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<関係者が語るオールアバウト>オールアバウトの信念と誠実さは、経営者になったいま、大きな財産に

今月から新たな企画として、オールアバウトに関わったことのある様々なステークホルダーの対談を通じて、現社員でも知らないオールアバウトの知られざる一面を引き出していきたいと思います。第一弾では、オールアバウトが創業間もない時期に広報・マーケティングの基礎を作ったアイランド代表・粟飯原さんと、2008年に新卒入社し、編集や新規事業に携わったヒトカラメディア取締役・田久保さんに話を伺いました。

■昔から変わらないオールアバウトの誠実さ

ーまずはおふたりがオールアバウトに入社された経緯と、現在のお仕事について教えてください。

私は新卒で入社した日本電信電話(現NTTコミュニケーションズ)時代から、その後、転職したリクルートでも、ずっと新規事業畑で働いていました。その流れで、当時できたばかりのオールアバウトに、広報・マーケティング担当として出向することになったんです。退職後は、2003年からアイランドという会社の代表として、「おとりよせネット」「レシピブログ」「朝時間.jp」などのライフスタイルメディアを立ち上げ、運営してきています。
僕は新卒でオールアバウトに入社したのですが、学生時代に自分の専攻以外の幅広い分野に興味を持つようになり、「自分の好きなものは、1つに絞れないな」と感じて、就活ではいろんな領域に触れられそうなメディア系の企業を受けていました。

そんな中で、インターネットメディアに可能性を感じたのと、オールジャンルの記事を扱っているオールアバウトなら、多様なインプットが得られるのでは思いました。最終的には、江幡さんの「情報で世直しする」という理念に共感したことが入社の決め手になりましたね。

その後、2014年にヒトカラメディアという会社に参画し、今は取締役として企画・マーケティング・採用・組織戦略などを担当しています。事業内容としては、ベンチャー企業向けのオフィス移転支援です。不動産会社と設計事務所の抱き合わせのようなことをやっています。会社の移転を検討している企業に対し、「せっかく移転するなら、単に立地や床面積といった条件だけで移転先を決めるのではなく、立地をすこし妥協してでも内装にお金をかけて、メンバーの働く環境と採用に投資にした方がいいのでは?」といったような一歩踏み込んだ提案をすることで付加価値を出す。コンサルティングのような考え方も含んでいます。

ーおふたりはオールアバウトでどんなお仕事をされていたのですか?

入社して最初の配属先は、自動車領域の編集部でした。当時は車好きの先輩たちが、営業・商品企画・編集横断チームで自動車専門のメディアを作っていたんです。今、思うと、そのタイミングでそこに入れたのは、とてもラッキーでした。単なる編集の仕事だけでなく、「どうやってコンテンツをお金にしていくのか」「営業がどんな風にがんばって案件を取ってきてくれているのか」「クライアントへどう効果を返せるのか」といった広告の力学を間近で学ぶことができたのは、非常に良い経験になりましたね。
私が入った頃は、まだメディアが立ち上がったばかりで、しかも当時はネットバブルが弾けた直後だったこともあり、周囲からは「絶対に失敗する」という声が聴こえてくるような厳しい環境でした。それでも「ユニークユーザー数を0から1,000万を目指す」と公称していたので、やれることはなんでもやろうという感じで、どうにかして「All About」というブランドや知名度を上げようと、必死でしたね。
大企業からいきなりそんなところへ行って、カルチャーショックが大きかったのではないですか?
そりゃもう、ほんとに。毎日が文化祭前日みたいでした(笑)。“明日が文化祭当日なのに、夜中の変なハイテンションで議論が始まって、突然ひっくり返っちゃう!”みたいな。当時はすごくハードワークだったけど、でも楽しかったなぁ。ベンチャーの始まりに立ち会えたのは、すごく幸せなことでした。

ーそんな過酷な状況でもやり切れたのは、どんな理由が大きかったですか?

サービスコンセプトに対する共感と、出向してきたからには役に立たないと、という責任感。そして、やはり江幡さんの存在が大きかったですね。私は社長直下のプロジェクト担当としていろいろ動いていたので、江幡さんのスゴさを日々感じていました。だって、あれだけ日々トラブルがあるのに、慌てるどころか落胆する様子もないし、ため息ひとつつかないんですよ。むしろ余裕綽々で笑顔でいる……並の精神力じゃないなと。

今、自分も経営者として仕事をする上で、メンタルの在り方は江幡さんから学んだところが大きいと思います。
それは僕もすごくあります。江幡さんには信念がありますよね。ビジネスとしての難易度は高いけど、絶対にやっていることは間違っていないっていうブレのなさ。
すごく仕事に対して誠実なんですよね。アイデアはいくらでも出して、おもしろいことをやっていいけど、道に外れるようなことは絶対にやっちゃいけないというポリシーは、昔から変わってないと思います。そういう文化があるのは、江幡さんや当時の編集長の人柄もあると思うし、あとオールアバウトは当時ベンチャーとはいえ、事業としてやっていいことと悪いことの分別のある事業経験が豊富なオトナたちがやっていたからではないかと。

■オールアバウトの強みは営業力

ーオールアバウトで一緒に働いていた同僚で印象に残っている人はいますか?

江幡さんが「オールアバウトは動物園みたいだ」とよく言っていましたが、一人ひとりの印象が薄れちゃうくらい本当に衝撃的な人が多かったです(笑)。例えば、会議中に怒って退出する人や、自分の人生について全社員宛に長文メールを送る人、はたまた雨が降ると休む人とか……。でも、みんな、その個性がなぜか魅力でもあったりして(笑)。

それ以外にもビジネススキル面でスゴイなと感じたのが当時の編集長だった森川さん。家庭の事情で早く帰っていたのですが、その分、判断がめちゃくちゃ早い。こんなに即座に精度の高い判断ができる人がいるのかと驚くほど、どんな質問メールを送ってもいつもすぐに返事が来るんです。女性の働き方のモデルとして、今、考えると素晴らしいなと思います。同じように、広報の先輩として活躍されていた今泉さんも、仕事のスピードが驚くほど速かったです。

あとは、とにかく営業がスゴい。サイトも完成していない何もない状態でも、コンセプトやサイト構想だけで企画が売れたり、月末最終日になると受注のメールがジャンジャン送られて来たりしていました。リクルートから来ている人が多かったというのもあるかもしれないですが、当時ベンチャーはインバウンドだけでいいと言われていた時代に、あれほど強い営業力があったことは、大きな強みだったと思います。
江幡さんも営業の重要性は強調していて、よくみんなにも言っていましたね。僕は営業経験がないので、営業の人たちは本当にリスペクトしていました。僕が入社して3〜4年が経った頃って、普通のタイアップ広告が売りづらくなっていたんです。それでもオールアバウトの営業の人たちは、みんな自分で商品を作ってくる。「うちの商品は売れないから、どうしようもない」ではなく、「売るためにどうするか」を考えられる人たち。

オールアバウトの営業スキルは、めちゃくちゃ高いと思います。あと、車好きの先輩たちに囲まれていたので、“趣味と仕事をごちゃ混ぜにして、人生を楽しむ”という生き方には大きな影響を受けました。直属の上司だった荒井さん(現オールアバウトナビ、citrus編集長)の口癖が「仕事は楽しまないと、もったいないじゃん」でしたから。

ーおふたりの話を伺っていると、大変なことがありながらもすごく楽しく働いていらっしゃったようですが、オールアバウト退職を決めた理由は、何だったのでしょうか。

僕の場合、九州出身で将来的に地元に帰る可能性もあるかなと考えたときに、Webだけの経験だけでは厳しいかなと感じるようになったからです。地方でエリアも狭いので、Webよりもフリーペーパーやリアルなクチコミの方が断然強いんですよ。新しくできるパン屋の情報も、ネットより口コミが早くて詳しい(笑)。実家に帰るたびに、「みんなインターネットは使わないんだな」と考えさせられちゃって。それと、ライフワークとして地方を絡めたビジネスをやりたいと思っていたのですが、オールアバウトの事業規模になると、スケール感が合いづらい。たとえばオールアバウトの専門家モデルを「福岡市」というフィールドで展開したらどうだろう、とか考えていたのですが、稼げる妙案が作れませんでした。

そんな風に30歳前後の“社会人の思春期”でモヤモヤしていたときに、たまたま今の会社の代表と知り合ったんです。彼はずっと不動産業界で働いていたのですが、会社を立ち上げたものの、何をやるかは決まっていないという状態で。彼とは妙に馬が合いましたし、不動産なら全国どこにでもあるし、何かと掛け合わせたら面白いことができそうだと考えました。オールアバウトに残り続けるか、新たな業界でチャレンジするか。ふたつの選択肢がある中で、チャレンジせずにしこりが残り続けるのは嫌だと思い、今の会社にジョインすることを決めました。
私の場合、「おとりよせネット」のビジネスがやりたくてたまらなくなったからです。オールアバウトには出向で来ていたので、そろそろ戻らなければいけないのではないかと感じ始めていたのですが、当時リクルート本体はインターネット関連のビジネスを縮小している時代。戻ってもなかなか小規模新規事業はスタートができなさそうだったので、それなら独立してしまおうと。

自分なりに考えて、「『おとりよせネット』をどうしてもやりたいんだけど、オールアバウトの仕事も好きだし続けたい。両立する方法はありませんか?」と江幡さんに相談したところ、「それなら今までオールアバウトでやっていた仕事を全部アイランドに発注するよ」と即決してくださったんです。

なので、オールアバウトを辞めてからも週2~3回は通っていましたし、むしろ辞めたという感覚もあまりないまま、それからも3年近くお付き合いしていただいていました。上場前でしたからね。今だと、そういう判断は難しいのかもしれませんけど。

■ビジョンとマナーを大切にした動物園を作りたい

ー現在のオールアバウトを外部から見ていて何か思うことはありますか?

小さな規模でもいいから新規事業をどんどん作ってもらいたいと思います。ビジョンが強い会社なので、どうしてもキレイな方に行きがちですが、ビジネスモデルから泥臭く立ち上げる力が、もうちょっとあると、さらに成長するんじゃないでしょうか。
グループ全体ではたくさん新規事業をやっているんだけど、「All About」って、いい意味で老舗だしブランドができているから、世の中のイメージを壊していくのが難しいんだろうなと思っています。そこは広報が新規事業にもっとフォーカスして、世の中に伝えていけると、”オールアバウトって、あんなこともこんなことも、実はやっているんだ”という認知が広がるかもしれませんね。
いま不動産業というリアルの会社やっていて思うのは、ネットのビジネスは収益を上げるまでが大変だということ。競合も多いですしね。なので、オールアバウトもインターネットにこだわり過ぎず、ガイド(専門家)というアセットや、彼らのノウハウをうまく使うことができれば、もう少し新規事業が立ち上がりやすくなるのではないでしょうか。当時は全然考えが及びませんでしたが、あの太いチャネルをリアルなソリューションにつなげられたら、本当にすごいことが起きるだろうなと思っています。

ーオールアバウトでの経験で、今の経営に活かされていることはありますか?

ビジネススキルはもちろんなのですが、意外なところで「編集スキル」も経営には活きると感じています。採用メッセージを考えたり、企業理念を組み上げたりするところで、役立つんですね。「どんな言葉なら長く運用できて、うまく現場に浸透させられるのか」と考えるのは、記事のタイトル決めや企画を提案する際のコンセプト作りに近いと思います。
私はNTTコミュニケーションズという完成された会社から、創業期のカオスなオールアバウトに行ったので、一番学んだのは“未完成を楽しむ”ことだったと思います。あれない、これない、と言い出したらキリがない。むしろ、それを楽しめる人がベンチャーに向いているとわかりましたし、「何か問題があれば、それを楽しんでクリアすればいい」という思考は、今の経営でも役立っていますね。
あ、あと、採用の考え方は影響を受けていると思いますね。「ちょっと変わった考え方の人って、面白いじゃん」というのが染み付いているようで。僕も動物園みたいな会社を作りたいです。その分、ビジョンに対する共感は大切にしたいですが。
私も、そう。未完成は楽しむけど、“ビジョンとマナーは絶対に守る”というオールアバウトの良さは継承していきたい。マナーというのは、礼儀というよりも誠実さ。日々の運用や仕事に対する姿勢が本当にしっかりした会社だったと思います。

ー最後に、これからのご自身の目標を教えてください。

「働き方を増やしていく」というのを会社の軸にしているので、多様な働き方を企業が合理性を持って受容できるよう、僕自身もっと勉強して極めていきたいと考えています。その延長線上で、採用や新規事業の文脈で地方移住を促進できればと。今31歳なので、30代は、そこに突っ込みたいですね。
「みんなの暮らしを、もっと楽しく、わくわく、心地よく」というコンセプトでライフスタイルメディアを運営している中で、5年前からもっとユーザーさんとのお付き合いを濃くしていきたいと思い、イベント事業も始めています。のべ4,000名とお会いしているのですが、この秋からはもうひとつスタジオを増やして、さらに深いエンゲージメントを作れるメディアにしていきたいと思っています。もっとリアルとWebを繋げたいというのが、私の夢ですね。これからも、この夢を追い続けていきたいです。

アイランド副社長の長谷川さん(左)も、実はオールアバウトOB!
■アイランド株式会社 代表取締役社長 粟飯原 理咲(あいはら りさ)
https://www.ai-land.co.jp/


1974年生まれ。筑波大学第一学群社会学類を卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社に入社。2000年に株式会社リクルートに転職し、次世代事業開発室、事業統括マネジメント室を経て、オールアバウトに出向し広報・マーケティングプランナーを経験。2003年7月よりアイランド株式会社代表取締役社長。「おとりよせネット」「レシピブログ」「朝時間.jp(※)」などのポータルサイトを立ち上げる。日経WOMAN誌選出「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」2000年度ネット部門第1位、2003年度同賞キャリアクリエイト部門第6位受賞。
※朝時間.jpは、2014年に株式会社VOYAGE GROUPと合弁で立ち上げた「メルメディア株式会社」にて現在運営。
■株式会社ヒトカラメディア 取締役 田久保 博樹(たくぼ ひろき)
http://hitokara.co.jp/


1986年生まれ、佐賀県出身。九州大学芸術工学部音響設計学科卒業。2008年、株式会社オールアバウトに新卒入社し、メディアの編集や企画、広告制作、新規事業の立ち上げなどに従事。『Facebook navi』の立ち上げにも携わる。2014年、ヒトカラメディアに参画。企画・マーケティング、採用、組織戦略などを担当。『「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくする』というミッションを掲げ、働く場・働き方に関するソリューションを提供中。趣味は旅行と歴史・祭りとお酒とアウトドア。
(取材・文 野本 纏花)
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