■読者に必要とされるメディアを長く続けたい
―この20年で、様々なWebメディアが乱立してきました。この業界の現状と課題について、考えをお聞かせください。
業界について語るような立場ではないですが、敢えていうと、インターネットを含めたメディア事業には昔からある根本的な問題があります。それはそもそも収益を上げるモデルがほぼ広告なので、ある程度「量」というテーマから逃れられません。
テレビなら視聴率(どれだけ多く見られたか)という「量」が重要ですし、新聞や雑誌であれば部数、インターネットメディアであればPV数。とにかく広告モデルでは「量」を増やすと基本的には収益は増加し、媒体の価値も上がっていくので、必然的に如何に効率よく「量」を増やすかということがテーマになりがちです。
ですが、メディアはそもそも社会の公器としての側面もありますし、伝えるべき情報につねに「量」が伴うかどうかは分かりません。
一方でビジネスとしてのメディアは広告モデルであれば「量」がないと存続すらできません。
当然「量」的な側面と両立させた運営ができればベストではありますが、どのメディアもそこの部分で苦しんでいて、その結果やらせ問題やフェイクニュースなどの問題も発生していると思います。
このメディアを事業として存続させるための「量」的な問題と、読者にとって価値ある情報かどうかのある種「質」的な問題はトレードオフのような関係にも見えますが、決してそうではなく、ビジネスモデルとしての解決の方向性もあれば、「質」を読者にとってどのような価値に定義するかによってトレード関係をなくす方向性もあると思います。
テレビなら視聴率(どれだけ多く見られたか)という「量」が重要ですし、新聞や雑誌であれば部数、インターネットメディアであればPV数。とにかく広告モデルでは「量」を増やすと基本的には収益は増加し、媒体の価値も上がっていくので、必然的に如何に効率よく「量」を増やすかということがテーマになりがちです。
ですが、メディアはそもそも社会の公器としての側面もありますし、伝えるべき情報につねに「量」が伴うかどうかは分かりません。
一方でビジネスとしてのメディアは広告モデルであれば「量」がないと存続すらできません。
当然「量」的な側面と両立させた運営ができればベストではありますが、どのメディアもそこの部分で苦しんでいて、その結果やらせ問題やフェイクニュースなどの問題も発生していると思います。
このメディアを事業として存続させるための「量」的な問題と、読者にとって価値ある情報かどうかのある種「質」的な問題はトレードオフのような関係にも見えますが、決してそうではなく、ビジネスモデルとしての解決の方向性もあれば、「質」を読者にとってどのような価値に定義するかによってトレード関係をなくす方向性もあると思います。
まずビジネスモデルとしては、「量」によらずコンテンツ1つ1つの換金性を上げる会員制のような仕組みもあれば、コンテンツを直接販売するような形もあり、海外では広告モデルと合わせてハイブリッドで戦略を立てる方法がむしろ一般的です。
しかしこれにも難しい点はあって、広告モデルほど読者の数は求められないものの、換金性を上げるためにコンテンツを純化すればそれだけ“刺さる”人は限られてくるので、事業として毎年成長を維持するのはとても大変で、コンテンツにその分コストもかかるので、継続性が何よりも難しい。
また「質」の定義については、もちろん媒体としての「良い」コンテンツはきちんと意見を持つことが重要ですが、本来的な意味で「良い」コンテンツを決定できるのは読者です。そして読者にもコンテンツを体験するシーンによって様々な「良い」が存在し、それは1つに定義できるものではありません。
自分だって常に社会的な意義のある記事を読みたいわけではないですし、時には癒しやエンタメ性のあるコンテンツも読みたい。要は自分一人にしたって多様な側面があるわけで、多くの読者にとっても同様だと思います。
なので、個人的な考えとしては「量」「質」「ビジネスモデル」を常に同時に考えるというか、現状の広告モデルにおいては、様々な読者の利用シーンを想定し、常に読者起点で「良い」コンテンツを定義しながら「量」を増やすことでトレード関係をなくし、それを最大限事業的な成功に導くためにも多様なビジネスモデルをメディアの中に保有することが重要だと思っています。
それらを通して、とにかく読者に必要とされるメディアを長く続けたいですね。
しかしこれにも難しい点はあって、広告モデルほど読者の数は求められないものの、換金性を上げるためにコンテンツを純化すればそれだけ“刺さる”人は限られてくるので、事業として毎年成長を維持するのはとても大変で、コンテンツにその分コストもかかるので、継続性が何よりも難しい。
また「質」の定義については、もちろん媒体としての「良い」コンテンツはきちんと意見を持つことが重要ですが、本来的な意味で「良い」コンテンツを決定できるのは読者です。そして読者にもコンテンツを体験するシーンによって様々な「良い」が存在し、それは1つに定義できるものではありません。
自分だって常に社会的な意義のある記事を読みたいわけではないですし、時には癒しやエンタメ性のあるコンテンツも読みたい。要は自分一人にしたって多様な側面があるわけで、多くの読者にとっても同様だと思います。
なので、個人的な考えとしては「量」「質」「ビジネスモデル」を常に同時に考えるというか、現状の広告モデルにおいては、様々な読者の利用シーンを想定し、常に読者起点で「良い」コンテンツを定義しながら「量」を増やすことでトレード関係をなくし、それを最大限事業的な成功に導くためにも多様なビジネスモデルをメディアの中に保有することが重要だと思っています。
それらを通して、とにかく読者に必要とされるメディアを長く続けたいですね。
■“徳永文庫”で思考を手助け。部下にも勧める本とは
―常に考えているというイメージの徳永さんですが、やはり思考の手助けをしてくれるのは、本でしょうか。オフィスの“徳永文庫”が書籍でいっぱいなのは有名です。
ある程度まとまった知識を手軽に得られるのが本だと思うので、仕事で迷ったら本を読むことも多いです。会社の仕事の本に関しては、次のテーマの仕事をするときに、後で引用できそうだということでとりあえず買っておくことも多く、メンバーの仕事を見て、この本が参考になるかなといった理由で買うこともありますね。
娯楽的な意味で読む本は、ミステリー小説とかSF小説が好きです。大体、風呂の中とか寝る前とか、移動中に読みます。
娯楽的な意味で読む本は、ミステリー小説とかSF小説が好きです。大体、風呂の中とか寝る前とか、移動中に読みます。
―部下のために本を選んでいるという徳永さんですが、若手メンバーのためにおすすめの本があれば、ぜひ教えてください。
今年は宮崎駿監督の新作映画が話題になっていたので、ジブリの本を。スタジオジブリの代表取締役でもありプロデューサーの鈴木敏夫さんの弟子だった石井朋彦さんの書いた「自分を捨てる仕事術」(石井朋彦著 WAVE出版)。
石井朋彦さんがまだスタジオジブリに入社したばかりの頃、「自分の意見は言わなくていい。とにかく3年間は人の真似をしろ」と鈴木敏夫さんに言われるのです。でも、そんなのはイヤですよね。自分の意見を言いたいじゃないですか。石井さんも最初はそんな風に思うのですが、だんだんと変わっていきます。
この本で言っていることが全部いいと思うわけではないですけれど、昨今は「いかに自分を捨てずに上っていくか」みたいな本がすごく多いので、その逆を行くこの本を読んでおくと、気持ちが楽になっていいかなと思います。
もう1冊は「ジブリの仲間たち」(鈴木敏夫著 新潮新書)。今までの作品ごとの経緯と宣伝について話しているので、メディアで働いている人間にとっては面白いです。今取材してくれている広報の方も多分読んで楽しいと思いますよ。
石井朋彦さんがまだスタジオジブリに入社したばかりの頃、「自分の意見は言わなくていい。とにかく3年間は人の真似をしろ」と鈴木敏夫さんに言われるのです。でも、そんなのはイヤですよね。自分の意見を言いたいじゃないですか。石井さんも最初はそんな風に思うのですが、だんだんと変わっていきます。
この本で言っていることが全部いいと思うわけではないですけれど、昨今は「いかに自分を捨てずに上っていくか」みたいな本がすごく多いので、その逆を行くこの本を読んでおくと、気持ちが楽になっていいかなと思います。
もう1冊は「ジブリの仲間たち」(鈴木敏夫著 新潮新書)。今までの作品ごとの経緯と宣伝について話しているので、メディアで働いている人間にとっては面白いです。今取材してくれている広報の方も多分読んで楽しいと思いますよ。
■真正面からぶつからず、問題解決の糸口を多方向から探る
―社内の若手メンバーから、働き方や考え方を参考にしたいという声もいただいています。働き方や考え方で工夫している点はありますか?
とにかくストレスから逃げることでしょうか。ストレスから逃げるというのは、現実逃避をするということではなくて、真正面からぶつかる以外の解き方がないか考えてみたらどうかなという意味です。ストレスからうまく逃げる考え方ができると自分も楽だし、いいやり方が見つかれば、それはそれでいいですよね。といっても、自分でもうまくできないことのほうが多いですが。
―参考になります。最後に、総合情報サイト「All About」がこれから目指していくべきことを教えてください。
いろいろと堂々巡りや試行錯誤はしつつ、本筋は変わりません。ユーザーにとって「知らなくて損することをなくす」という世界の実現のために、メディアだけではない表現方法であったり、サービスも含めて進化していきたいですね。
また会社で働く人にとっては、自己実現と課題解決のために、いくらでもチャレンジできる環境を整えていきたいと思っています。
また会社で働く人にとっては、自己実現と課題解決のために、いくらでもチャレンジできる環境を整えていきたいと思っています。
―常に視座高く様々な方向から物事を見て考え、メンバーたちの仕事の成果が最も良い形で出るように道を整える。それでいて肩に力が入っていない、自然体の徳永さんにすっかり魅せられました。これからもますますご活躍ください。
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