ひとりひとりが先を見通すチカラをつける時代へ! “パーソナルファイナンス”をサポートする「金融プロジェクト」の挑戦
総合情報サイト「All About」の中でも多くのユーザーから支持を集めるマネー領域。人生100年時代に突入し、誰もがお金の不安を抱えている中、マネー領域として最も重視している考え方が「パーソナルファイナンス」だ。昨年10月に発足した部署横断の「金融プロジェクト」が目指す“パーソナルファイナンスの実現”への道筋を、アカウントプランニング部・平田さんとコンテンツプロデュース部の田川さんに聞いた。
プロフィール紹介
平田 祥子(ひらた さちこ) メディアビジネス本部 アカウントプランニング部 金融プロジェクトリーダー 前職は証券会社。オールアバウト入社2006年。金融領域のWEB・雑誌での営業を担当した後、出産を経て2014年に復帰。金融領域の営業13年のベテラン。 田川大地(たがわ だいち) メディアビジネス本部 コンテンツプロデュース部 マネジャー 出版社勤務の後、2018年の4月1日に入社。投資チャネルや住宅領域などのプロデューサーを経て、現在は、コンテンツプロデュース部で金融と恋愛領域の新規プロジェクトを主に見ている。 |
■編集と営業が横串になって金融プロジェクト発進!
―2018年の10月に部署を横断する「金融プロジェクト」を立ち上げた背景を教えてください。
平田
まず、社会的背景として、くらしやお金に関する調査を見ると、今の生活にはそこそこ満足をしているものの、なにかしら将来への不安を抱えている人が多いです。特に30~50代の現役世代にその傾向が強く、「老後の生活設計」、「年金」、「居住費」、「介護」、「子どもの教育費」など、全方位的に将来への不安が広がっている印象があります。
※引用:NPO法人日本FP協会「くらしとお金に関する調査」
※引用:NPO法人日本FP協会「くらしとお金に関する調査」
―不安が広がっている理由は何でしょうか?
平田
「これをやっていれば安心」と国や企業が保障してくれるものが見えづらくなっていることがあります。6月に金融庁が公表し、ひと悶着のあった「老後2,000万円問題」がいい例でしょう。経団連の「終身雇用限界」発言もそうですね。国や企業に頼れないのであれば、自分のお金のことは自分で考えないといけない、そんな時代になっています。
ただし、私たち現役世代というは、幼少期から金融教育を受けているわけでもないですから、自分で自分のお金を何とかする、という考え方に慣れていません。今の家計状況が適切なのか、人生の中で自分が今どんなお金のステージにいるのか、「今」のことすら判断を付けづらいのが現状です。そうなると当然、先の試算もたてられませんし、解決策も見つけられない。結果、漠然とした将来への不安が広がってしまうのだと感じています。
ただし、私たち現役世代というは、幼少期から金融教育を受けているわけでもないですから、自分で自分のお金を何とかする、という考え方に慣れていません。今の家計状況が適切なのか、人生の中で自分が今どんなお金のステージにいるのか、「今」のことすら判断を付けづらいのが現状です。そうなると当然、先の試算もたてられませんし、解決策も見つけられない。結果、漠然とした将来への不安が広がってしまうのだと感じています。
―そうした将来へのお金の不安や課題に対して、オールアバウトが今まで取り組んでいたことは?
平田
総合情報サイト「All About」では開設当初からマネー領域に注力しており、初心者向けに、お金の貯め方・備え方・増やし方を、マネーの専門家がわかりやすく解説しています。「節約するのに必要なコト」「結婚したら必要なお金のコト」「子どもが生まれたら必要なお金のコト」など、家計やライフイベントといった、比較的大きなくくりで大切な情報を発信してきました。
ただ、将来の不安を払拭するためにも、もっと個人に寄り添った形で情報を発信していく必要があると思っています。オールアバウトを通してユーザーひとりひとりに今の状況を理解してもらい、「先を見通す力」や「将来に備える力」を身に付けてもらう。これが金融プロジェクトの目的でもある「パーソナルファイナンスの実現」への支援です。
ただ、将来の不安を払拭するためにも、もっと個人に寄り添った形で情報を発信していく必要があると思っています。オールアバウトを通してユーザーひとりひとりに今の状況を理解してもらい、「先を見通す力」や「将来に備える力」を身に付けてもらう。これが金融プロジェクトの目的でもある「パーソナルファイナンスの実現」への支援です。
田川 メディアを運営する側としても、まったく同じ考えでしたね。個人への寄り添いを追求することが、新しい企業価値を生み出すのではないか。「パーソナルファイナンス」への支援を営業・編集が横串になって実現していくべき、という思いが双方で一致しました。
編集であれ営業であれ、マネー領域に携わるメンバーたちが同じ問題意識を持っていた。これが金融プロジェクト発足の一番の理由ですね。
編集であれ営業であれ、マネー領域に携わるメンバーたちが同じ問題意識を持っていた。これが金融プロジェクト発足の一番の理由ですね。
■相談者の人生に寄り添う「マネープランクリニック」が大好評
―部署を横断する金融プロジェクトを推進する上で、考え方の軸になっているのが2015年の連載開始から不動の人気を誇る「マネープランクリニック」だそうですね。
田川 はい。このコーナーは「All About」のマネー領域で、専門家であるガイドがユーザーのお金の相談に対して解決策を提案する人気連載です。「マネープランクリニック」というキーワードで直接検索してきてくれるユーザーもたくさんいらっしゃいます。記事への滞在時間も長いですし、リピーターも多いですね。
[お金の悩みを解決!マネープランクリニック] All About|お金の悩み・貯金ができない悩みにアドバイス
All Aboutで人気連載のマネープランクリニック。
ここではFPにお金の無料相談ができます。貯金ができない、借金がある、赤字などの家計の悩みから、マイホームを買いたい、住宅ローン返済の仕方、保険の見直し、子どもの教育費や老後資金が心配など、実際に寄せられた相談に専門家がお答えします。
―人気の秘密は何だと思われますか?
田川 相談者の「今」を徹底的に掘り下げ、課題解決に繋げているところではないでしょうか。「マネープランクリニック」では、いただいた相談内容、家計状況を元に、相談者が把握しきれていない自身のお金の情報を、相談者と現場の編集メンバーが一緒になって整理していきます。
保険の内容はどうなっているのか、児童手当はどう使われているのか、さらには親や親族からの援助は期待できるのかといったことまで、ひとつずつヒアリングをしながら、その人のお金の状況を明らかにします。
それを整理したのちに、専門家であるガイドが、問題を根本的に解決する糸口をアドバイスします。現場の編集と回答者のガイドが一体となって、ユーザーの今と向き合い課題を解決する、ある種「パーソナルファイナンス」への支援を地で行くコンテンツが「マネープランクリニック」なわけです。
保険の内容はどうなっているのか、児童手当はどう使われているのか、さらには親や親族からの援助は期待できるのかといったことまで、ひとつずつヒアリングをしながら、その人のお金の状況を明らかにします。
それを整理したのちに、専門家であるガイドが、問題を根本的に解決する糸口をアドバイスします。現場の編集と回答者のガイドが一体となって、ユーザーの今と向き合い課題を解決する、ある種「パーソナルファイナンス」への支援を地で行くコンテンツが「マネープランクリニック」なわけです。
―回答者はたくさんいらっしゃると思いますが、あえて一人挙げるとしたら?
田川 メインで回答していただいている、投資信託ガイドの深野康彦先生ですね。ユーザーからも深野先生に答えてもらいたい、という指名が来るほどです。
■深野 康彦さんのプロフィール
業界歴24年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の重要性や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。
好評連載『マネープランクリニック』の相談にアドバイスをしています。
―具体的に、深野先生のすごさはどういうところにあるのか教えてください。
田川 なによりも相談者の人生を尊重するところにあります。たとえば、家計を見直さないとどうにもならない相談があったとして、「これは無駄です」と切り詰めていくのは簡単ですよね。深野先生の考え方は違います。その支出が、もしかしたらその人が生きる上での活力になっているかもしれない。心の安定を保つカギになっているかもしれない。
深野先生は「心と体を健全に保ったまま、長く生きていくために、お金をどういう風に使っていくかが大切。お金よりもその人の人生の方が先にくる」というスタンスで、削る部分を丁寧に見極めてアドバイスをくれるんです。それが相談者の受け入れられる範囲に収まっていて、現実的に取り組める提案になっているのだと思います。
お金の相談を沢山受けていると、実は人生相談であったり、メンタル相談に近い形になっていることが多々あります。だからこそ、その人の人生に対してどれだけ寄り添えるかがとても大事なんです。深野先生は「私は邪道かもしれませんが」と謙遜されますが、結果的にユーザーから支持され続ける連載になっているのは、この「人生を尊重したアドバイス」があるからこそなんだと強く感じています。
深野先生は「心と体を健全に保ったまま、長く生きていくために、お金をどういう風に使っていくかが大切。お金よりもその人の人生の方が先にくる」というスタンスで、削る部分を丁寧に見極めてアドバイスをくれるんです。それが相談者の受け入れられる範囲に収まっていて、現実的に取り組める提案になっているのだと思います。
お金の相談を沢山受けていると、実は人生相談であったり、メンタル相談に近い形になっていることが多々あります。だからこそ、その人の人生に対してどれだけ寄り添えるかがとても大事なんです。深野先生は「私は邪道かもしれませんが」と謙遜されますが、結果的にユーザーから支持され続ける連載になっているのは、この「人生を尊重したアドバイス」があるからこそなんだと強く感じています。
■「マネープランクリニック」とは異なる価値を「ミニマネプラ」で創出
―そんな人気連載「マネープランクリニック」ですが、課題はあるんでしょうか?
田川 回答までに膨大な時間とコストがかかるところですね。丁寧に見ているからこそ、ユーザーが納得感を得られる回答を返せていますし、それが我々への信頼感にもつながっていると思います。ただ反面、悩みの多くに答えられていないという現状があります。年間1500件近い相談が来ていて、実際に答えられている数はそのうちの一部で、現在、半年待ちの状態です。
―相談が来てから回答されるまでの流れをもう少し教えてください。
田川 まず、専用フォームから相談内容が送られてきます。ただ、記入された情報だけではわからないことが山ほどあるため、情報の追いかけが必要になります。ここで、編集担当がメール・電話で、かなり細かいことまで丁寧にヒアリングして整理します。例えば「収支で3000円ズレていますが何か足りていませんでしょうか」といったことまでやっています。
ユーザーと何度もやり取りをし、この人がいったいどういう悩みを抱えて、どういう人生を歩んでいて、今どういう状態になっているか情報をすべて揃えてから、相談内容と併せてガイドに提出します。ただし、そこからさらにガイド視点で細かいヒアリング要件が発生します。それをまたユーザーとやりとりして……という作業を繰り返し行い、情報がクリアになってから、ようやく具体的な回答に入っていき、記事に落とし込むという流れです。
ユーザーと何度もやり取りをし、この人がいったいどういう悩みを抱えて、どういう人生を歩んでいて、今どういう状態になっているか情報をすべて揃えてから、相談内容と併せてガイドに提出します。ただし、そこからさらにガイド視点で細かいヒアリング要件が発生します。それをまたユーザーとやりとりして……という作業を繰り返し行い、情報がクリアになってから、ようやく具体的な回答に入っていき、記事に落とし込むという流れです。
―うーん。確かに時間はかかりそうですね。
田川 労を惜しまないからこそファンが多くいるのだと思います。相談者からも「本当に相談してよかった」「自分のことが整理できたし希望がみえた」「心までケアしてもらえるとは思わなかった」といった感想を沢山いただいています。
ただやはり、多くに答えられていない現状はありますし、相談してから回答するまでにけっこうなタイムラグが発生してしまうわけです。即効性を求めるユーザーにとってはもどかしさがあるかもしれません。そこで、回答数とタイムラグという2つの課題を解決するために、従来の「マネープランクリニック」から、より狭域に絞って無料相談ができる通称「ミニマネプラ」というコーナーを新たに立ち上げました。
ただやはり、多くに答えられていない現状はありますし、相談してから回答するまでにけっこうなタイムラグが発生してしまうわけです。即効性を求めるユーザーにとってはもどかしさがあるかもしれません。そこで、回答数とタイムラグという2つの課題を解決するために、従来の「マネープランクリニック」から、より狭域に絞って無料相談ができる通称「ミニマネプラ」というコーナーを新たに立ち上げました。
―マネープランクリニックとはどこが違うのでしょうか?
田川 「マネープランクリニック」では「自分では整理できない悩み」に答えていくことが多いのに対して、「ミニマネプラ」は、ある程度「何についての悩みか」がはっきりした状態で相談してもらう設計になっています。たとえば「住宅購入予算と家計のバランスが適切か」「子ども2人の大学までの費用がねん出できるか」など、目的が明確な相談に専門家が回答する方式です。
まずはこうした相談をフォームごと切り出しています。相談者の情報が結構まとまっているので、悩みを整理する工程が短縮でき、さらに要件が分かりやすいと専門家が回答するスピードも上がります。結果、相乗効果で解決できる数を増やすことができます。現在は「住宅のお金診断」と「教育のお金診断」の2テーマを走らせていますが、ユーザーの相談内容を研究しながら、今後はもっとテーマを増やしていきます。
まずはこうした相談をフォームごと切り出しています。相談者の情報が結構まとまっているので、悩みを整理する工程が短縮でき、さらに要件が分かりやすいと専門家が回答するスピードも上がります。結果、相乗効果で解決できる数を増やすことができます。現在は「住宅のお金診断」と「教育のお金診断」の2テーマを走らせていますが、ユーザーの相談内容を研究しながら、今後はもっとテーマを増やしていきます。
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