経験と勘にデータという武器をプラス。クライアントの課題にクリエイティブで応えたい
2001年から、累計7000本近くのタイアップ広告を作り続けている制作部。2016年11月に営業部と一体の組織となり、その後、さらにプラットフォーム開発部も加わる「3部一体」へと進化した。制作部 ジェネラルマネジャーの西川陽子さんに、制作部の進化と部を取り巻く環境の変化と今後について聞いた。
西川 陽子(にしかわ ようこ) メディアビジネス事業部 メディア本部 制作部 ジェネラルマネジャー 上智大学卒業後、ホテル・レストラン事業のPR、結婚情報誌の制作、シニア向けのマーケティングや会員誌の制作などに携わり、住宅、旅行、食品などあらゆるジャンルを担当。 2004年3月に株式会社オールアバウト入社。制作部クリエイティブグループにて、タイアップ広告などエディトリアル全般を担当。2012年制作部ジェネラルマネジャーに就任し、現在多数のクライアントのコンテンツマーケティング案件を管轄。 |
◆ゴールへの道を照らし、数字にコミットする
―まずは制作部のミッションやご自身のお仕事内容について教えてください。
制作部のミッションは、「営業部が目指す受注目標金額に一緒にコミットすること」。これはずっと変わりません。ミッション達成のために、「コンテンツマーケティングを通じて、クライアントの役に立つこと」の価値をチームメンバーにわかってもらうのがマネジャーとしての私の仕事です。
クライアントから費用を頂いてコンテンツを作るわけですから、少なくとも期待に応えなければならない。期待を超えた価値をお返しできればベストです。広告制作をする以上、私が言わなくてもメンバーもそう考えていると思います。
営業目標を達成するために、新規企画提案はもちろん、期待を超える制作物を作ることでリピート受注をしたり、スムーズな進行で『オールアバウトは仕事をしやすい』と思ってもらうことなども、大切な業務です。
クライアントから費用を頂いてコンテンツを作るわけですから、少なくとも期待に応えなければならない。期待を超えた価値をお返しできればベストです。広告制作をする以上、私が言わなくてもメンバーもそう考えていると思います。
営業目標を達成するために、新規企画提案はもちろん、期待を超える制作物を作ることでリピート受注をしたり、スムーズな進行で『オールアバウトは仕事をしやすい』と思ってもらうことなども、大切な業務です。
―長らく制作部に身を置く中、業務内容に変化は感じていますか?
以前と同じことをやっていたら、同じ結果は出ないですね。昔は、タイアップ広告を制作して公開するというシンプルな工程が業務の大半でしたが、今はそこに至るまでの分析・企画・各種調整や、公開してからのこまめな運用などが加わり、体感的には3~4割増しになったと思います。広告効果の可視化が進み、ロジカルな提案や結果分析を求めるクライアントが増えましたから、当然ですよね。
かかるパワーは明らかに増えましたが、広告効果がはっきり見えて、次の施策に活かせることは私たちにとってもうれしいので、チームメンバーには何とか頑張ってもらっています。
かかるパワーは明らかに増えましたが、広告効果がはっきり見えて、次の施策に活かせることは私たちにとってもうれしいので、チームメンバーには何とか頑張ってもらっています。
―ユーザーの広告の見方や価値というのは、どう変化してきているのでしょうか?
ユーザーが広告に求めているものなんてそもそもないですよ。面白くて役に立って、これいいじゃんって思うものなら広告でも編集記事でもどちらでもいい。Appleのような圧倒的な商品力を持つものでない限り、商品をストレートに訴求するだけの広告コンテンツは、ユーザーにとって面白くない。だから見ない。ユーザーにリーチするためには、広告であってもコンテンツとして魅力的であることが大事です。
―クライアント側の状況はどうでしょう。
見込み顧客に商品の特長を一方的に伝え、ダイレクトに購入に結び付ける広告の効果には限界が来ています。リスティング広告(※)などで効率的に見込み顧客を“刈り取った”結果、刈り取れる人が減ってしまったことも一因です。
そのためクライアントは、ユーザーにとって魅力的なコンテンツを通じて、ユーザーからいかに共感を得るかを重視する方向にシフトしています。ファンをつくる、ということですね。ファンを育てつつ、商品訴求につなげる取り組みが「コンテンツマーケティング」で、いま非常にニーズが高まっていると感じます。
(※)料金を支払って検索結果に表示できる検索連動型広告
そのためクライアントは、ユーザーにとって魅力的なコンテンツを通じて、ユーザーからいかに共感を得るかを重視する方向にシフトしています。ファンをつくる、ということですね。ファンを育てつつ、商品訴求につなげる取り組みが「コンテンツマーケティング」で、いま非常にニーズが高まっていると感じます。
(※)料金を支払って検索結果に表示できる検索連動型広告
◆営業・制作・プラットフォーム開発部が一体化。制作実績にデータを活用し、より説得力のある提案に進めていく
―そんな状況の中、オールアバウトでは2016年に、営業部と制作部が一体になったことに加え、2018年にはさらにプラットフォーム開発部が加わり三部一体になりました。なぜそういった組織変更を行ったのか、その後の手ごたえなどを教えてください。
3つの部署がいっしょになったのは、きわめて自然なことなんです。たとえば、お蕎麦屋さんがあるとします。制作部はお蕎麦をつくる。営業部は店を宣伝したり、常連さんとつながったり、新しいお客さんを呼び込んだりする。プラットフォーム開発部は効率的な出前ルートを考えたり、Uber Eatsも導入しようよ!と提案したりする。
どれか一つ欠けてもお蕎麦屋さんは成り立たないのと同様、会社としてコンテンツマーケティングを軸にさらなる成長を目指すという思想のもとにいっしょになりました。
どれか一つ欠けてもお蕎麦屋さんは成り立たないのと同様、会社としてコンテンツマーケティングを軸にさらなる成長を目指すという思想のもとにいっしょになりました。
―それはわかりやすい例えですね。プラットフォーム開発部の業務内容をもう少し具体的に聞かせてください。
「All About PrimeAd」と呼ばれるコンテンツマーケティングプラットフォームの構築を推進しています。ここには弊社のほかに60のウェブメディアがネットワークでつながり、それぞれに専用の広告配信スペースを設けることで、コンテンツマーケティングを成功させるための、大規模かつ良質なリーチを実現する仕組みを作りました。
コンテンツマーケティングプラットフォーム「All About PrimeAd(プライムアド) -」
All About PrimeAdは、60の一次情報メディアがアライアンスを結び、コンテンツ制作から広告配信、レポートまでを支援するコンテンツマーケティングプラットフォームです。
―三部一体になったことによるメリットは、どういったものがあげられますか。
「PrimeAd」という武器が増えたことはもちろんですが、それにより多くのデータを扱えるようになったことですね。例えば20代女性をターゲットとするクライアントの商材だとしたら、All Aboutよりも見込み顧客層が多い提携メディアにも配信できる。ターゲティング精度と質、両方に優れた配信がAll About外にもできるというのもメリットかなと思います。
また、私たち制作部がいままで苦手としていた、データや数字の扱い方などもプラットフォーム開発部がレクチャーしてくれるので、そういったことを提案に生かせるようになりました。
また、私たち制作部がいままで苦手としていた、データや数字の扱い方などもプラットフォーム開発部がレクチャーしてくれるので、そういったことを提案に生かせるようになりました。
―具体的には、どう生かしているのでしょう?
以前であれば、いままで培った経験や実績のみでタイアップの企画案を出していました。でも、今では職人的な制作部の経験・勘をクライアントに理解してもらうのにデータの存在が生きています。
例えばタイアップ広告を作る際、どんな商材であっても、All Aboutの18万本にもおよぶ編集記事の中に、それに近しいものがあります。その記事がどんな反応だったのかというデータを添え、さらにタイアップに誘導する動線もキーワードやビジュアルなど切り口を変えて、複数案を優先順位をつけて出します。ここでの優先順位もデータにもとづいて提案しますね。
例えばタイアップ広告を作る際、どんな商材であっても、All Aboutの18万本にもおよぶ編集記事の中に、それに近しいものがあります。その記事がどんな反応だったのかというデータを添え、さらにタイアップに誘導する動線もキーワードやビジュアルなど切り口を変えて、複数案を優先順位をつけて出します。ここでの優先順位もデータにもとづいて提案しますね。
―確かにそのほうが説得力ありますね。
そう。個々人の好き嫌いで選ぶのではなくて、ロジックが先に立つのでクライアントの担当者も判断がしやすいし、社内で話を通しやすいのではないでしょうか。
もちろんデータの使い方というのはそれだけにとどまりません。理想は、データによって経験や勘だけでは気づかなかったファクトや想定外の切り口を見つけて、提案をしていくことです。それが最終目標ですが、まだまだ道半ばですね。
もちろんデータの使い方というのはそれだけにとどまりません。理想は、データによって経験や勘だけでは気づかなかったファクトや想定外の切り口を見つけて、提案をしていくことです。それが最終目標ですが、まだまだ道半ばですね。
―今後は広告制作の現場においても、よりデータ至上主義になっていくのでしょうか?
私たちもこれからはデータの時代と声高にうたっています。それは決してウソじゃないんですけど、それだけではない。データなのか、経験や勘なのかと言われると、どちらか一方ではなく、どっちも必要なんだと思います。経験・勘と、データが5:5か、6:4かは状況を見ながらやっていきますが、いずれにしても、広告企画をする上で人間の力は今後も重要であることは間違いないです。
◆クライアントとはあえて面倒くさいことを一緒にやっていきたい
―クライアントには、どういうスタンスを求めていますか?
厚かましい言い方かもしれませんが、時間がかかっても一緒にトライアルをしたいです。クライアント側に仮説があって、こういうことをやってみたけど、何かうまくいかない。クリエイティブで解決できる策はありませんか?みたいなディスカッションができるスタンスが一番うれしいですね。ゴールに向かって並走するイメージです。
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