――橋本
KARTEは、自社サイトに来訪した人がどんな人なのかをリアルタイムで可視化して、その人に合わせたコミュニケーションを実行するWeb接客プラットフォームです。通常は企業が自社ドメイン内のみで活用するものなのですが、KARTEの仕組みを応用して企業サイトと「All About」をまたいでユーザーの行動を計測できるようにしました。具体的には「All About」と企業ドメイン間を共通のIDでつなぐことで、クライアントサイトへ来訪した人が過去に「All About」上でどんな記事を読んでいたか、「All About」に来訪した人が企業サイト上でどういう行動をしていたかを可視化できます。
たとえば、ハウスメーカーのサイトに来訪したユーザーのうち、直近に「All About」で「妊娠出産」の記事を閲覧していた人と、「介護」の記事を閲覧していた人とでは、おすすめするプランが変わってくると思います。通常では資料請求や問い合せ、対面時に初めて知りうるこのような顧客のインサイト情報を初回来訪の時点から知っている状況を作ることができるのです。
これは1st Party data(ブランド及びパブリッシャーが直接収集するユーザーデータ)を持っている企業とメディアである我々にしかできないことで、より精度の高いセグメントデータ持って顧客を認識し、個別にコミュニケーションを設計することができます。
—KARTEを導入したジャンルはどのように選んだのですか?
――橋本
KARTEを導入したのは「住宅」「金融」「妊娠出産・子育て」「結婚」の4領域。含まれるセグメント数は全部で219あります。これらの4領域は、人が人生の中で数度しか経験しないライフイベントに関連したコンテンツを多く含んでいます。大きなイベントって決断を失敗したくないので、慎重に情報を調べるものです。そんな時に「All About」は専門家が発信している信頼できるサイトということで、よく使って頂いています。一方で、ライフイベントでは住宅や車、保険などの高単価商品を購買するタイミングでもあります。ビジネスサイドで考えた時に、ライフイベントに直面している人にアプローチしたい企業は数多くいるであろうことからも、このジャンルでの導入を判断しました。
■オールアバウトの企業理念は「あなたの明日が動き出す」 メディアとしても、ユーザーを知ることは重要。
――橋本
この“ユーザーを深く知ること”は、「All About」のメディアとしても非常に重要なんです。
記事を読んでユーザーが知りたかったことを解決することはできても、その後にアクションを促すことができたのかは、データとして持ち得ていないのが課題でした。
先ほどの例で言えば、妊娠出産を機に住宅に関して情報収集したユーザーは、実際に家を建てたのか、住宅ローンを組んだのかどうかまではわかりません。でもそこがわかれば、どういう情報を提供することで意思決定に至るのか、実際にお店まで行くのか、人を動かすプロセスを数値化できる。具体的に把握することができます。
しかし現状では「All About」の中で何かを買ったり、アクションさせることは難しいので、外でどうアクションしたかのデータを取り込む必要があった。そこでKARTEを基盤に「All About」と協力企業を繋げることで、どういう記事が実際に人を動かしたのか、動いた人はどういう期待を持ったのか、そのユーザーはどんな人だったのか、アクション前後のデータを一気通貫で見られるようにしました。
私達のサイトスローガンである「あなたの明日が動き出す」なのですが、このデータをコンテンツ制作に活かすことで、情報で誰かを最適な出口(アクション)へ導くサイトとして、一歩進みたいと思っています。そうなれば、メディアとしてもっと良い価値をユーザーに提供できるようになるんじゃないかと思うわけです。
しかし現状では「All About」の中で何かを買ったり、アクションさせることは難しいので、外でどうアクションしたかのデータを取り込む必要があった。そこでKARTEを基盤に「All About」と協力企業を繋げることで、どういう記事が実際に人を動かしたのか、動いた人はどういう期待を持ったのか、そのユーザーはどんな人だったのか、アクション前後のデータを一気通貫で見られるようにしました。
私達のサイトスローガンである「あなたの明日が動き出す」なのですが、このデータをコンテンツ制作に活かすことで、情報で誰かを最適な出口(アクション)へ導くサイトとして、一歩進みたいと思っています。そうなれば、メディアとしてもっと良い価値をユーザーに提供できるようになるんじゃないかと思うわけです。
■オールアバウトが目指すDMP構想
—オールアバウトでは今後、ネット広告ではなく、マーケティング支援を主要事業とするのでしょうか?
――箕作
ユーザーをより深く知るために、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を作っていかなきゃいけない。その構想は3年くらい前からありました。それを主に担当していたのが橋本です。先に述べた通り、「All About」は17年間、総合情報サイトを運営する中で、潜在的なユーザーニーズを把握できるだけのテーマ数とコンテンツの量を蓄えてきました。それらを活かして、マッチング精度の高い、役に立つ広告情報を提供したい。ユーザーが満足する広告提供モデルを作りたいという思想のもと、オールアバウトのメディア自体をマーケティングプラットフォームにするべきだという考えに至りました。その施策の第一弾として、KARTEを導入したということです。
目指すところは、このプラットフォームをクライアントに使ってもらうこと。データの精度が上がればユーザーの潜在的なニーズを把握でき、それをプロモーションに利用したり、コンテンツ設計に活かすことができる。ネット広告の制作も並行して行いながら、様々な手段を持ってクライアントのマーケティング支援をしていきたいと思っています。
目指すところは、このプラットフォームをクライアントに使ってもらうこと。データの精度が上がればユーザーの潜在的なニーズを把握でき、それをプロモーションに利用したり、コンテンツ設計に活かすことができる。ネット広告の制作も並行して行いながら、様々な手段を持ってクライアントのマーケティング支援をしていきたいと思っています。
――橋本
広告以外の部分でも、我々のデータやコミュニケーションのシナリオを使ってもらうことができると思います。例えばリアルの店舗で接客をする際に、来店前にその人がWEB上でどのような行動を取っていたかを元にその人のニーズや嗜好性を事前に把握することで、ニーズにマッチした商品をおすすめでき、営業の効率化・顧客満足度の向上が期待できます。
また、来店したが購入に至らなかった人や休眠顧客に対しても、WEB上で情報収集を再開したことや、ライフステージに変化があったことがわかれば、効率的に再アプローチすることが可能です。そのようなオムニチャネルでのデータ活用も視野に入れてサービス設計を進めています。
また、来店したが購入に至らなかった人や休眠顧客に対しても、WEB上で情報収集を再開したことや、ライフステージに変化があったことがわかれば、効率的に再アプローチすることが可能です。そのようなオムニチャネルでのデータ活用も視野に入れてサービス設計を進めています。
—データ分析はどのように行いますか?
――橋本
出口側のデータを持つことによって、出口を起点としたPDCAを回すことができるので、より精度の高い分析ができます。運用はうちのチームで行いますが、KARTEを使うことでデータを自分で見て、施策を行っていくことができる。よりスモールなチームで対応することで、知見を貯めていきながら、効率良い形で運用できると思います。理想は1つの案件に付き、1人が付くこと。ただそこまでの人材確保は難しいので、AIで行うという選択肢も出てくると思います。
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