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メディアからマーケティングプラットフォームへ 。「KARTE」の導入でオールアバウトが目指すこと

ユーザーのライフイベントや興味関心を個別に把握し、最適なコミュニケーションでユーザーの態度変容を促すOne to Oneマーケティングの実現にむけ、メディアからマーケティングプラットフォームに変革する構想を掲げるオールアバウト。第1弾として2017年12月にWEB接客プラットフォーム「KARTE」を国内のメディアとしては初めて導入し、本格始動しました。この先オールアバウトが目指すことを、メディアビジネス事業部の箕作さんと橋本さんに語ってもらいました。

箕作 聡(みつくり さとし)
メディアビジネス事業部 メディア本部 本部長
明治大学卒業後、2004年にJTB法人東京に入社。2006年、オールアバウトに転職。新規事業での顧客開拓のほか、グループ会社での紙媒体の広告営業を経たのち、総合情報サイト「All About」のデジタル広告ソリューションの提案に長らく従事。現在は執行役員 メディア本部長として、多くの部下を指揮する。

橋本 智明(はしもと ともあき)
メディアビジネス事業部 ビジネス開発本部
デジタルマーケティングソリューション部
2007年入社。約10年間、広告・コンテンツを起点とした企業のマーケティング支援に携わる。2016年4月に新サービスを模索するプロジェクトが発足。様々な課題を検証し、自社の強みを活かしたCRM支援サービスを開発。

■ネット広告は潜在層のインサイト発見が最大の課題

—「KARTE」を導入するに至った経緯について教えてください。

――箕作 今、インターネット広告市場は一兆円。多くの企業が認知獲得や購買などを目的に様々なプロモーションを展開していますが、それぞれの施策を一気通貫で分析できておらず、効果的な手法というのは確立されていないのが実情です。
メディアビジネス事業部 メディア本部 本部長 箕作聡

メディアビジネス事業部 メディア本部 本部長 箕作聡

まずネットメディアがほかのメディアと大きく違うのは、情報取得の主権がユーザーにあることです。 例えばテレビであれば、なんとなく流して見ていることもあるだろうし、新聞や雑誌などの紙メディアであれば、全体を読むことが多く、伝えたい情報を潜在層から関心層まで広いユーザー層に見せるのが得意。 一方ネットメディアは、ユーザーが必要な情報を検索してピンポイントで取得できるので、他のページを見る必要はない。強制的に見せようもんなら、そのコンテンツは邪魔な存在となり、かえってマイナスのイメージを持たれてしまう。インターネットの場合、ある程度ニーズが明確化している顕在層はアドテクで刈り取ることが可能ですが、ビジネス拡大において重要である潜在層も含めた見込顧客へのアプローチにおいては課題が多いです。

そんな中、潜在層へアプローチする手段の一つとして注目されているのが、今我々も取り組んでいるコンテンツマーケティング。これはユーザーニーズに沿ったコンテンツを展開し、商品訴求のみならず、ユーザーが必要としている周辺情報を伝えることでユーザーの態度変容を図る方法。商品を探していない、まだ求めていない潜在層へ、コンテンツを通して商品を認知してもらい、かつ関心を持ってもらうことを得意とする手法ですが、ここで何より重要なのはコンテンツの質。 しかし、本当にユーザーを動かすコミュニケーション、コンテンツ戦略、KPI設定に悩む担当者が多い。その最大の理由はユーザーが見えていないからです。

潜在層を振り向かせるには、彼らの深いインサイトを知る必要がある。そのためには、既存の顧客がなぜその商品を選んだのか、その背景(課題・ライフステージ・関心事)を知ること。さらに重要なのは、ユーザーを「購買」というポイントまで動かした「期待」を把握することですが、それは容易なことではありません。

■ユーザーはどこで興味を持ったか覚えていない

—ユーザーの「期待」とは?

――箕作 潜在顧客が顕在顧客化するとき、そこには必ず「期待」があります。 例えば、化粧品であれば、シミ・シワを改善したい、若返りたい、広告塔を務めている女優さんみたいになりたい、入っている成分の効果に期待したい、など人によって色々ありますよね。 現状は何かしらの期待を生み出すのはメディアやニュース、クチコミ、広告ですが、ユーザーは何を見て興味を持ったか覚えていない。それは自然発生的に目にしたり、耳にしたことだから当然です。

また企業は自社商品のファンを増やすために様々な施策を展開するわけですが、当然ながら人は「期待」だけではファンになりません。人が商品やサービスのファンになるには、①商品・サービスを「体験」することと、②購買前に抱いた「期待」に対して満足すること、この2つが必要です。 逆にいえば、無意識に抱いた「期待」と、期待を抱いた背景(ライフステージ・関心事などのインサイト)、体験後の満足度を繋いで見ていくことができれば、潜在顧客に効果的にアプローチできると考えています。
 (3441)

インターネット広告は①購買し「体験させる」ことは得意です。しかし、なぜユーザーが化粧品を探そうと思ったのか、探している化粧品に何を「期待」しているのか、その背景までは知り得ない。また、多くの広告は「購買」を終点とするプロモーションが多く、購買して、体験した後の満足度、リピート購入の有無までは把握できない。②の「期待」への満足度を見ていません。

オールアバウトで言えば、1,300のテーマを横断する月間総利用者約3,000万人のオーディエンスデータからライフステージや関心事を把握できていますが、購買情報を持っていません。 クライアント企業とオールアバウトそれぞれが持てていないデータを相互に補完する形でつなぐことができれば、マーケティング課題の解決に繋がるのではと考えました。

オールアバウトとクライアント間で分断された情報をどのように連携し、分析をして、活用するのかを考えた際、WEB接客プラットフォーム「KARTE」を活用することで、私たちが実行したいことがスピード感を持って実現できると考え導入することにしました。

—KARTEでどんなことができるようになりますか?

メディアビジネス事業部 ビジネス開発本部 デジタルマー...

メディアビジネス事業部 ビジネス開発本部 デジタルマーケティングソリューション部 マネージャー 橋本智明

――橋本 KARTEは、自社サイトに来訪した人がどんな人なのかをリアルタイムで可視化して、その人に合わせたコミュニケーションを実行するWeb接客プラットフォームです。通常は企業が自社ドメイン内のみで活用するものなのですが、KARTEの仕組みを応用して企業サイトと「All About」をまたいでユーザーの行動を計測できるようにしました。具体的には「All About」と企業ドメイン間を共通のIDでつなぐことで、クライアントサイトへ来訪した人が過去に「All About」上でどんな記事を読んでいたか、「All About」に来訪した人が企業サイト上でどういう行動をしていたかを可視化できます。
KARTE管理画面

KARTE管理画面

たとえば、ハウスメーカーのサイトに来訪したユーザーのうち、直近に「All About」で「妊娠出産」の記事を閲覧していた人と、「介護」の記事を閲覧していた人とでは、おすすめするプランが変わってくると思います。通常では資料請求や問い合せ、対面時に初めて知りうるこのような顧客のインサイト情報を初回来訪の時点から知っている状況を作ることができるのです。 これは1st Party data(ブランド及びパブリッシャーが直接収集するユーザーデータ)を持っている企業とメディアである我々にしかできないことで、より精度の高いセグメントデータ持って顧客を認識し、個別にコミュニケーションを設計することができます。

—KARTEを導入したジャンルはどのように選んだのですか?

――橋本 KARTEを導入したのは「住宅」「金融」「妊娠出産・子育て」「結婚」の4領域。含まれるセグメント数は全部で219あります。これらの4領域は、人が人生の中で数度しか経験しないライフイベントに関連したコンテンツを多く含んでいます。大きなイベントって決断を失敗したくないので、慎重に情報を調べるものです。そんな時に「All About」は専門家が発信している信頼できるサイトということで、よく使って頂いています。一方で、ライフイベントでは住宅や車、保険などの高単価商品を購買するタイミングでもあります。ビジネスサイドで考えた時に、ライフイベントに直面している人にアプローチしたい企業は数多くいるであろうことからも、このジャンルでの導入を判断しました。

■オールアバウトの企業理念は「あなたの明日が動き出す」 メディアとしても、ユーザーを知ることは重要。

 (3443)

――橋本 この“ユーザーを深く知ること”は、「All About」のメディアとしても非常に重要なんです。 記事を読んでユーザーが知りたかったことを解決することはできても、その後にアクションを促すことができたのかは、データとして持ち得ていないのが課題でした。 先ほどの例で言えば、妊娠出産を機に住宅に関して情報収集したユーザーは、実際に家を建てたのか、住宅ローンを組んだのかどうかまではわかりません。でもそこがわかれば、どういう情報を提供することで意思決定に至るのか、実際にお店まで行くのか、人を動かすプロセスを数値化できる。具体的に把握することができます。

しかし現状では「All About」の中で何かを買ったり、アクションさせることは難しいので、外でどうアクションしたかのデータを取り込む必要があった。そこでKARTEを基盤に「All About」と協力企業を繋げることで、どういう記事が実際に人を動かしたのか、動いた人はどういう期待を持ったのか、そのユーザーはどんな人だったのか、アクション前後のデータを一気通貫で見られるようにしました。

私達のサイトスローガンである「あなたの明日が動き出す」なのですが、このデータをコンテンツ制作に活かすことで、情報で誰かを最適な出口(アクション)へ導くサイトとして、一歩進みたいと思っています。そうなれば、メディアとしてもっと良い価値をユーザーに提供できるようになるんじゃないかと思うわけです。

■オールアバウトが目指すDMP構想

—オールアバウトでは今後、ネット広告ではなく、マーケティング支援を主要事業とするのでしょうか?

――箕作 ユーザーをより深く知るために、DMP(データマネジメントプラットフォーム)を作っていかなきゃいけない。その構想は3年くらい前からありました。それを主に担当していたのが橋本です。先に述べた通り、「All About」は17年間、総合情報サイトを運営する中で、潜在的なユーザーニーズを把握できるだけのテーマ数とコンテンツの量を蓄えてきました。それらを活かして、マッチング精度の高い、役に立つ広告情報を提供したい。ユーザーが満足する広告提供モデルを作りたいという思想のもと、オールアバウトのメディア自体をマーケティングプラットフォームにするべきだという考えに至りました。その施策の第一弾として、KARTEを導入したということです。

目指すところは、このプラットフォームをクライアントに使ってもらうこと。データの精度が上がればユーザーの潜在的なニーズを把握でき、それをプロモーションに利用したり、コンテンツ設計に活かすことができる。ネット広告の制作も並行して行いながら、様々な手段を持ってクライアントのマーケティング支援をしていきたいと思っています。
 (3444)

――橋本 広告以外の部分でも、我々のデータやコミュニケーションのシナリオを使ってもらうことができると思います。例えばリアルの店舗で接客をする際に、来店前にその人がWEB上でどのような行動を取っていたかを元にその人のニーズや嗜好性を事前に把握することで、ニーズにマッチした商品をおすすめでき、営業の効率化・顧客満足度の向上が期待できます。

また、来店したが購入に至らなかった人や休眠顧客に対しても、WEB上で情報収集を再開したことや、ライフステージに変化があったことがわかれば、効率的に再アプローチすることが可能です。そのようなオムニチャネルでのデータ活用も視野に入れてサービス設計を進めています。

—データ分析はどのように行いますか?

――橋本 出口側のデータを持つことによって、出口を起点としたPDCAを回すことができるので、より精度の高い分析ができるます。運用はうちのチームで行いますが、KARTEを使うことでデータを自分で見て、施策を行っていくことができる。よりスモールなチームで対応することで、知見を貯めていきながら、効率良い形で運用できると思います。理想は1つの案件に付き、1人が付くこと。ただそこまでの人材確保は難しいので、AIで行うという選択肢も出てくると思います。
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――箕作 ただ100%をAIで行うことはできません。顕在層や潜在層のユーザーニーズを知るところには、人の感覚が大切になると思います。最初にその感覚を調査した上で、PDCAを回すところはAIにまかせることはできると思います。

オールアバウトでは17年間ユーザーの関心事を把握し、総合情報サイトを運営してきた実績、広告制作し続けてきた経験があり、そのあたりの感覚がプロだと思っています。このようなコンテンツはクライアントだけを見ている営業では作ることができません。ユーザーニーズも踏まえた上でのコンテンツ開発力は、今、業界から必要とされている能力だと思いますね。

—求めている人材は?

――橋本 「All About」のデータを活用した新たなサービス開発を推進してくれる人。データドリブンマーケティングの経験者であれば大歓迎です。いま、「All About」ほどメディアデータの外部活用に積極的なメディアはないと自負しています。恐らく他社ではなかなか実現できないようなメディアのデータを活用したサービスができるのではと考えています!

■KARTE連携に関するプレスリリースはこちら

■箕作のその他のインタビューはこちら

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