■新規事業の赤字部署に配属。粛々と手を打つ
―2018年に入社し、配属された部署は?
後に「Best One」という名称に代わりましたが、最初は「PICUP」という新規サービスを運営する部署でした。
「PICUP」(現「Best One」)は、商品、モノを紹介するメディアです。世の中の人は、ほしいモノはあるけれど、どれを選んでいいかわからない、でも失敗したくない、お得に買いたい。そういう人に対してモノの比較検討から実際購入するというところまで、スムーズにできるというのが目的のサービスでしたが、新規事業で赤字続き。部署全体としては「PICUP」をブラッシュアップして黒字化すること。僕のミッションは、サイトまで来た人に、買いたくなる情報をどうやって見せるかということでした。
「PICUP」(現「Best One」)は、商品、モノを紹介するメディアです。世の中の人は、ほしいモノはあるけれど、どれを選んでいいかわからない、でも失敗したくない、お得に買いたい。そういう人に対してモノの比較検討から実際購入するというところまで、スムーズにできるというのが目的のサービスでしたが、新規事業で赤字続き。部署全体としては「PICUP」をブラッシュアップして黒字化すること。僕のミッションは、サイトまで来た人に、買いたくなる情報をどうやって見せるかということでした。
―名称が「Best One」と変わっても、黒字化にはならず。難しい局面のときに中村さんが上司として配属されて、開口一番「黒字化しなければ、あと4か月でサービスを終了する」と余命宣告されたんですよね。いきなり上司にそういわれて、前島さんはどう感じましたか?
現在の前島さんの上司・中村さんへのインタビュー記事
2004年に第2新卒としてオールアバウトに入社し16年。一見すると順風満帆なキャリアパスをたどってきた印象のある中村さんですが、実は紆余曲折、崖っぷち、挫折のオンパレードだったそう。人生100年時代を生き抜くキャリアの積み上げ方、肩肘張らない崖っぷちの乗り切り方について聞きました。
全然プレッシャーはなかったんです。会社は利益を追求するものですから、黒字化しない事業はなくなるのは当然だな、と思いました。ただ、中村さんがくる前に、いろいろと工夫して手は打っていました。こうやったらうまく行くんじゃないかというアイデアもいくつかあったので、チームとしては、やり残しのないように思い切ってやろうというようなムードでした。気負わず淡々と前に進むだけです。
■オリジナリティを出しつつ、他社とのサービスの差分を詰め、黒字化に成功
―具体的にはどのような手を打ったのでしょうか?
とにかく他社とのサービスとの差分を徹底的に洗い出し、詰めるという作業を粛々と実行すること。そしてオリジナリティを出すこと。例えば、記事内で他社ECサイトの価格まで表示させるなどは、当時同業の中でもまだ取り組んでいない施策でした。コンバージョンが上がりましたしユーザーへの付加価値を加えることができました。
また、SEO対策としては、それまでの「記事の量をたくさん出す」という方針から方向転換をして、SEOに対して徹底的に向き合って記事の”質“を高めていきました。
また、SEO対策としては、それまでの「記事の量をたくさん出す」という方針から方向転換をして、SEOに対して徹底的に向き合って記事の”質“を高めていきました。
―他社とのサービスの差分を詰めるというのは、言い換えると模倣に近い部分もありませんか?
はい。これまでのキャリアで培ってきたのとは真逆の考え方でした。僕のバックボーンは、UX(ユーザーエクスペリエンス(User experience)デザインの略称)の概念で支えられてきましたから。
―UXについて、もう少し詳しく説明していただけますか?
UXとはユーザーが得る体験、すべてです。顧客にとってより優れた体験価値をどう作っていくのかという領域、世界。たとえば、昔の携帯の機種変更は、携帯を店員に渡してデータを移行してもらっていましたよね。その間は、なんとなく不安で、時間もかかっていましたよね。今は、端末を近づけるだけでデータが移行する。それってすごくお客様にとっては楽だし、素敵な体験でしょ? そういう体験をどう作っていくかという世界がUXです。
UXの考え方からすると、オリジナルのモノを作るのはすごく重要だとされています。どんなに小さなことでもいいから他社にはできない顧客提供価値を作ることからスタートして、顧客検証を行いながらその価値をだんだん大きくしていくのがお決まりのやり方なので、他社との差分を詰めるというのは全く逆です。ですので、逆にそういうアプローチもありなんだなというのが新しい発見で、また別の手法を身に着けることができると思いました。
UXの考え方からすると、オリジナルのモノを作るのはすごく重要だとされています。どんなに小さなことでもいいから他社にはできない顧客提供価値を作ることからスタートして、顧客検証を行いながらその価値をだんだん大きくしていくのがお決まりのやり方なので、他社との差分を詰めるというのは全く逆です。ですので、逆にそういうアプローチもありなんだなというのが新しい発見で、また別の手法を身に着けることができると思いました。
―IAを突き詰めている前島さんだから言えるのかもしれませんね。経験が浅いと変なプライドを持ってしまって、自分のやり方に固執してしまうかもしれません。
■なるべく多くの情報を広範囲から取得し、整理する
―上長の中村さんに前島さんについて伺うと「新しい挑戦やどんなに高い目標に対しても、臆することなく常に飄々としていて気持ちがいい!」とおっしゃっています。ご自身ではどのような気持ちで仕事に取り組んでいますか?
仕事を進めていく中では、「一つの会社の社長をやっている」くらいの気持ちでやっています。全体が見えていると、むしろ設定された目標が低いこともわかってきます。
他社って、ビジネス側、開発側、コンテンツ側のプロダクトマネージャーが分かれていて衝突があったりしますが、うちでは僕がそこを全部できる立場にあり、得られる経験が半端ないんです。ですから、すごくやりがいを感じて仕事をしています。
他社って、ビジネス側、開発側、コンテンツ側のプロダクトマネージャーが分かれていて衝突があったりしますが、うちでは僕がそこを全部できる立場にあり、得られる経験が半端ないんです。ですから、すごくやりがいを感じて仕事をしています。
―「Best One」のサービス拡大に向けて、この春から新規メンバー加わりました。人をマネジメントする上で心がけていることはありますか?
実は僕、放っておくとあまり人とコミュニケーションをしないで一人黙々とやっちゃうタイプなんです(汗)。ですから、意識して、週に1回は1対1でメンバーと話をする時間を取るようには心がけています。ベトナムなど海外の開発拠点の方たちとのコミュニケーションも重要です。日本語も流暢に話せる方たちではありますが、指示は、言葉や文字だけではなく、絵や図も使ってわかりやすいように相手に伝えるようにしています。
―すべての領域に対して非常にフラットで、変なプライドを持たないということが前島さんの特徴かなと思うのですが、壁に当たって悩む若い人たちに何かメッセージをお願いします。
世の中の情報にできるだけ多く接すること。僕は、家ではTVもつけっぱなしだし、各ニュースサイト、業界のRSSは計100以上登録して、すべて見逃さないように日々チェックしています。
―100以上ですか!?
インターネットの世界ではフィルターバブルという言葉があります。これは、ネットやSNSでは、自分の知りたい情報しか見えなくなってしまうことで非常に良くないことなんです。知らない世界、知らない考え方の情報を取りづらくなっている社会になっているので、まったく自分と違う考え方を、あえて取りに行くことが非常に重要だと思います。
―そうやって視野を広げていくと、フラットになって他者に対する無用なプライドがなくなっていくということでしょうか?
「我がなくなる」という感じかもしれません。SNSばかり見てしまう人は多いと思うのですが、それってすごく狭い世界なんだということはちゃんと認識した方がいいと思います。
―ニュースサイト、RSS以外でも情報は取得していますか?
散歩はおすすめです。知らない駅で降りてその地を散策する。どんな看板があって、どんな人が住んでいて、どんな店があるのか、そこで必ず気づきがあります。都内で降りたことのない駅はありません(笑)。
―すごいですね。最近ではどんな発見がありましたか?
たとえば今、飲食店はコロナで厳しい状況ですが、その中でも新しい店が結構オープンしているんです。どういうエリアでどういう業態の店がオープンしているのか、見ていると発見があり、面白いですよ。
―なるほど、100以上のRSSに触れつつリアルな情報も逃さないという情報取得の変人だからこそ、偏った価値観にこだわらずどんな場面でも対応できるチカラが身についているのかもしれませんね。
■再び放浪の旅へ!?
―今後、「Best One」をどのように成長させていきたいですか?
まずはサービスの規模を大きくして、認知を広げていくところは絶対必要だと思っています。ユーザーの満足に応えていくだけでなく、メーカー各社も満足してくれるようなサービス作りをする。さらにはコンテンツの作り手側も満足できるような仕組みつくりができれば、結果的に規模が大きくなり、持続性も上がると思いますので、ここ(Win-Win-Winの関係)を追求していきたいと思います。
―プライベートでは、何かやりたいことはありますか?
散歩にもつながりますが、行ったことがないところはどんどん行きたい性分なので、コロナが落ち着けば、ふらふらと放浪の旅に出たいです。
―え!? 会社を辞めてしまう!?
いえいえ。これからは、会社を辞めなくてもたぶんリモートでできると思いますから(笑)。
―なるほどワーケーションですね。究極の散歩は、知らない国に行くということかもしれませんね。ぜひ海外の放浪の旅に出て、情報取得の変人っぷりをアップデートをしてください。今日はありがとうございました。
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