—舟久保さんがマネジメント上でもっとも大事にされているものは、何ですか?
やはり信頼でしょうね。信頼って、当たり前ですがそう簡単に築けるものではない。過去の付き合いがあるからこそ、今の自分を応援してくれる人がいるのだと思っていて、僕も築いた信頼をなくさないよう、努力しているつもりです。
あとは、僕自身がチームを信頼することも、信頼を築く上で重要な要素です。
こっちが信頼していなかったら、相手も信頼してくれるわけがないですからね。
あとは、僕自身がチームを信頼することも、信頼を築く上で重要な要素です。
こっちが信頼していなかったら、相手も信頼してくれるわけがないですからね。
—舟久保さんが考える、理想の組織の在り方を教えてください
自分の部署だけでなく、他部署にも敬意を払い、互いに信頼しあえる状態が理想です。組織では、全員がその道のプロとして、それぞれの役割が与えられていますよね。個人間においても、役職が上とか下とか関係なく、他人の仕事にも誇りを持って仕事ができるというのが理想です。
■成熟期のオールアバウトに必要な「調和」をもたらす
—江幡社長が舟久保さんを取締役に任命した理由を、ご自身ではどのように分析されていますか?
オールアバウトのメディアビジネスも成熟期に入り、「調和」が必要なフェーズだったからではないでしょうか。劇的に伸びる状態ではないけれど、利益をある程度しっかりと出して、次に投資できる環境をつくっていく。周りと兼ね合いをとりながら進めていく調整弁としての役割を期待されていると思います。
さらには、オールアバウトグループには江幡さんという象徴的な存在がいるので、そういう立場の人が次の世代から生まれるための橋渡しをするのが僕の役目ですね。こういうことを言ってはいけないかもしれませんが、僕が次期社長をやるといったイメージはあまりありません(笑)
さらには、オールアバウトグループには江幡さんという象徴的な存在がいるので、そういう立場の人が次の世代から生まれるための橋渡しをするのが僕の役目ですね。こういうことを言ってはいけないかもしれませんが、僕が次期社長をやるといったイメージはあまりありません(笑)
—収益をあげるために、新規事業の立ち上げだけでなく、撤退など、取締役として難しい決断を迫られるシーンもあるかと思います。どのように決断されていますか?
基本的に、ジャッジポイントは事業のポテンシャルで、数字をベースに判断しています。やはり弊社くらいの会社規模だと特に、事業に関わる社員の顔や感情がくみ取りやすい分、判断がつらい部分は当然あります。なので、自分の役割として、そこは片目をつぶって言うべきことを言うし、決断しています。
—激動するIT業界ですが、さまざまな決断をする際、競合はどの程度意識するのですか?
良いか悪いかは別として競合はあまり気にしないです。
IT業界は浮き沈みが激しかったり、競合がゴロゴロ変わる。そこに一喜一憂したり、右往左往せず、「情報の信頼性を担保する」というのを軸に、やるべきことをやる。その上で成長できる事業を推進すべきと思っています。
IT業界は浮き沈みが激しかったり、競合がゴロゴロ変わる。そこに一喜一憂したり、右往左往せず、「情報の信頼性を担保する」というのを軸に、やるべきことをやる。その上で成長できる事業を推進すべきと思っています。
■自分を演出することで、仕事モードに切り替える
—舟久保さんの評価を社員に聞いたところ、“優しい” “人情味あふれる” “人格者”といった声が聞こえてきましたが、このような評価を受けることについて、どう思いますか?
自覚はないというか、言われて悪い気はしないけれど、「そこまでじゃないのにな」という、こそばゆい感じがします。「人はそれぞれ都合や正義があるから、きっと彼は彼なりに何かあるんだろう」という前提で話を聞くようにしているから、優しく見えるだけだと思いますよ。僕だって人間ですから、黒い部分はあるし、内心は感情的になっているときだってあります。
—“舟久保さんは、感受性が豊かだ”と評する人もいました。
映画や小説などからの影響は受けやすいですね。しょっちゅうですよ。たまたまAmazonのレコメンドに従って観ただけの映画でも「これは観るべくして観たな」と思ってしまう。
『ザ・エージェント』っていうアメリカンフットボールの有能なスポーツ代理人をテーマにした映画を観たときは、トム・クルーズの真似をして、熱いメッセージをWordで書いて、会議で配ったこともあります。言いにくいことも、トム・クルーズになりきれば言えたりしてね(笑)
仕事場って、ある種の舞台でしょう?映画と近しい、演出された場だと思っているので、場面に応じて自分も演じていくというのは時には有効だと思います。自分が若かったころ、映画のスターに限らず、営業のできる人の口調や服装を真似て「できる営業の自分」を演じることもありましたよ(笑)
その人になりきるということは、参考にした人の考え方や、行動を理解する必要があるわけで、要は成功する要因を分析し、自分に取り入れているということなんですよね。こういう自己演出も、自分を成長させる技の一つだと思っています。
『ザ・エージェント』っていうアメリカンフットボールの有能なスポーツ代理人をテーマにした映画を観たときは、トム・クルーズの真似をして、熱いメッセージをWordで書いて、会議で配ったこともあります。言いにくいことも、トム・クルーズになりきれば言えたりしてね(笑)
仕事場って、ある種の舞台でしょう?映画と近しい、演出された場だと思っているので、場面に応じて自分も演じていくというのは時には有効だと思います。自分が若かったころ、映画のスターに限らず、営業のできる人の口調や服装を真似て「できる営業の自分」を演じることもありましたよ(笑)
その人になりきるということは、参考にした人の考え方や、行動を理解する必要があるわけで、要は成功する要因を分析し、自分に取り入れているということなんですよね。こういう自己演出も、自分を成長させる技の一つだと思っています。
—最後に、舟久保さんの座右の銘を教えてください。
特にはないですけど、「誰も見ていなくても、自分は見ている」というのは、気をつけています。やらなかったり、妥協したことがバレなかったとしても、自分にはわかってる。人は易きに流れるものだからこそ、意識しておくことが大切だと思っています。
(取材・文 野本 纏花)
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