脳の仕組みをよく知れば、お金も恋もうまくいく!イケメン脳神経外科医の話を聞いてみた
2008年からAll Aboutガイドになった菅原道仁さん。現役脳神経外科医としてクリニックを開業する傍ら、「All About」をはじめ、SNS配信型ウェブメディア「citrus」でコラムを書くほか、著書も10冊を超え、メディア出演の機会も増えてきました。医師でありながら情報発信を積極的に行うその意図や、菅原流「脳との付き合い方」の極意を伺います。
All About「家庭の医学」ガイド 菅原 道仁 国立国際医療センター、国立病院東京災害医療センター救命救急科を経て現在、菅原脳神経外科クリニック院長。「だれもが安心して、人生を楽しむために。そして人生目標を達成するために」をモットーに、医療を提供。また脳科学をベースにした「モテと非モテの脳科学」「頭の中の貧乏神を追い出す方法」など著書も多い。 |
■治療して長生きする時代から、楽しく元気に長生きする時代へ
(広報・柏原)――こんにちは。脳神経外科医って、私の人生の中でも先生以外に会ったことがないので、本日はいささか緊張しております。さっそくですがなんでまた先生は、脳神経外科を選ばれたんでしょう?
ははは。父親が脳神経外科医だったこともありますが、一通り医学部で勉強したときに一番脳が興味深いと思ったからですよ。
(広報・柏原)――どんなところに興味を持たれたんですか?
人間と動物の一番違うところが脳。その専門性を追求するというのは、ライフワークとしてすごく面白いと思いましたね。
(広報・柏原)――なるほど。そして先生は救急医療病院を経て、現在は地域で開業医をしていらっしゃいます。その経緯について教えてください。
救急病院では、突然倒れて、搬送されてくる患者さんをたくさん見てきました。家族も泣いている。本人だって若くてまだまだ夢もあっただろうに。僕らも治療してもうまくいかないなど、悔しい思いをたくさんしてきました。日本の医療システムでは、救急病院で治療した患者さんは、一般病棟に引き継がれるなどして最後まで責任をもって診療できないのが現状です。
でも、これは私にとって、とうてい納得ができるものではありませんでした。そこで、救急から在宅まで一貫した医療を提供できる医療システムの構築を目指し、あえて救急病院を飛び出し、地域に根付いた脳神経外科の専門病院に身を投じることにしたんですよ。
でも、これは私にとって、とうてい納得ができるものではありませんでした。そこで、救急から在宅まで一貫した医療を提供できる医療システムの構築を目指し、あえて救急病院を飛び出し、地域に根付いた脳神経外科の専門病院に身を投じることにしたんですよ。
(広報・柏原)――僕らには想像もできないくらい、厳しい現実をたくさん見て来られたんですね……。
脳梗塞の人って、命は助かっても寝たきりになっちゃう人もいますからね。それを介護するために家族も仕事を減らさざるを得ない現実があるわけですよね。
(広報・柏原)――ある日突然、そんなことが起こることもあるんですね。
もちろんです。まだまだ医療も未熟な部分が多くて、治療できることにも限界があります。そう考えたら病気になる前に何とかした方がハッピーな場合が多いよね、という気持ちに至りました。
■人生目標から逆算して、よりよい人生を作っていく
最近の世の中の流れとしては、病気になってから病院に行くのではなく、楽しく元気に生きるという「人生の質」を求められるようになっています。
(広報・柏原)――いくら長生きでも寝たきりで周囲に迷惑をかけていたのでは、本人も周りもつらいですよね。
そうなんです。病気にならないようにするための「予防医学」や「予想医学」と言われる分野が進んでいて、僕も「予想医学」に力を入れています。
(広報・柏原)――「予防医学」と「予想医学」って、どう違うんですか?
「予防医学」というのは、”病気にかからないように普段から食生活に気を付けましょう”、”メタボ診断された人は痩せましょう“といった一律的なイメージ。それをオーダーメードにしたのが「予想医学」です。
(広報・柏原)――オーダーメードといいますと?
現代はテクノロジーの進歩で、遺伝子をチェックしたり、スマホでライフログも簡単に取れるようになってきているじゃないですか。個人の人生目標だったり、ライフスタイルにそれらを当てはめて合わせて考えていくんです。
(広報・柏原)――具体的には?
例えば自分がグルメにこだわる人だったら食べることを制限したくはないですよね。だったらリスクを分かった上で、遺伝子など考慮し、食べられることに重きを置いたライフスタイルの改善を提案するわけです。スポーツ選手でなんとしても100秒を10秒以内に走りたいと思っている人には、まったく違う提案になりますよね。
(広報・柏原)――なるほど、一律に「お酒はダメ」とか「たばこはもってのほか」「運動しろ」と言われても、その人ごとにこだわりたいポイントは違いますよね。
そうです。実はたばこに耐性を持っている遺伝子の人もいるし、逆にすぐにガン化しやすい人もいる。遺伝的な背景やライフスタイルや人生目標を知って、人生目標から逆算したような健康管理を提案したいと思っています。
(広報・柏原)――壮大ですね。個人の人生目標も関係してくるんですね。
そうですよ。4年前に、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが「あなたは乳がんに87パーセントなりますよ」と言われ、乳房を取ることを選択しました。自分の人生に起こりうるリスクをチェックした上で、いくつかの選択肢からチョイスをし、よりよい自分の人生を生きる。そのための指針になるのが「予想医学」です。
■クルマを買うか、MRIを買うか悩む時代が来る!?
(広報・柏原)――遺伝子研究が進めば、もっと一般化するのでしょうか?
まだまだすべてがわかっているわけではないし、複合要因もあることも事実だけれど、どんどん精度が上がってきてはいる。最近のテクノロジーの進歩で言えば、アップルウォッチで心電図がとれるようになりましたよね。
(広報・柏原)――確かに少し昔までは考えられないような進歩です。
そうなると、自家用車を買う代わりに、CTスキャンとかMRIを買う時代がくるかもしれないですよね。クルマと同じような値段になって、コンパクトになれば。
(広報・柏原)――クルマかMRIか、どちらを買うか悩む時代! 驚きです。しかし、遺伝子学や予想医学が発達する未来とは、生まれたときにはもう人生が決まっているんじゃないかってことになりますかね?
いやいや。環境や状況もありますからね。才能という器は、皆さん絶対持っているんですよ。それが音楽の才能だったり、絵の才能だったり、運動の才能。その器に大小はあるんですけれど。
(広報・柏原)――器ですか……?
そう。それを埋められるかどうかは生まれた後の環境だったり努力なんですよ。すごく大きな才能の器があっても、ちょっとしか中身を埋める努力をしなかったら、大成はしないでしょう。小さい器でもすごく努力をすれば、器からあふれるほどの才能になる。そうすれば器は大きくなるかもしれませんね。
(広報・柏原)――なるほどー。なんだかしみじみしてきました。先生。人生の幸せってなんなんでしょう?
どうしたんですか。急に(笑)。やっぱり、究極の幸せは自己実現じゃないでしょうか。自分が思ったようなことができた。その毎日の積み重ねが幸せなんだと思います。僕の幸せは何かというと、寝るときに「今日幸せだったな、今日も良かったな」と思えること。それがハッピーかな。その積み重ねが未来です。イチローもそうでしょ。バットを毎日振り続けた結果が10年連続200本安打ですよ。
(広報・柏原)――先生、寝る前に毎晩そんなことを考えているんですか? それ、死ぬまで続けるつもりですか?
そんなこと言ったって、明日死ぬかもしれないんですよ。我々の人生で決まっていることは死ぬことだけ。「損はない」じゃなくて、「意識をしておくべき」という感じでしょうか。
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