読者のリアルを届けるコンテンツ制作。編集×新規事業の経験を生かし、ヒット記事を連発するプロジェクトを牽引
2023年度下期のMVPを受賞した、メディアビジネス部コンテンツR&Dグループの田川さん。雑誌の編集者を経てオールアバウトに飛び込み、新規事業開発や、読者の声を生かしたコンテンツ制作でめざましい成果を挙げています。そんな田川さんが語る「ヒット記事の作り方」「慎重な性格でも成果を挙げる方法」とは?
メディア事業部 メディアビジネス部 コンテンツR&Dグループ 田川
PC雑誌やファッション誌の編集を経て、2018年に入社。読者リサーチサービス「All About Research」や、生活者体験を軸にした「エピソード記事」の企画運営を担当している。 |
■40歳以降のキャリアを考え、雑誌の編集者からオールアバウトへ
ーMVP受賞おめでとうございます。まずは田川さんの、現在のお仕事について教えてください。
メディアの運用、企画、編集を担うメディアビジネス部の中で、新しい取り組みを積極的に行うコンテンツR&Dグループに所属しています。テキストベースの記事だけでなく、動画やSNSを活用したり、ほかのグループと連携したりと、企画からサービス実装までのサイクルを高速で動かすのがR&Dグループの役割です。私自身はここ数年、「All About」の読者・ユーザーと一緒に新しい価値を生み出すことに挑戦してきました。現在は、ユーザー基盤を生かしたリサーチ事業や、読者の生の声をコンテンツにして届ける記事制作の運用を担当しています。
ーオールアバウト入社以前は、どのようなキャリアを歩んでいたのでしょうか?
月刊誌の編集者ですね。まずは長い長い学生生活があって(笑)。その後、27歳で運よく出版社に就職することができ、パソコン誌の編集を担当しました。
そこからは1回の転職を挟みながら、雑誌の編集者としてモノ雑誌やメンズファッション誌に携わってきました。
そこからは1回の転職を挟みながら、雑誌の編集者としてモノ雑誌やメンズファッション誌に携わってきました。
ー出版社からオールアバウトに転職しようと思ったきっかけは?
転職したのが36歳で、メディアの世界でも「紙からWebへ」という言葉を耳にすることが増えてきた頃でした。雑誌編集者としての仕事には満足していましたが、40歳になっても同じジャンルで編集の仕事をしていくイメージが湧かなくて。金融や不動産など、お堅いテーマもやってみたいと思ったんです。
「All About」はメディアの特性上、扱う領域が多岐に渡ります。私がこれまで経験してきたきた分野から、これからやりたいテーマについても幅広く展開していたので、自分のキャリアにマッチしていたんですよね。面接で当時の編集長と話が合ったこともあり、編集者として入社することになりました。
「All About」はメディアの特性上、扱う領域が多岐に渡ります。私がこれまで経験してきたきた分野から、これからやりたいテーマについても幅広く展開していたので、自分のキャリアにマッチしていたんですよね。面接で当時の編集長と話が合ったこともあり、編集者として入社することになりました。
■編集者から新規事業の担当に。読者と企業をつなぐ「All About Research」を開発
ー入社後は、どんな業務を手がけてきたのでしょうか?
最初の半年は「All About」のガイドさんたちと一緒に、投資や不動産、メンズファッションやレシピなど、いろいろなジャンルの記事を作りました。Webメディアに携わるのは初めてで、「SEOってなんですか?」というところからのスタートです。次の一年では、金融領域と人間関係を担当する部署のマネジメントをする機会がありました。そして入社して一年半が過ぎた頃、社内で大きな組織改変があって。メディア編集から離れて、新しいサービスの立ち上げを検討する社内新規事業を担当することになり今に至る、という流れです。
ー記事の編集と新規事業開発では、業務内容や求められるスキルがかなり違いますが、抵抗はなかったですか?
もともと好奇心が旺盛なほうですし、今までと違うことをやるつもりでオールアバウトに入ったので、あまり戸惑いは感じなかったです。
ー前年の2022年度にもMVPにノミネートされています。「All About Research」という新規事業の実績が評価されたそうですね。
「All About」の読者の方々に、アンケートやインタビュー、モニター調査に協力していただき、企業のプロダクト開発や、課題解決を支援するというサービスです。オールアバウトには20年以上のメディア運営で培ってきた読者との繋がりという大きな資産がある一方で、ユーザーアセットを活用したサービスに乏しいのが現状でした。「All About Research」は、UIやUXを重視する企業が増え、ユーザーリサーチの需要が高まる中、一定の成果を挙げることができました。
■読者の声を生かしたリアルなエピソード記事で、ヒットを連発
ー2023年度下期のMVPは、「All About Research」とは別のプロジェクトで受賞されたそうですね。どんな背景があったのでしょうか?
やっていることは実は一貫していて、リサーチ事業がユーザー基盤をもとにしたtoB向けの施策であるのに対し、今回はユーザー基盤からメディアの流入数字に直接貢献できる施策が打てないか、というスタートでした。そこでチャレンジしたのが、あるテーマに関して読者の方からエピソードを寄せていただいて記事を構成する「エピソード記事」の制作です。
これまでの傾向から、エピソード型の記事はテーマがハマりさえすればGoogle Discoverを中心に流入を得られやすいことが分かっていました。一方で課題としてはコンスタントにエピソードを確保することや制作体制を確立すること。そこでエピソード記事のプロジェクトにあたっては「テーマ」と「数」の順に目標を切って進めることになりました。
私たちがいい記事だと思っていても、読者が面白いと感じてくれるかどうかはわかりません。時間をかけて丁寧に作ったからと言って、確実にヒットするわけではないので、最初の1〜2カ月は、どんな傾向の記事がヒットするのかを分析しながら、自分ひとりで手を動かして、どんどんコンテンツを作っていきました。ある程度テーマの取捨選択ができるようになったところでヒット記事の構成をテンプレート化し、ほかの人でも一定のクオリティで制作できるような仕組みを整備。そこから人を増やして記事数を確保していきました。結果、制作できる記事の数が大幅に増え、1カ月間のセッション数が前月対比で400%に拡大、マネー領域全体の流入数の40%近くまでエピソード記事が占めるという成果につなげることができました。
新規事業開発に取り組む中で身についたコスト感覚や、PDCAを回しながらプロジェクトを成長させた経験が、「エピソード記事」プロジェクトの上でも役立ったと感じています。「新規事業をやってきてよかった」と思いました。
これまでの傾向から、エピソード型の記事はテーマがハマりさえすればGoogle Discoverを中心に流入を得られやすいことが分かっていました。一方で課題としてはコンスタントにエピソードを確保することや制作体制を確立すること。そこでエピソード記事のプロジェクトにあたっては「テーマ」と「数」の順に目標を切って進めることになりました。
私たちがいい記事だと思っていても、読者が面白いと感じてくれるかどうかはわかりません。時間をかけて丁寧に作ったからと言って、確実にヒットするわけではないので、最初の1〜2カ月は、どんな傾向の記事がヒットするのかを分析しながら、自分ひとりで手を動かして、どんどんコンテンツを作っていきました。ある程度テーマの取捨選択ができるようになったところでヒット記事の構成をテンプレート化し、ほかの人でも一定のクオリティで制作できるような仕組みを整備。そこから人を増やして記事数を確保していきました。結果、制作できる記事の数が大幅に増え、1カ月間のセッション数が前月対比で400%に拡大、マネー領域全体の流入数の40%近くまでエピソード記事が占めるという成果につなげることができました。
新規事業開発に取り組む中で身についたコスト感覚や、PDCAを回しながらプロジェクトを成長させた経験が、「エピソード記事」プロジェクトの上でも役立ったと感じています。「新規事業をやってきてよかった」と思いました。
ー具体的には、どんな記事がヒットしたのですか?
「老後の年金生活」をテーマにした記事は、毎回多くの方に読まれる傾向があります。実際に年金をいくらもらっているか、支給された年金額で実際に生活できているか、などのリアルな情報はなかなか手に入らないので、皆さん興味を持って読んでくださっているようです。私個人としては「これまでの人生で後悔していることはありますか」という質問に、「亡くなった妻にもっとやさしくしておけばよかった」「現役時代は、妻の意見を否定するようなことばかり言ってしまった」と回答してくれた男性の記事が特に記憶に残っています。饒舌な文章ではなく、ごく短いセンテンスなのですが、不器用でも一生懸命に書かれた言葉は読者に伝わるんですよね。メディアって面白いなとあらためて感じました。
特に紙媒体で編集の仕事をした経験があると、つい文章を「きれいに」整えたくなるんです。でも、手を入れすぎると、「リアルさ」や「生々しさ」が失われてしまう可能性があります。例えば読者アンケートの回答で、同じことが2回書かれているのは、その方にとってすごく大事なことだからなのかもしれません。あえて編集しすぎないことは意識しています。
特に紙媒体で編集の仕事をした経験があると、つい文章を「きれいに」整えたくなるんです。でも、手を入れすぎると、「リアルさ」や「生々しさ」が失われてしまう可能性があります。例えば読者アンケートの回答で、同じことが2回書かれているのは、その方にとってすごく大事なことだからなのかもしれません。あえて編集しすぎないことは意識しています。
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