看護師の経験を生かして、お金の悩みに寄り添う「がん患者さん専門のファイナンシャルプランナー」に話を聞いてみた
All Aboutの専門家のお仕事を聞くコーナー。今回は、日本でただ一人、看護師の経験を持つがん患者さん専門のFPとして活躍する、All About「看護師FP/がんとお金」ガイドの黒田ちはるさん。心と身体が密接に関連するがん治療において、お金の悩みを解決することを使命に日々奮闘する黒田さんに話を聞きました。
All About「看護師FP / がんとお金」ガイド 黒田 ちはる 10年間の看護師経験とFP1級・CFP(R)の資格を活かして「黒田ちはるFP事務所」を開設。がん患者さんとその家族の心身の負担軽減や、治療生活の選択肢の幅が広がるよう、経済面の悩みに対するアドバイスを提供したり、全国で「がん治療と仕事と生活設計」に関する講演を行っている。 ブログ http://ameblo.jp/3403ck HP http://fpkuroda.com/ |
■知らないで悲しい思いをする人を無くしたい。
―日本で唯一の「がん患者さん専門のFP」として活躍されている黒田さん。看護師からFPに転身したきっかけを教えてください。
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―お金の悩みががん治療に関連するんですか?
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実は、日本においてがん患者さんのための支援制度は比較的整っています。でもその制度や適応条件は複雑で、患者さん個人でそれらを把握するのは困難な上に、申請しないと利用できない。患者さんにアドバイスしたいけど、当時の自分はFPが持つ専門的な知識もありませんでしたし、個人の意見しか述べられない中、介入していくことは立場的にも難しい。 そこで看護師をやる傍らFPの資格を取得しました。最初はボランティアでFP活動を行っていたのですが、専門的に取り組んでいく必要性を感じ2年前に独立。がん患者さん専門のお金の相談を受ける個人事務所を設立しました。
■早期に相談してくれれば選択肢はある。手遅れになる前に相談してほしい
―がん患者さんのお金の問題というのは、具体的にはどういったことでしょうか。
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―今は共働きの世帯が多いですけれど、夫の収入に頼っている場合、大黒柱が倒れると資金面をどう工面するかというのは切実な問題ですよね。
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また相談を聞いていて一番悲しいのは、治療費などがかさんでしまったり、給与が支給されなくなってしまい、住宅ローンなどが支払えなくなったときに、消費者金融などで借りたり、クレジットカードのリボ払いにしてしまうなど、にっちもさっちもいかなくなってから相談に来られるケースです。もっと早くに相談してくれていればと思うことも多いです。
―どうしてそこまで追い詰められてしまうのでしょうか。
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■がん患者さんの一人ひとり違う困りごとに丁寧に耳を傾ける
―がん患者さんに対する家計相談は、通常のアドバイスとどのように違うのでしょうか?
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制度の話を質問してきたので、丁寧に答えながらも、よくよく話を聞いてみると、実は家族の問題が絡んでいるケースもあります。というのも、がんをきっかけに潜在化していた家族の問題が浮き彫りになることがあるんです。離婚まで考えているケースも珍しいことではありません。もし離婚をするとなれば、制度の話も全く違うシチュエーションとなり、一から内容が変わってくるので、全体的によく話を聞くことが大切です。 そもそも患者さんが制度の申請方法について詳しく知りたいのか、制度を切り口に今後の働き方や生活費について相談したいのかを見極め、最初に優先順位をつけて聞きたい内容を確認するよう心掛けています。
―よく話を聞いたうえで、制度の活用で収入を増やすことや、家計の見直しで支出を減らすことをアドバイスするのですね。支出の減らし方で一つアドバイスを頂けますか?
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