<リーダーズ vol.11>「チルテレ」流“Work as Life”な動画コンテンツの作り方
日本テレビからの出向社員であり、オールアバウトナビが手がけるショート動画メディア「チルテレ」編集長の原浩生さん。昨年12月にβ版を開設し、4月2日より本格始動した「チルテレ」は、BS日テレの新番組とも連動しながら、ミレニアル世代が気になる様々なエンタメ動画コンテンツを発信しています。そんな「チルテレ」が、何を大切にしながら、どこへ向かうのか。原さんに詳しくお話を伺いました。
原 浩生(はら ひろお) 株式会社オールアバウトナビ プラットフォーム戦略部 ゼネラルマネジャー 2000年日本テレビ放送網株式会社入社。視聴者参加型番組の企画・制作、番組連動アプリの企画・開発、日テレホームページ編集長など、テレビ×ネット領域を推進。2014年『SENSORS』立上げ・プロデュース。2017年6月、資本業務提携により株式会社オールアバウトナビに出向。「チルテレ」編集長。 |
■両足をネットに突っ込んでやりたいと思った
——まずは原さんのこれまでのキャリアついて、教えてください。
日本テレビには地デジが始まる頃に入社したのですが、テレビがアナログからデジタルに切り替わる中で、「インターネットにつながるとどんなテレビになっていくんだろう?」と考え出したのが、僕の“デジタル人生”の始まりです。視聴者参加型の番組を作ったり、日本テレビのホームページの編集長をしたり。中でも衝撃だったのが、iPhoneの登場です。これからはネットやスマホに軸足を移していかなければテレビは喰われちゃうんじゃないか、と危機感を覚えてからは、どんどんネットのことを調べるようになりました。
その過程で「SENSORS」という番組を立ち上げて、取材と称してスタートアップの社長に会いに行ったり、ネット系の企業を訪問したりするうちに、「これまでは片足を突っ込んでいたくらいだったけど、もう両足をネットに突っ込んでやりたいな」と考えていたところに、昨年3月に日本テレビがオールアバウトと資本業務提携をして、グループのソーシャルメディア事業分野を担うオールアバウトナビに出向することが決まり、今に至ります。
その過程で「SENSORS」という番組を立ち上げて、取材と称してスタートアップの社長に会いに行ったり、ネット系の企業を訪問したりするうちに、「これまでは片足を突っ込んでいたくらいだったけど、もう両足をネットに突っ込んでやりたいな」と考えていたところに、昨年3月に日本テレビがオールアバウトと資本業務提携をして、グループのソーシャルメディア事業分野を担うオールアバウトナビに出向することが決まり、今に至ります。
■ネットメディアのデータ・ドリブンなマネジメントに刺激を受けた
——それではテレビ業界からWebメディア業界に転身されたという意識はあまりありませんか?
そうですね。ガラッと変わったという感じはあまりないかもしれません。ただ、企業カルチャーという意味では、20年近く日本テレビという1つの会社にいたので、オールアバウトの企業カルチャーからは、すごく刺激を受けています。
まず実務的なところでいうと、データ・ドリブンでロジカルにデータを見ながらマネジメントをしていく点です。もしかしたら世間一般では当たり前かもしれないけれど、日本テレビの進め方とは違うなと思いました。もちろんテレビの場合、一番のKPIである視聴率は分単位で見ていたりするのですが、最終的にはクリエイティブの力で解決するというか、クリエイターに与えられている裁量は大きいです。
あと、もう1つは、やはり江幡さんという経営者の存在ですね。特にネットは時代の変化も激しいし、正解がわからない中だからこそ、こういうビジョンを持って僕らはこっちに進むんだよという道を示すと同時に、毎週ロジカルに数字で詰めるというやりかたは非常にバランスのとれた企業運営だなと、とても勉強になっています。
まず実務的なところでいうと、データ・ドリブンでロジカルにデータを見ながらマネジメントをしていく点です。もしかしたら世間一般では当たり前かもしれないけれど、日本テレビの進め方とは違うなと思いました。もちろんテレビの場合、一番のKPIである視聴率は分単位で見ていたりするのですが、最終的にはクリエイティブの力で解決するというか、クリエイターに与えられている裁量は大きいです。
あと、もう1つは、やはり江幡さんという経営者の存在ですね。特にネットは時代の変化も激しいし、正解がわからない中だからこそ、こういうビジョンを持って僕らはこっちに進むんだよという道を示すと同時に、毎週ロジカルに数字で詰めるというやりかたは非常にバランスのとれた企業運営だなと、とても勉強になっています。
——逆に、テレビ局のやり方でオールアバウトナビに持ち込みたいところはありますか?
「SENSORS」のMCをお願いしている落合陽一さんがよく言っている言葉に“Work as Life”というものがあります。昨今の働きかた改革の流れで、仕事とプライベートをきっちり分けようという“ワークライフバランス”の話をよく耳にしますが、そうじゃない仕事もたくさんあると思うんですよね。僕自身も「SENSORS」では、メディアアートが好きで落合さんやRhizomatiksの齋藤さんの作品を見に行って、「大好きなんです!」とファンのところから関係が始まっているし。それって、どこから仕事で、どこまでが趣味かっていう明確な線引きってないじゃないですか。今のご時世ではなかなか難しいところもあると思うのですが、コンテンツやメディアを作るって、そういうことなのかなと。でもネットでは、どうしても効率が先行してしまいますよね。
「チルテレ」の打ち合わせを社内でしていると、みんな現実味を加味した上で発言するので、どうしても小さくまとまりがち。「ブレストなんだから、いったん全部吐き出して、とにかく好きなことを言ってみろよ」というのは、若手にいつも言っていることですね。「(べつに自分は好きじゃないけど)今これが流行っているからPVが取れますよ」って言われても、PVが取れたところで継続性もないし、魂もこもっていない。そうじゃなくて、とにかく本当に自分が好きなものをさらけ出してほしいんですよ。
だから会議中は意識的に雑談を増やしたり、BGM担当を毎回決めて、好きなチル音楽を流してもらうようにしたりしています。たまに気になる曲があったら、そこから会話が広がるでしょう?「本当に好きなら、取材行っちゃえばいいじゃん!」と言うと、「いいんですか?!」って驚くんだけど、「いいに決まってんじゃん、それを出せって言ってるんだから……」というやりとりは、ままありますね。
「チルテレ」の打ち合わせを社内でしていると、みんな現実味を加味した上で発言するので、どうしても小さくまとまりがち。「ブレストなんだから、いったん全部吐き出して、とにかく好きなことを言ってみろよ」というのは、若手にいつも言っていることですね。「(べつに自分は好きじゃないけど)今これが流行っているからPVが取れますよ」って言われても、PVが取れたところで継続性もないし、魂もこもっていない。そうじゃなくて、とにかく本当に自分が好きなものをさらけ出してほしいんですよ。
だから会議中は意識的に雑談を増やしたり、BGM担当を毎回決めて、好きなチル音楽を流してもらうようにしたりしています。たまに気になる曲があったら、そこから会話が広がるでしょう?「本当に好きなら、取材行っちゃえばいいじゃん!」と言うと、「いいんですか?!」って驚くんだけど、「いいに決まってんじゃん、それを出せって言ってるんだから……」というやりとりは、ままありますね。
■日本テレビ×オールアバウトナビだからこそできること
——そもそも「チルテレ」の“チル”って、何ですか?
チルって、もともとは英語の“chill out”から来ていて、“落ち着く”とか“まったりする”といった意味なのですが、1年くらい前に市場調査で大学生と話していると、「超チルってる」という感じで“チルチルチルチル”連発している子がいたんですよ。僕も当時知らなかったので「今、何って言った?!」と聞いたのがチルとの出会いで(笑)詳しく聞いてみると、友達同士でまったりするときにも使うし、彼氏といちゃつくときにも使うし、チルっていろんな場面で使われている便利な言葉なんだなっていうのが、ずっと引っかかっていて。
スマホを見ながらまったりするときに見てもらえる動画メディアを作りたくて「チルテレ」と名付けたのが1つ。あとはダジャレというか、オールアバウトナビはもともと分散型メディアを強みにしているので、分散の“散=ちる”をかけて、「チルテレ」と名付けました。
スマホを見ながらまったりするときに見てもらえる動画メディアを作りたくて「チルテレ」と名付けたのが1つ。あとはダジャレというか、オールアバウトナビはもともと分散型メディアを強みにしているので、分散の“散=ちる”をかけて、「チルテレ」と名付けました。
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