【ステップ04】布でさらに無駄なクリームを落としていく
ハァハァ……。まだまだ革には余分なクリームが残っている。それを今度は布で落としていく。いらなくなった布切れで十分だけど、あまり毛羽立っていないものが良いだろう。
師匠! カメラ目線もお願いします!
(なんか、キラーンっ! って効果音が聞こえた……!?)
ほら、ご覧。結構拭き取れるものなんだよ。さあ、日常的に行う手入れは、ここまでで十分。これを月1・2回ペースで行おう。ただし、雨に酷く打たれた時などは、焦らずゆっくり乾かしてからこれらを都度行って欲しい。
なんてことだ……! 靴が蘇っている……!
なんか、ヨレヨレ感もなくなってる気がする。
クリームによって栄養が染み込んだんだよ。色ツヤが蘇るだけでなく、型崩れを防ぐ意味でも、靴の手入れは重要なんだ。
【ステップ05】仕上げのワックスで靴に輝きを与える(鏡面磨き)
さて、今日は特別に「鏡面磨き」の段階まで行ってみようか。
鏡面磨き……!? なんですか、それ!?
まあ、見ててください。
靴用のワックスを、また布にちょっとだけ付けよう。今回は色褪せが激しいから他社のちょっとイイ色付きのものを使うけど、はじめて靴の手入れをするのであれば、『KIWI』という無色のワックスを持っていれば十分だよ。
『KIWI』、覚えておきます!
塗るのは、芯が入っているつま先とカカトのみ。小鳥を撫でるように、優しく、「の」の字を描きながら少量をゆ〜っくり塗っていくのがポイントだ。
さっきまで、あんなにハードシェイクしていたのに!
激しくしてしまうと、ワックスが逆に剥がれてしまうんだ。
そして、もう1つポイントがある。1度ワックスを塗ったら2〜3分ほど時間をおき、ワックスの有機溶剤を蒸発させること。そして少量の水滴を布に垂らし、なでるように再度磨くんだ。
水滴を垂らしてあげることで、布のすべりを良くし、より綺麗にワックスが塗られるのさ。さあ、完成だ。
すごい、すごい、すごい! 僕の笑顔がつま先に反射して写ってます!
しかし、まだ手入れしていない右足と比べるとその差は一目瞭然……! これが飯野さんの「鏡面磨き」か……!
■所要時間わずか15分程度でここまでに!手入れする前と後を比較してみる
飯野さんに実演していただいた「靴の手入れ」。手入れする前(右足)と手入れした後(左足)で比較していきましょう。
まず、パッと見でまったく違います。明らかに手入れしたことで靴がピカピカに輝いているのがわかるでしょう。
まず、パッと見でまったく違います。明らかに手入れしたことで靴がピカピカに輝いているのがわかるでしょう。
とくにあれだけ色ハゲが目立っていたつま先、カカトは、別の靴じゃないかと思うくらいの輝き具合! 光が綺麗に反射し、まさに「鏡面」!
ヨレヨレだった靴が元気を取り戻しています。色ハゲもしっかりと手入れをすることで、「ビンテージ感」を演出。長く大切に使っている靴である、という印象を持てますね。
特にすごい手入れをしたわけではなく、数千円で揃う手入れ用品で15分程度、メンテナンスを行っただけでこの結果です!
特にすごい手入れをしたわけではなく、数千円で揃う手入れ用品で15分程度、メンテナンスを行っただけでこの結果です!
いやあ、もう捨てようとしていた靴が、まさかこんなに蘇るなんて! まだ履ける!
でも、ちゃんともう1足買って、ローテーションで使い分けるんだよ。ねっ、飯野さん。
その通り。特に「自分に合うサイズ」「紐靴タイプ」の靴を揃えよう。長さだけでなく、甲の高さや土踏まずなどが合っていないと、すぐに疲れてしまうからね。さらに紐靴であれば「ちょっと疲れたな」というときに微調整ができるよ。
あと、プラスチック製のものでいいから、靴ごとに「シューツリー」を用意して、履かない時にはそれを入れておこう。履きジワやソールの反り上がりが酷くなるのを防ぐから。
あと、プラスチック製のものでいいから、靴ごとに「シューツリー」を用意して、履かない時にはそれを入れておこう。履きジワやソールの反り上がりが酷くなるのを防ぐから。
「今日、3件も外回りがあって疲れたーー」が、「えっ? 今日たった3件だけ? 余裕じゃん!」となるわけですね。
なるほど、「履きやすそう」という理由でスリッポンタイプを買っちゃいましたが、ローテーション用に紐靴タイプも揃えます! よーーし! これで僕もデキる営業マンに近づいたぞ!
■おわりに
ということで、「靴の手入れ」でどれだけ靴が蘇るか、そして長く履き続けられる靴になるか、おわかりいただけたかと思います。
この春から新社会人になったみなさんも、社会人生活を有意義なものにする第一歩として、自分の靴を大切にしてくださいね。
この春から新社会人になったみなさんも、社会人生活を有意義なものにする第一歩として、自分の靴を大切にしてくださいね。
おお、さっきまでボロボロだった靴とは思えない! ピカピカだとやっぱりテンションあがりますね!
よぉ~~し! ダイナミックセールスいってきますーーー!
いってらっしゃーーい! 長いお付き合いができるお客様と出会えることを期待していますよ!
ちなみに、「ダイナミックセールス」とはオールアバウトの新入社員が営業に行くときの挨拶文句らしいです。
ていうか自信満々に出かけちゃったけど、まだ左足しか磨いていないよね。
……。
飯野さんが「靴」ガイドとして活躍する理由。
「その道のプロ」のルーツを探るインタビューはこちら。
「その道のプロ」のルーツを探るインタビューはこちら。
「靴」ガイド 飯野 高広 - ガイドの原点
飯野さんは、靴の歴史的背景、靴業界、靴の紹介から靴の手入れまですべてを知り尽くす「紳士靴の歩く辞書」のような人。手持ちの靴は160足あり、40年前の靴にも等しく愛情を注ぐ。そんな彼が持つ想いの原点とは
(取材・文 ナッツ)
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