで毎月返済していましたが、利息が4割、元金が6割ぐらいだったので、一時的に利息だけの返済にしてもらったんです。
もし、自宅に住み続けるのをあきらめて賃貸に引っ越したとしても、4割の金額では自分が今住んでいるレベルのところに住めないですよね。もちろん最終的には元本分返済しなくてはいけないのですが、病気や天災など、自分が予想してなかった危機的な状況に陥ってしまい、一時的に返済が難しいという時は、まずは銀行に相談すればなんとかなるというのは知っていると安心かなと思います。
大島さんが伝授する<住宅ローンの支払いが困難になっても対処法>の詳細はこちら│All About
住宅ローンの支払いが苦しくなると、「人生の終わり」であるかのように感じてしまう方も多いかもしれません。しかし、対処法さえ知っておけば、「住宅ローンを払えない」という状況を乗り切ることも可能となります。実際の事例、金融機関との返済計画を変更したケース、返済期間の延長、元本据置の例も参考にしていただき、万一の場合にも備えていただければと思います。
また、契約の内容で少し金利は上がってしまいますが、不慮の事故で収入が得られなくなった場合に、保険がおりる住宅ローンもあります。今は金利自体が低いですし、コロナ禍においてもその傾向は続くと思いますので、住宅購入を検討されていた方は、あえて今動くのもいいかなと思いますね。
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