■プロダクトアウトとマーケットインの絶妙なバランスを探る
―入社して1年半くらいだと思うのですが、壁にぶつかったことはありますか?
私は、若干昔の編集者の教育を受けて育っているので、プロダクトアウトの発想が強めなんです。自分が落語にハマっていれば、落語の企画を出そうとか、海外取材に行きたいとなったら、そこに行くための企画を出そうとか。
自分が関心のある面白いモノは世の中の人もきっと面白いと思うだろうみたいな根拠のない自信があって、それでやってきちゃったところがあります。当然ながらオールアバウトはプロダクトアウトではなくて、Webメディアの老舗として確固たるデータ分析に基づきユーザーは何を求めているか、といったマーケットインのアプローチなんですよね。
私がいろんな企画を出したときに「どういうユーザーのニーズに基づいて言っているんですか?」と根拠を問われる。さすがに今までのやり方では通じないなあ、と。
一方でマーケットインがすべてじゃないぞという感覚もどこかでは持ち続けていたいなと思っているので、この二つをマージしていくのが自分のテーマかなと思っています。
自分が関心のある面白いモノは世の中の人もきっと面白いと思うだろうみたいな根拠のない自信があって、それでやってきちゃったところがあります。当然ながらオールアバウトはプロダクトアウトではなくて、Webメディアの老舗として確固たるデータ分析に基づきユーザーは何を求めているか、といったマーケットインのアプローチなんですよね。
私がいろんな企画を出したときに「どういうユーザーのニーズに基づいて言っているんですか?」と根拠を問われる。さすがに今までのやり方では通じないなあ、と。
一方でマーケットインがすべてじゃないぞという感覚もどこかでは持ち続けていたいなと思っているので、この二つをマージしていくのが自分のテーマかなと思っています。
―たしかに、アクセス解析ツールなどでいま世の中が求めているデータが可視化されてしまうと、自分がだんだん何をしたいかがわからなくなってくる気がします。編集者の個性が見えなくなってしまうのは怖いですね。
それですごく面白いWeb記事が増えているかというと、そうでもない。同じようなつまらない記事が増えてしまう危険性もある。そこはいち編集者として見極める必要もあるだろうなと思います。
―新型コロナウィルスの影響はいかがでしたか?
やはり、インバウンドが完全に止まっていたことによる影響はすごく大きいです。いくら日本文化や美しい風景を紹介しても日本に来られないですからね。海外からは「日本は第2の鎖国だ」と言われていました。日本からは海外旅行へ行っているのに、逆は制限するなんて、確かに矛盾して見えますよね。それを必死にリカバーしようとしているところにコロナの第7波が来てしまったという、なかなか厳しい状況ではあります。
一方で、世界経済フォーラム(WEF)が発表した2021年版の旅行・観光開発ランキングでは理想的な旅行先の調査で日本が第1位になりました。アクセスの良さ、国内でも公共交通の整理のされ方やマナーなどが評価されているので、今だにポテンシャルは高いと感じます。
一方で、世界経済フォーラム(WEF)が発表した2021年版の旅行・観光開発ランキングでは理想的な旅行先の調査で日本が第1位になりました。アクセスの良さ、国内でも公共交通の整理のされ方やマナーなどが評価されているので、今だにポテンシャルは高いと感じます。
―現在、日本のインバウンド事業での課題点があれば教えてください。
日本は、これだけ豊かな食と洗練されたサービスや文化があるけれど、少し安く売りすぎなのではないか。もちろん現在の円安がインバウンドの追い風になるのでは、という見方もあります。ただ、長期的に見たら、リピーターや長期滞在者を増やすような工夫をしていったり、付加価値のある観光資源に適正な価格をつけていくことが大事だろうな、と感じています。
―今は大切な時期と言えそうですね。
■ネイティブ「SISHO」に学ぶ、日本の魅力
―今後、岡田さんの目指す「All About Japan」の姿を教えてください。
私たちの顔であり名刺代わりであるAAJを改善し、“AAJらしさ”を丁寧にコンテンツへ反映させていきたいと思っています。
そのひとつが、「ヒト」の要素です。
タイの記事ならタイのネイティブの方が、ネイティブの視点から原稿を書いています。日本人が「こういうのが外国の人が好きかな」と思って書くことが的外れだったり、意外とタブーに触れてしまうこともあるんです。国によっては日本人が思い至らない生活文化上や宗教上のタブーもあるので、自国のマーケット、ニーズ、慣習を知っているネイティブの方の視点はやはり欠かせないですね。また、中には日本人以上に特定の分野、たとえば鉄道や日本美術、地方創生などに詳しいネイティブの有識者の方もいます。こうした専門家の知見も今後精緻にネットワーク化したいと考えています。
そのひとつが、「ヒト」の要素です。
タイの記事ならタイのネイティブの方が、ネイティブの視点から原稿を書いています。日本人が「こういうのが外国の人が好きかな」と思って書くことが的外れだったり、意外とタブーに触れてしまうこともあるんです。国によっては日本人が思い至らない生活文化上や宗教上のタブーもあるので、自国のマーケット、ニーズ、慣習を知っているネイティブの方の視点はやはり欠かせないですね。また、中には日本人以上に特定の分野、たとえば鉄道や日本美術、地方創生などに詳しいネイティブの有識者の方もいます。こうした専門家の知見も今後精緻にネットワーク化したいと考えています。
―その国の専門家という意味で言うと、All Aboutの「ガイド」に似ていますね。
はい。また日本で活躍している英語圏や台湾の方々のインタビュー記事も反響が大きいので、今後、人物インタビューやルポの記事なども積極的に掲載していきたいですね。
―書き手もテーマも「ヒト」がキーですね。
はい。All Aboutでの「ガイド」にあたる言葉としてAAJでは「オーサー」と言っていますが、今後新しい考え方を導入しようと思っています。
商品、サービス、観光コースなどについて外国人の方の意見を聞きたいとクライアントから聞かれることがよくあります。私たちには読者のネットワークもあり、作り手の外国人のライターネットワークもある。日本に滞在して日本を知り尽くしているネイティブたちを、ほかの方より一歩先をいっている師匠=「SISHO」と呼んで、一歩踏み込んだディープな日本を紹介したい。さらに企業や自治体に情報提供や意見を出すネットワークを作ろうと考えています。
商品、サービス、観光コースなどについて外国人の方の意見を聞きたいとクライアントから聞かれることがよくあります。私たちには読者のネットワークもあり、作り手の外国人のライターネットワークもある。日本に滞在して日本を知り尽くしているネイティブたちを、ほかの方より一歩先をいっている師匠=「SISHO」と呼んで、一歩踏み込んだディープな日本を紹介したい。さらに企業や自治体に情報提供や意見を出すネットワークを作ろうと考えています。
―単に書き手だけではなくて、アドバイスやコンサルもできるようなネイティブの人のネットワークを独自に作っていこうというわけですね。
■多様な才能を束ね、ひとつのテーマを編んでゆく醍醐味
―岡田さん個人として、成し遂げていきたいことは、何かありますか。
私の世代だとカリスマ編集者がスター職業だったギリギリの時代。でも今、編集者と言うと「夜中まで仕事をしていて大変そうだね」「3Kでしょ」という印象になっているのがちょっと悲しいんです。編集者やディレクターって、こんなにかっこよくて面白い仕事なんだよということをもう少し見せたいなと思っています。
―どういう編集者が今の時代における「カッコイイ」なんでしょう。
かつての編集者は、最初のトレンドや新しい遊び方を最先端でやってみせて、それをある種「上から目線」でみんなに教えてあげる……みたいなスタイルでしたが、そういうスタイルは決定的に古くなっているのかもしれません。もう少し今は双方向的なコミュニケーションのできるフラットなカルチャーの中で、カジュアルな形で併走してくれる編集者が求められているのかな。
―岡田さんにとって「編集者」とは「伴走する人」ですか。
それだけではありません。編集者は、好奇心の塊であり、ある意味“究極のなんにもできない人”。昔、映画監督の三池崇史さんにインタビューしたとき、「監督って、究極のなんにもできない人だけれど、脚本家やカメラマン、俳優など、色んなことをできる人を集めて一本の面白い映画を作るというのが監督の仕事」と言っていて、それは編集者にもつながると思っています。さまざまな才能を束ね、一つのテーマにアプローチして編んでいくという面白さがあります。
―編集に対する熱い想い、伝わりました。ぜひこれからも様々な才能を編んで、面白い「All About Japan」を創り、日本数寄を増やしてください!本日はありがとうございました。
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