■編集者目線から生まれるおいしい記事たち
――そもそも西山さんを起用するきっかけは何だったのでしょう。
中西 実は、前職が同じ出版社で、私にとって西山さんは先輩だったんです。直接の接点はなかったのですが、優秀な人だというウワサは聞き及んでいました。オールアバウトに入社してから、西山さんがフリーランスでライターをされていると知り、声をかけたのがきっかけですね。
実際に依頼してみたら、やはり書ける人で。日本FP協会の広告案件内の相談企画でも、その対応力の幅が広くて、社内でも話題になっていました。
実際に依頼してみたら、やはり書ける人で。日本FP協会の広告案件内の相談企画でも、その対応力の幅が広くて、社内でも話題になっていました。
西山 日本FP協会へ無料相談に来た方に、どうでしたか?とお話を伺いそれを記事広告にするお仕事だったのですが、「相談したんだけどよくわからなかった」とおっしゃる方に「それはこうだったのでは?」と解説すると「なるほど!」と納得していただけることがあって、ありがたいことにそれが好評だったとお聞きしました。
基本的にFP相談にいらっしゃるのは、お金が貯まらなくて困っている方や、資産をさらに増やしたい方が一般的です。しかし、私はお金について特に困っていない方を含めていろいろなタイプの方に取材する機会を得て、貯まる人にも貯まらない人にもお話を伺うことができたので、それぞれの共通点のようなものを見出しやすかったんだと思います。性格や言動を知るだけで、貯まる人か貯まらない人かがわかるようになってきたんです。そうした感覚を生かして、少しでも興味を引く記事になるよう練り上げています。
基本的にFP相談にいらっしゃるのは、お金が貯まらなくて困っている方や、資産をさらに増やしたい方が一般的です。しかし、私はお金について特に困っていない方を含めていろいろなタイプの方に取材する機会を得て、貯まる人にも貯まらない人にもお話を伺うことができたので、それぞれの共通点のようなものを見出しやすかったんだと思います。性格や言動を知るだけで、貯まる人か貯まらない人かがわかるようになってきたんです。そうした感覚を生かして、少しでも興味を引く記事になるよう練り上げています。
中西 西山さんは記事の調理方法が上手いんですよ。そのまま出してもそこまでおいしくはならない素材を、見事な味付けと盛り付けでおいしい一品に仕立て上げる。編集者目線と現場力の高さ、その融合がなせる味わいですね。両方を兼ね備えているFPは少ないので、西山さんのような方は重宝されるんです。お客さんによって柔軟に調理方法を変えられる器用さは、先ほど挙げた「肩の強さ」につながっています。
■お金でできること、お金ではできないこと
――西山さんはどうして出版社からFPへと舵を切られたんですか?
西山 まだ会社員だった20代後半に、母が進行がんであることが判明して、1年近く会社を休んだことがあるんですね。介護休職という制度を使ったのですが、当時、有給休暇消化後は無給で、それどころか社会保険料を支払う必要がありました。
貯金がそこそこあったので、何とか1年間やりくりできましたが、お金は大事だと実感する一方で、お金でできることとできないことがあると気付いたんです。母の病気は何億円あっても治せないけれど、貯金があったからこそ母と最期まで一緒に過ごせた。貯蓄があることで何かを諦めなくて済むということがあるのだと知りました。
貯金がそこそこあったので、何とか1年間やりくりできましたが、お金は大事だと実感する一方で、お金でできることとできないことがあると気付いたんです。母の病気は何億円あっても治せないけれど、貯金があったからこそ母と最期まで一緒に過ごせた。貯蓄があることで何かを諦めなくて済むということがあるのだと知りました。
母の看病をして1年後看取り、貯蓄の必要性を思い知る [貯蓄] All About
「貯めること」の大切さは、必要に迫られたときに痛感するもの。実は、ガイドは27歳のときに、母が手術のできない進行がんだと判明し、介護休職を取得、実家に帰って看病をして1年後に看取ったという経験があります。そのときに、貯蓄の必要性を思い知りました。今回はそんな体験談をお伝えします。
加えて、私は2005年6月にフリーになったんですが、フリーになったら確定申告もしっかりしなければいけないし、そのためには入出金をしっかり管理しなければならない。さらにFPの資格はフリーで仕事をしていくうえで何かに役立つかもしれないと感じて、独立後すぐに資格取得を目指して勉強を始めました。2006年に合格して、今に至ります。
でも、当然ながら資格を取っても、それだけで仕事が来るわけではなくて、そこからの経験や個人的な勉強が大事なんですよね。妹が医師なのですが、お医者さんだって、国家試験に合格してすぐにいろいろな患者さんを診られるわけではないと、妹の日々の研鑽ぶりを見ていて感じます。
しかも資格を取ったのに、お恥ずかしながら投資信託がどうしても理解できなくて(笑)、最初はいろいろな方に教えていただきました。ちなみにマネーに詳しいライターはまだ多くないので、ライターの方はFP資格を取って勉強を重ねると仕事の幅が広がると思いますよ。
でも、当然ながら資格を取っても、それだけで仕事が来るわけではなくて、そこからの経験や個人的な勉強が大事なんですよね。妹が医師なのですが、お医者さんだって、国家試験に合格してすぐにいろいろな患者さんを診られるわけではないと、妹の日々の研鑽ぶりを見ていて感じます。
しかも資格を取ったのに、お恥ずかしながら投資信託がどうしても理解できなくて(笑)、最初はいろいろな方に教えていただきました。ちなみにマネーに詳しいライターはまだ多くないので、ライターの方はFP資格を取って勉強を重ねると仕事の幅が広がると思いますよ。
■その人に合った、今の時代に合った内容を届けたい
――西山さんがFPとして心掛けていることはどんなことでしょうか。
西山 FPの側も、もう少しかみ砕いたら伝わるだろうな、と思うことがあるんですね。例えば、家計簿はつけて当たり前とか、洋服なんてセールで買えとか、いきなりそんなに厳しく言われたら反発したくなる人も多いですよね。もう少し一般的な感覚との橋渡しをすることが、私の役割だと考えています。
FPに相談すると怒られそう、節約しろと頭ごなしに言われそう、そんな印象が強いという話もよく取材現場で一般の方からお聞きします。それではFPに相談する気持ちはおきないですし、お金の話は誰にも相談できないと勘違いしてしまう。もったいないと感じるので、お金に関する話を少しでも身近に感じられるような発信をしたいと考えています。
その人に合った、今の時代に合った、私みたいにものぐさでもできる内容を届けたい。たまにやわらかく書きすぎて、他のFPの方から、どうして「朝早く起きましょう」とか「むやみに怒らない」とか言ってるの?と疑問に思われていたりもしますが……(笑)。
FPに相談すると怒られそう、節約しろと頭ごなしに言われそう、そんな印象が強いという話もよく取材現場で一般の方からお聞きします。それではFPに相談する気持ちはおきないですし、お金の話は誰にも相談できないと勘違いしてしまう。もったいないと感じるので、お金に関する話を少しでも身近に感じられるような発信をしたいと考えています。
その人に合った、今の時代に合った、私みたいにものぐさでもできる内容を届けたい。たまにやわらかく書きすぎて、他のFPの方から、どうして「朝早く起きましょう」とか「むやみに怒らない」とか言ってるの?と疑問に思われていたりもしますが……(笑)。
■西山さんのアドバイス内容がわかる参考記事
「早起き」をすると「貯まる人」になる5つの理由 [貯蓄] All About
貯まる人・貯まらない人の違いを探るために、女性誌などの企画でアンケートをよく取ることがあるのですが、「貯まる人」に多い行動の一つが、「早起き」をすること。今回、早起きをすることで「貯まる人」になる理由を5つお伝えします。
「1000万円貯めている人」は、むやみに怒らない [貯蓄] All About
これまで「1000万円以上貯めている人」にたくさん取材をしてきたガイドですが、彼らに共通していることに、“むやみに怒らないこと”があげられます。いつもプンプン怒っている人は、もしかしたら貯蓄上手ではないのかも…。今回は、そんな“怒りと貯蓄“の関係について探ります。
中西 実際にやるかどうかは置いておいて、後押しはされると思うんですよ。いきなりハードル高く設定されたら「いやこれ絶対無理!」となる。西山さんの記事は、ちょっとやってみようかなという気持ちにさせられるんですよね。そのさじ加減がいい塩梅なんです。“1000万円貯めている人シリーズ“など、思わずクリックしたくなる見出しで、本当に巧い。
1000万円貯めている人の習慣 [貯蓄] All About
お金の貯め方を取材してきたガイドが、1000万円貯めている人の習慣や1000万円を貯める方法を解説します。
西山 友だちと食事に行くにもお金がかかるからと一切の誘いを断り、修行僧のように節約して貯めている方もいれば、日々を楽しみ、ファッションにも気を遣いつつ、友だちとの交遊も大切にしながら貯めている方もいる。同じ1000万の貯蓄をしていても、できれば後者になって豊かな人生を送ってほしい。
そのためには相談相手や記事の読者の方に寄り添うことが必要だと考えています。多少のゆとりや遊びがないと。節約をストイックにやりすぎたら、何のための人生かわからないですから。
そのためには相談相手や記事の読者の方に寄り添うことが必要だと考えています。多少のゆとりや遊びがないと。節約をストイックにやりすぎたら、何のための人生かわからないですから。
■「私のいいところと悪いところを教えてください」
――ガイドになられたのはどういった経緯でしたか?
西山 やわらかいマネー記事を書ける人ということで、お声掛けいただいたのが最初でした。ガイドはもっと知識も経験もある方が担うイメージがあったので、私でいいのかなと怯んでいました……。ですが、自分で発信する場をいただいて、新たなお仕事のつながりもできましたし、自分の中の世界も広がったと感じています。
――個として活躍していく上で、西山さんが大事になさっていることを教えてください。
西山 自分だからできること、発信できることは何かということをいつも考えています。読者の方は、どんな人が書いているのか敏感に感じ取っています。その筆者のバックグラウンドに共感して読むということもあるので、私生活のドタバタもある程度表に出しながら、まずはターゲットとする方に読んでいただくことを1番に考えています。
そして、情報を受け取ったときの感覚を大切にしています。自分が読者という場面を考えると、何かの記事を読んで興味があるテーマなのに全部読めなかったり、長い文章なのにするする読めてしまったり、そこには理由が必ずあるはず。その理由を自分なりに紐解くことで、今度は書き手としてより良い記事が書けるのではないかと試行錯誤しています。
お仕事を依頼してくださる発注者の方の思いと、私が書きたいことと、読者の求めるものと、どれかをおざなりにしてしまうといい記事は書けないので、ちょうど真ん中を探っていきたいですね。
そして、情報を受け取ったときの感覚を大切にしています。自分が読者という場面を考えると、何かの記事を読んで興味があるテーマなのに全部読めなかったり、長い文章なのにするする読めてしまったり、そこには理由が必ずあるはず。その理由を自分なりに紐解くことで、今度は書き手としてより良い記事が書けるのではないかと試行錯誤しています。
お仕事を依頼してくださる発注者の方の思いと、私が書きたいことと、読者の求めるものと、どれかをおざなりにしてしまうといい記事は書けないので、ちょうど真ん中を探っていきたいですね。
中西 もう15年ですか......。フリーで長くやられているって凄いことですよね。
西山 これはとても怖いんですけど、信頼している編集者の方に、ときどき「私のいいところと悪いところがあれば教えてもらっていいですか?」とお願いするんですよ。たくさんの書き手がいる中で、どうして私を選んでくださったのか、直すところがあったら言ってくださいとお聞きするんです。
会社勤めなら上司やお客様から自分の仕事のフィードバックを得る機会がありますが、フリーだとその機会がなかなかない。もし仕事がこない場合、たまたま依頼がないのか、見限られたのかわからないですよね。仕事をいただく場合も、誰でもいいので書き手が欲しかったのか、それとも何かの理由で選んでくださっているのかでは、大きく違う。また、実は直した方がいいところがあれば、できるだけ改善してバージョンアップいきたい。なので、フィードバックをしてもらうというのはオススメです。本当に怖いんですけどね(笑)。
会社勤めなら上司やお客様から自分の仕事のフィードバックを得る機会がありますが、フリーだとその機会がなかなかない。もし仕事がこない場合、たまたま依頼がないのか、見限られたのかわからないですよね。仕事をいただく場合も、誰でもいいので書き手が欲しかったのか、それとも何かの理由で選んでくださっているのかでは、大きく違う。また、実は直した方がいいところがあれば、できるだけ改善してバージョンアップいきたい。なので、フィードバックをしてもらうというのはオススメです。本当に怖いんですけどね(笑)。
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