志をカタチにする「アスピレーション型」新規事業の作り方~後編
リクルート時代、数々の新規事業を立ち上げた経験を持つ代表の江幡さんは、"ネットビジネスにおける3つの成功条件"を見出したと言います。「All About」と「サンプル百貨店」、2つのビジネスケースをもとに、江幡さんがどのようにビジネスプランを磨いてきたのか、教えてもらいました。
■ネットビジネス成功のための3つの条件
僕はリクルートで多くの新規事業を立ち上げる中で、成功したネットビジネスには、次の3つの条件が含まれていたことがわかってきました。
1.新しい価値の創造
2.圧倒的なコストイノベーション
3.レバレッジ構造
2.圧倒的なコストイノベーション
3.レバレッジ構造
まず、新しい価値を創造できているかどうか。当たり前ですが、これがないと、すぐにコモディティ化してしまい、構造がボロボロになってしまいます。次に、圧倒的なコストイノベーションを起こせているかどうか。そして、レバレッジ構造(テコの原理)になっているかどうか。ネットビジネスでプラットフォームポジションを狙うには、多額な初期投資が必要です。事業がある程度大きくなって、投資を回収した後には、大きな利益を生み出す必要があるのです。
これらの条件に加えて外せないのが、次の3つの肝です。
これらの条件に加えて外せないのが、次の3つの肝です。
A)誰とやるか
B)強烈な意志
C)タイミング
B)強烈な意志
C)タイミング
“誰とやるか”、“強烈な意志”の2つは、社内の話です。最初は人がすべてなので、自分が持っていない異能の人材を集め、同じスタンスで目標に向かう仲間が必要です。強烈な意志の重要性については、こちらで詳しく紹介しています。
“タイミング”はビジネスを取り巻く外部環境の話ですね。ITの分野は特に環境の変化が激しいので、うまくタイミングが合わなければ、いかに良いビジネスプランでも、ダメになってしまいます。このタイミングは、早過ぎても遅過ぎてもいけません。早過ぎるとビジネスとして成立しませんし、遅過ぎると競合が増えてコストが上がってしまいます。
“タイミング”はビジネスを取り巻く外部環境の話ですね。ITの分野は特に環境の変化が激しいので、うまくタイミングが合わなければ、いかに良いビジネスプランでも、ダメになってしまいます。このタイミングは、早過ぎても遅過ぎてもいけません。早過ぎるとビジネスとして成立しませんし、遅過ぎると競合が増えてコストが上がってしまいます。
■ケース1:「All About」のビジネスモデル
では、先に挙げた3つの成功条件と3つの肝をどのように押さえながら僕がビジネスを立ち上げてきたのか、総合情報サイト「All About」のケースで見てみましょう。
(1)「All About」における“新しい価値の創造”
「All About」が生み出した新しい価値は、専門家(ガイド)の中に閉じていた知を流通させることです。それまでは書籍を買ったり個別に相談しに行ったりしなければ手に入らなかった専門家の知を、誰もが無料で大量に手にできるようにしたのです。
そうして多くの人が集まるようになれば、広告主にとっても自社の商品・サービスの価値を、生活者に知ってもらうための接点として活用することができます。これも新しい価値のひとつですよね。
また、専門家にとっては、自分が専門家としてポジションを確立できる場を持つことができるようになりました。今ではブログやSNSがありますが、「All About」はそれらが出てくる遥か前に、個人が活躍する場を提供していました。
そうして多くの人が集まるようになれば、広告主にとっても自社の商品・サービスの価値を、生活者に知ってもらうための接点として活用することができます。これも新しい価値のひとつですよね。
また、専門家にとっては、自分が専門家としてポジションを確立できる場を持つことができるようになりました。今ではブログやSNSがありますが、「All About」はそれらが出てくる遥か前に、個人が活躍する場を提供していました。
(2)「All About」における“圧倒的なコストイノベーション”
こちらの記事でも紹介したように、「All About」では金銭報酬と非金銭報酬を組み合わせた“ガイドモデル”を生み出したことで、コンテンツに関わるキャッシュインパクトを圧倒的に下げることに成功しました。
さらに、コンテンツの流通経路として広告ではなく検索エンジンを活用することで、集客コストも圧倒的に下げることができたのです。広告宣伝費をまったくかけずに立ち上がりから3年間で月間利用者数500万人を達成できたのは、Googleの検索結果の上位に表示されるサイト構造にしていたからです。ちなみに「All About」のスタートと同時期に日本上陸を果たしたGoogleの第一号の提携先は、オールアバウトだったんですよ。
さらに、コンテンツの流通経路として広告ではなく検索エンジンを活用することで、集客コストも圧倒的に下げることができたのです。広告宣伝費をまったくかけずに立ち上がりから3年間で月間利用者数500万人を達成できたのは、Googleの検索結果の上位に表示されるサイト構造にしていたからです。ちなみに「All About」のスタートと同時期に日本上陸を果たしたGoogleの第一号の提携先は、オールアバウトだったんですよ。
(3)「All About」における“レバレッジ構造”
「All About」は、システム基盤の構築費と人件費で約11億円の累積赤字から始まりましたが、3年目にはグッと利益を出せるようになって、投資を回収できました。その後は、非連続な成長曲線を描くようになり、創業から5年経過した、2005年には上場を果たすことができました。
もちろん、当初の事業計画どおりにいかないこともたくさんありましたが、おおむね外れずに、現在まで長く続くビジネスとなっています。
さらに成功のための3つの肝も当然抑えています。ひとつ目の「誰とやるか」についてですが、創業メンバーは自分の志に共感してくれる異能の人材を、徹底的に妥協せず、ひとりひとりにプレゼンをして引き込みました。
はじめの3年間、投資回収するまでは倒産の危機もあったなか、盲目的に邁進できたのも、ふたつ目の肝である「強烈な意志」があってこそです。最後の肝である「タイミング」は、ブロードバンド時代に突入し、パケット量による従量課金から定額使い放題になるというパラダイムシフトが起点になると考え、2000年にオールアバウトを創業しています。
もちろん、当初の事業計画どおりにいかないこともたくさんありましたが、おおむね外れずに、現在まで長く続くビジネスとなっています。
さらに成功のための3つの肝も当然抑えています。ひとつ目の「誰とやるか」についてですが、創業メンバーは自分の志に共感してくれる異能の人材を、徹底的に妥協せず、ひとりひとりにプレゼンをして引き込みました。
はじめの3年間、投資回収するまでは倒産の危機もあったなか、盲目的に邁進できたのも、ふたつ目の肝である「強烈な意志」があってこそです。最後の肝である「タイミング」は、ブロードバンド時代に突入し、パケット量による従量課金から定額使い放題になるというパラダイムシフトが起点になると考え、2000年にオールアバウトを創業しています。
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