−営業時代は好成績を常に収められていたそうですね。
詳しい数字は記憶していないんですが、昔から100点満点を目指すために120点分の努力をするタイプ。結果も重視するので、数字を達成することにはかなりこだわっていました。負けず嫌いなんですよね。
■おこぼれを貰うコバンザメの気分だった新規事業部時代
−営業を経験されたあと、念願の新規事業部に異動になったそうですね。
その当時、オールアバウトには大規模な社員研修があったんです。そこで社員がシャッフルしてチームを組み新規ビジネスを考える企画があって、私のグループは日本のことを海外に向けて紹介する“オールアバウトジャパン”というサイトを提案しました。
それがきっかけになったかどうかはわかりませんが、その後、新規事業部の中で2009年頃にグローバルビジネスを検討するチームが立ち上がりました。中国を中心とするアジアからの訪日外国人の増加を見据え、現地企業と連携して新たに会社を設立できないかなど、喧々諤々と議論した結果、米About.comが中国で展開した「阿邦(アバン).com」というサイトの中に日本の旅行チャンネルを立ち上げました。
でも、立ち上がり当初の1年から2年くらいは売上がほとんどなかった。営業部時代とは打って変わり、まるでおこぼれを貰うコバンザメの気分でした。当時はインバウンドや訪日外国人向けのビジネス自体が全く注目されておらず、中国人に向けてなにかやりたいというクライアントの要望もほとんどなくて。さらに追い打ちをかけるように外交関係が複雑になったり、東日本大震災が起きたり、いつ部署がなくなってもおかしくないという危機感が常にありました。悔しいのはもちろんですが、この部署は、売上をあげるどころかコストばかりがかかってしまっているという事実がすごく嫌だった。つらかったです。
それがきっかけになったかどうかはわかりませんが、その後、新規事業部の中で2009年頃にグローバルビジネスを検討するチームが立ち上がりました。中国を中心とするアジアからの訪日外国人の増加を見据え、現地企業と連携して新たに会社を設立できないかなど、喧々諤々と議論した結果、米About.comが中国で展開した「阿邦(アバン).com」というサイトの中に日本の旅行チャンネルを立ち上げました。
でも、立ち上がり当初の1年から2年くらいは売上がほとんどなかった。営業部時代とは打って変わり、まるでおこぼれを貰うコバンザメの気分でした。当時はインバウンドや訪日外国人向けのビジネス自体が全く注目されておらず、中国人に向けてなにかやりたいというクライアントの要望もほとんどなくて。さらに追い打ちをかけるように外交関係が複雑になったり、東日本大震災が起きたり、いつ部署がなくなってもおかしくないという危機感が常にありました。悔しいのはもちろんですが、この部署は、売上をあげるどころかコストばかりがかかってしまっているという事実がすごく嫌だった。つらかったです。
−その状況をどうやって打破されたんですか?
東日本大震災が起きたときに、日本に住んでいる中国人の方々の声をもとに日本の今を伝えるコンテンツを作ったら、とても反響が高かったんです。日本人が「日本は大丈夫だ」と言っても全く信じてもらえない中、同じ国の人が発するメッセージにある信頼感、強みを感じました。
その体験をヒントに、撤退するかどうか迷う中、もう一度だけチャレンジさせて欲しいと、外国人が実際に記事を書く多言語情報サイト、今の「All About Japan」の実現に踏み切りました。国ごとに興味を示す日本の要素は異なります。だから国別に視点を変えて、その国の言葉で日本を紹介するこれまでにない海外向け日本情報メディアを目指し、日本ツウの外国人のネットワーク構築を開始しました。
その後、2015年10月に「All About Japan」が正式に開設。おかげさまで今は、言語も文化も異なる12名体制の部署に成長しました。
その体験をヒントに、撤退するかどうか迷う中、もう一度だけチャレンジさせて欲しいと、外国人が実際に記事を書く多言語情報サイト、今の「All About Japan」の実現に踏み切りました。国ごとに興味を示す日本の要素は異なります。だから国別に視点を変えて、その国の言葉で日本を紹介するこれまでにない海外向け日本情報メディアを目指し、日本ツウの外国人のネットワーク構築を開始しました。
その後、2015年10月に「All About Japan」が正式に開設。おかげさまで今は、言語も文化も異なる12名体制の部署に成長しました。
多言語による日本総合情報サイト「All About Japan」を開設国内外在住の外国人ライターが外国人目線で日本情報を発信
開設当時のプレスリリースはこちら
■日本だけでなく、アジアの他の国にも展開していきたい
−日本の魅力を海外に発信するインバウンド系のメディアは競合も多く出てきていますよね。
そうですね。他にも訪日外国人をターゲットとするメディアはありますが、「All About Japan」は日本に興味を持ってもらうきっかけづくりができる海外向けの日本の総合情報メディアとして確立していると自負しています。
一般観光客の口コミ情報を集約するプラットフォームの場合、日本に行くことが決まったユーザーが具体的に旅行プランをたてるのに使いますよね。最近は各地方自治体の広告コンテンツも増えてきていて、日本に興味がある、あるいは日本に行くことが決まっている外国人向けの情報は充実しつつありますが、日本に興味がない外国人へのリーチは難しかったりします。
私たちはそういった日本に興味がない人から、興味を持っている人までがターゲットで、日本でなにができるのか、どこに行くべきかを幅広く見せるコンテンツを持っているのが強みです。
一般観光客の口コミ情報を集約するプラットフォームの場合、日本に行くことが決まったユーザーが具体的に旅行プランをたてるのに使いますよね。最近は各地方自治体の広告コンテンツも増えてきていて、日本に興味がある、あるいは日本に行くことが決まっている外国人向けの情報は充実しつつありますが、日本に興味がない外国人へのリーチは難しかったりします。
私たちはそういった日本に興味がない人から、興味を持っている人までがターゲットで、日本でなにができるのか、どこに行くべきかを幅広く見せるコンテンツを持っているのが強みです。
毎週展開する特集コンテンツは「All About Ramen」「All About Snow」「All About Toilet」など、外国人にも人気な食べ物、文化、体験、外国人がユニークで面白いと感じる情報などがテーマで、入り口や対象者が広いのが特徴。日本の良さだけを書き綴るのではなく、類似したテーマが魅力の国や地域との比較情報もセットで掲載しています。
例えば、ラーメンは日本だけでなく、韓国や中国でも有名な食事です。そのため各国のラーメンの違いを説明した上で、日本のラーメン文化、有名店やご当地で異なるラーメンなど日本のラーメンの魅力を訴求することで、「ラーメン」から「日本のラーメン」に興味をもってもらうようなコンテンツを作っています。
あと昨今人気のスキーもその一つ。スキーを外国でしたいというユーザーに対し、日本の雪が注目される理由や、スキーができる国や地域の比較などの情報を掲載することで、「日本のスキー」に興味をもってもらう。こういったユーザーの態度変容を促し、日本に来てもらうきっかけを作ることが「All About Japan」の役割だと考えています。
例えば、ラーメンは日本だけでなく、韓国や中国でも有名な食事です。そのため各国のラーメンの違いを説明した上で、日本のラーメン文化、有名店やご当地で異なるラーメンなど日本のラーメンの魅力を訴求することで、「ラーメン」から「日本のラーメン」に興味をもってもらうようなコンテンツを作っています。
あと昨今人気のスキーもその一つ。スキーを外国でしたいというユーザーに対し、日本の雪が注目される理由や、スキーができる国や地域の比較などの情報を掲載することで、「日本のスキー」に興味をもってもらう。こういったユーザーの態度変容を促し、日本に来てもらうきっかけを作ることが「All About Japan」の役割だと考えています。
書き手であるライターのネットワークも強みの一つですね。
記事もただの翻訳ではなく、日本に詳しい外国人ライターが自ら取材し、自分の言葉で紹介しています。また、外国人ライター以外にも、総合情報サイト「All About」で記事を書くガイド(専門家)も海外で活躍する方が増えてきており、ガイドさん達にも協力いただくことで、より詳しい専門的な情報も発信できています。
記事もただの翻訳ではなく、日本に詳しい外国人ライターが自ら取材し、自分の言葉で紹介しています。また、外国人ライター以外にも、総合情報サイト「All About」で記事を書くガイド(専門家)も海外で活躍する方が増えてきており、ガイドさん達にも協力いただくことで、より詳しい専門的な情報も発信できています。
Back Number
Rankingランキング
- MONTH
- WEEK