【arm Treasure Data イベントレポート】自社だけでは生き残れない時代のAll Aboutが進めるデータエクスチェンジの未来(プラットフォーム開発部・中島)
arm TRESURE DATAとオールアバウトの共同開催セミナーに、プラットフォーム開発部ジェネラルマネジャーの中島が登壇。月間3000万人の自社のユーザーデータのほか、提携メディアやNTTドコモのデータを掛け合わせる基盤としてオールアバウトが採用する「Arm Treasure Data eCDP」。その導入背景と、最新のコンテンツマーケティングへの活用事例を解説します。
8月23日にarm Treasure Dataが主催した、同社の契約企業向けCDP活用セミナーと、9月20日に同社とオールアバウトが共催したセミナー「パブリッシャ-が知っておくべき、データエクスチェンジの未来」に、プラットフォーム開発部責任者、中島が登壇しました。
この2つのセミナーで中島は、CDP導入企業、パブリッシャーに向けて、現状をこう説明しました。
この2つのセミナーで中島は、CDP導入企業、パブリッシャーに向けて、現状をこう説明しました。
企業の一方的なメッセージが生活者に届かない今、彼ら生活者とのコミュニケーションの最前線を担っているパブリッシャーの存在が必要不可欠です。しかしながら、PVのみで取引される現市場において、良質なパブリッシャーは収益があがらず市場からドロップアウトする。企業もパブリッシャーも、生き残るにはオープンにデータをつなぎ、複数の指標が流通する新たな市場を協力して作る必要があります。
本記事では、セミナーでお話したArm Treasure Data eCDP導入背景にある広告主とパブリッシャーを取り巻く環境変化について、また総合情報サイト「All About」と提携メディア、そしてNTTドコモとのデータ連携によるコンテンツマーケティングの事例を紹介します。
■パブリッシャーも広告主も、自社だけでは生きられない時代
―なぜ「良質なメディア」が駆逐されるのか
現在、パブリッシャーを取り巻く環境は厳しいです。
「悪貨が良貨を駆逐する」(グレシャムの法則)という言葉がありますが、これは見た目の価値は等しいが、実際の価値が異なる2種類の貨幣が同時に流通する場合、実際の価値が高いほうの貨幣は駆逐され、市場に流通するのは価値の低い貨幣だけになるという理論のこと。
貨幣をインプレッション(IMP)に置き換えると分かりやすいのですが、パブリッシャーの収益源であるデジタル広告市場はまさにこの状態にあります。
「悪貨が良貨を駆逐する」(グレシャムの法則)という言葉がありますが、これは見た目の価値は等しいが、実際の価値が異なる2種類の貨幣が同時に流通する場合、実際の価値が高いほうの貨幣は駆逐され、市場に流通するのは価値の低い貨幣だけになるという理論のこと。
貨幣をインプレッション(IMP)に置き換えると分かりやすいのですが、パブリッシャーの収益源であるデジタル広告市場はまさにこの状態にあります。
良貨、つまり「良質なメディア」が駆逐されるのはなぜか、その理由は、広告市場は依然としてメディアをIMPという一つの評価指標でしかみておらず、実体がブラックボックス化しているからです。
例えば、1本あたり1万円の製作費をかけて記事をつくる良質なメディア(左)は、制作費がかかっている分、広告を10円/IMPで販売していたとします。一方で、無断転載などで記事を制作している悪質なメディア(右)は、制作費がかかっていない分、広告を1円/IMPで販売します。
この時IMP、つまり価格という指標でしか取引されていないデジタル広告市場では、コンテンツの質がブラックボックス化し不透明であるために、広告主はそれを知らずして安価である右側の悪質なメディアの広告在庫を購入する。
収益が入るのは悪質なメディア(右)で、高いコストでコンテンツを制作する良質なメディア(左)は、それに見合う収益を上げられず、市場からドロップアウトする。いわば「逆淘汰」という現象が今、まさに起きているんです。このままいくと、信頼性の低いコンテンツが流通し、情報流通市場は崩壊していくと思っています。
この状況を打破するためにパブリッシャーは、インプレッションだけに頼らない複数の指標で流通する新たな市場へゲームチェンジする必要があります。
例えば、1本あたり1万円の製作費をかけて記事をつくる良質なメディア(左)は、制作費がかかっている分、広告を10円/IMPで販売していたとします。一方で、無断転載などで記事を制作している悪質なメディア(右)は、制作費がかかっていない分、広告を1円/IMPで販売します。
この時IMP、つまり価格という指標でしか取引されていないデジタル広告市場では、コンテンツの質がブラックボックス化し不透明であるために、広告主はそれを知らずして安価である右側の悪質なメディアの広告在庫を購入する。
収益が入るのは悪質なメディア(右)で、高いコストでコンテンツを制作する良質なメディア(左)は、それに見合う収益を上げられず、市場からドロップアウトする。いわば「逆淘汰」という現象が今、まさに起きているんです。このままいくと、信頼性の低いコンテンツが流通し、情報流通市場は崩壊していくと思っています。
この状況を打破するためにパブリッシャーは、インプレッションだけに頼らない複数の指標で流通する新たな市場へゲームチェンジする必要があります。
―情報流通市場が崩壊して困るのは、パブリッシャーだけでなく広告主も同じ
この情報流通市場の崩壊に困るのは、オールアバウトのようなパブリッシャーだけでなく、生活者も広告主も一緒です。
こうして良質なメディアがいなくなるということは、正しい情報を流通するパブリッシャーはいなくなり、生活者は正しい情報が得られなくなる。生活者とパブリッシャーの関係性は薄れ、広告主は自社のメッセージを届ける手段がなくなるということです。
こうして良質なメディアがいなくなるということは、正しい情報を流通するパブリッシャーはいなくなり、生活者は正しい情報が得られなくなる。生活者とパブリッシャーの関係性は薄れ、広告主は自社のメッセージを届ける手段がなくなるということです。
―情報が氾濫し、企業のメッセージは届かない。商品の価値はユーザーが発見する時代へ
マーケティングでよく言われている話ですが、情報の氾濫は企業にとって最大の敵です。人口が減少し、これ以上コンテンツへの需要が高まらないなか、参入障壁が低いデジタル広告市場において、パブリッシャーは質を問われることなく乱立し、その上で広告が展開され、あらゆるデジタルコンテンツが作り続けられている。
すでに供給が需要を上回る今は、コンテンツショックの状態にあるといえます。生活者が1日に接触する広告は数千以上あるなかで、思い出せる広告は一つもない。それどころか、広告は生活者にとって邪魔な存在となり無視される、もしくは大量にありすぎて選べないという状況に陥っています。そもそも、生活者の日常はすでに満たされていて、困っていない。
すでに供給が需要を上回る今は、コンテンツショックの状態にあるといえます。生活者が1日に接触する広告は数千以上あるなかで、思い出せる広告は一つもない。それどころか、広告は生活者にとって邪魔な存在となり無視される、もしくは大量にありすぎて選べないという状況に陥っています。そもそも、生活者の日常はすでに満たされていて、困っていない。
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