◆失敗したら辞める覚悟で臨んだNTTドコモとの資本業務提携
―そのような時期も経て、2017年には執行役員に就任。NTTドコモ(以下、ドコモ)との資本業務提携における責任者として尽力されます。ご自身の何を評価されて託されたとお考えですか?
予算や事業計画を作ることはずっとやってきたので、資本提携後の会社の姿まで描けるのではないかというところは買われたと思います。社長からは「これは絶対に、失敗できないから」と言われました。
―相当プレッシャーはあったでしょうね。
今まで売上や利益といった事業部の成果を自分自身が残してきたわけではないので、「ここで成果を残せなくてどうする」という気持ちでした。正直、失敗したら責任取って会社を辞めようと思っていました。そこまでの覚悟は初めてですね。
―まさに崖っぷちの覚悟。結果は、無事、期限内に資本業務提携を締結。先方の担当者に、百本ノックのように次々と提案をしたと聞いています。
当初は事業連携プランが全然通らなく、毎回一から作らなければいけなかったので、時間がないこともあり焦りました。そこからは、毎週のように提案をし続けて、何とか契約締結にたどりつけました。いま思えば、なかなか厳しい交渉でしたね。
◆危機感の植え付けと数字の開示で新規事業を黒字に導く?
―現在はメディアライアンス部と新規事業であるコンテンツコマース部という性格の異なる二つの部署を統括していますね。
メディアアライアンス部は、ドコモと取り組んでいる大きな案件を4つ抱えています。方向を示しつつも、みんなが成果を出せる環境を作っていくというのが、自分の基本的な仕事だと思っています。
―ドコモとの事業では、どういうゴールを目指していますか?
今まではドコモから、こういうコンテンツを作ってほしいという依頼から受託するケースが多かったのですが、今は新しい事業を一緒に作り、成長していくことを双方で目指すことが必要と考ええいます。もちろんとても大きな会社ですので、オールアバウトにないアセットを使わせていただきながら両社で一緒に大きなビジネスを育て、オールアバウト第三の柱を狙っていきたいと思ってます。
―コンテンツコマース部では「BestOne(ベストワン)」というサイトを、2017年の立ち上げ以来、初めて単月黒字が見えてきました。
「BestOne( https://thebest-1.com/ )」は、検索でものを探しているユーザーに、人気の商品やサービスをランキング形式で紹介するサイトです。メンバーのみんなが日々スピード感のある施策を講じてくれた結果、2月、3月の単月黒字が見えてきました。
―ポイントは何だったのでしょうか。
基本的には、みんながこれまでしっかりと作ってきてくれたコンテンツの方向性が間違っていなかったこと、しっかり目標を見定めて最後までやりきってくれたことに尽きます。
正直なところ、私が責任者としてしたことは、2年半赤字のBestOneが今どういう状態なのか、いつまでにどういう状態にしなければいけないのかを伝えただけです。
具体的には、就任から4ヶ月後の9月までに数字が伸びる傾向が見えなければ「BestOne」は閉じる、さらに下期は黒字化できることが継続の条件という内容だけですかね。
いきなり部署にきて成長しなければサイトを閉じると言ったので、とても印象は悪かったでしょうね……。もしかしたら、それが良かったのかもしれません。
正直なところ、私が責任者としてしたことは、2年半赤字のBestOneが今どういう状態なのか、いつまでにどういう状態にしなければいけないのかを伝えただけです。
具体的には、就任から4ヶ月後の9月までに数字が伸びる傾向が見えなければ「BestOne」は閉じる、さらに下期は黒字化できることが継続の条件という内容だけですかね。
いきなり部署にきて成長しなければサイトを閉じると言ったので、とても印象は悪かったでしょうね……。もしかしたら、それが良かったのかもしれません。
―当時の上司のように厳しく接することはないのですか?
メディアアライアンス部はベテランが多いので仕事自体はほぼお任せしていますし、コンテンツコマース部は若いですがみんな驚くほど自立していて、すごく仕事ができます。「俺がみんなくらいの年齢のときこんなにできなかったよなぁ」と思っていつも見ていますので、厳しくはないかと。ただ、ロジックが成り立っていないプランには絶対納得しないので、面倒くさい上司かもしれませんね。
◆何でも最初は未経験。スキルを積み上げていけばやってやれないことはない
―今までのキャリアを振り返って、ビジネスマンとしての自身の強みをどう評価しますか?
ビジネスマンとして何か突出して秀でたものがあると思ってませんが、実行力という部分は意識しています。さきほど根拠のない自信を持っている言ったものの、そこまで自分を過信してる訳ではないので、できるだけ準備は入念にするようにしていますし、諦めないで粘り強く取り組もうと心がけています。要は中途半端にするのが嫌いなんですよね。
ただ、一方で自分には斬新な企画力や発想力はないし、面白いコンテンツを作れるわけでもない。そこは、みんなと協力して乗り切りたいなと。幸いこの会社で入社当時から厳しく叱られてきたので、誰の声でも素直に受け入れられる傾聴力はあるのかなぁ、と。(笑)
ただ、一方で自分には斬新な企画力や発想力はないし、面白いコンテンツを作れるわけでもない。そこは、みんなと協力して乗り切りたいなと。幸いこの会社で入社当時から厳しく叱られてきたので、誰の声でも素直に受け入れられる傾聴力はあるのかなぁ、と。(笑)
―常に未経験の領域を綱渡りしてきたようにも思える中村さんのキャリアパスですが、やったことのない仕事を担当するときの怖さはありませんか。
新しい部署に配属されるということは、ゼロにリセットされるのではなく、前の部署で培った経験が必ず生きるので、初めての仕事であってもとくに怖くはないです。
仕事の内容がまったく違うように見えることでも、ある瞬間に「あれとあれってつながるな」とか、「これとこれって考え方は一緒だな」というようなことが年を追うごとに見えるようになりました。そこからは、色々とやってきた分「だったら、こうしたほうがいいんじゃないか」と、考えられる幅が広がったような気がします。
特に私の場合は、会社の数字面をずっと見る仕事をしてきたので、自然とその数字の裏側にある意味や背景を読み解く力が付きました。ビジネスの構造を把握する力とも言えるのかなぁと思いますが、これがあると未経験の領域でも通用する確信はあります。
あとはさっきも言いましたが、ある瞬間は自分にはできなくとも、最後にはできるようになっていれば良いんだ、という闘志は持っているので、そのために多少スローダウンする働き方になっても構わないと思います。
仕事の内容がまったく違うように見えることでも、ある瞬間に「あれとあれってつながるな」とか、「これとこれって考え方は一緒だな」というようなことが年を追うごとに見えるようになりました。そこからは、色々とやってきた分「だったら、こうしたほうがいいんじゃないか」と、考えられる幅が広がったような気がします。
特に私の場合は、会社の数字面をずっと見る仕事をしてきたので、自然とその数字の裏側にある意味や背景を読み解く力が付きました。ビジネスの構造を把握する力とも言えるのかなぁと思いますが、これがあると未経験の領域でも通用する確信はあります。
あとはさっきも言いましたが、ある瞬間は自分にはできなくとも、最後にはできるようになっていれば良いんだ、という闘志は持っているので、そのために多少スローダウンする働き方になっても構わないと思います。
―できないことを受け入れて、一つひとつ積み上げる。それらはすべて武器になり、つながっていく。時にはうまく力を抜く。大切なエッセンスをたくさんいただきました。今日はありがとうございました。
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