ヒト

<リーダーズ Vol.3>人望の厚いナンバー2が部下とのコミュニケーションで大切にしていること

オールアバウトを率いる創業社長 江幡さんの女房役として、オールアバウトを陰で支える取締役、 メディアビジネス事業部長の舟久保 純さん。多くの社員から「人格者」「頼れる兄貴」など、厚い信頼を寄せられている舟久保さんとは、どんな人なのでしょうか。今回は、ふだんメディアにはあまり露出しない、舟久保さんの人物像に迫ります。


舟久保 純(ふなくぼ じゅん)
1997年青山学院経済学部卒業。株式会社日産アルティア入社。
カーディーラーを中心としたセールスプロモーション営業を担当。セールスプロモーションツール制作会社の設立等を経験の後、2004年10月株式会社オールアバウト入社。
2007年4月 広告事業部事業部 営業部ジェネラルマネジャー、2012年7月 執行役員 営業統括 兼 メディアビジネス事業部 営業統括ユニット 統括ジェネラルマネジャーを経て、 2015年6月、取締役 兼 執行役員 メディアビジネス事業部長に就任。

■現場の声を大切にする、現場上がりのナンバー2

 (511)

—まずは舟久保さんがオールアバウトに入社してからのキャリアと、現在の仕事内容について、教えていただけますか。

オールアバウトに入ったのは30歳ごろ。ちょうどオールアバウトが上場した年だったので、13年前ですね。面接で「自動車が好きだ」という話をしたところ、当時専任がいなかった自動車業界担当として営業部に配属になりました。

その後、ずっと営業としてキャリアを積んで、マネジャーからジェネラルマネジャーになったのですが、部署の統合をきっかけに、ジェネラルマネジャーの座を退き営業部の補佐のようなことをやっていた時期もありました。このころの経験は、横並びでメンバーを見ることができたのでいい経験になったと思っています。

その後営業のジェネラルマネジャーに復帰し、執行役員を経て、2年前に現職の取締役になりました。今はメディアビジネス事業部長も兼務し、オールアバウトのメディアビジネス領域全体を見ています。

—組織全体をマネジメントする立場になった今、舟久保さんのなかで営業部長時代からの変化はありますか?

僕はずっと営業だったので、営業のことは直感的にわかるのですが、編集のことはわからないことも多い。営業も編集も両方を見ないといけないメディアビジネス事業部長という立場になってからは特に、みんなが何を考えているのか、聞き耳をたてるようにしています。役職が上になればなるほど、間にいろんな人が入ってくるので、どうしても現場の声が聞こえにくくなるんですよね。だから、「自分がわかっていないことを自覚しておこう」という意識は、常に持っています。なんとなくわかった気でいるのが、一番こわいですから。
 (514)

■互いに敬意を払って信頼しあえる組織にするために

—舟久保さんは基本的にボトムアップ中心のマネジメントをされると聞きました。就任以降、業績も好調ですね。

業績に直結しているかはわからないけど、確かにボトムアップ主義ですね。
基本的に最前線にいる現場にもっとも戦闘力があると思っているので、現場がやりたいことを実現する方が結果がついてきやすいと思っています。
僕が執行役員の時も当時の取締役には意見をどんどん言っていたし、僕の好きなようにやらせてもらっていましたから。逆に現場がやりたくないことをやれと言っても、結果はついてきにくいと思っています。

—コミュニケーション上で気をつけていることはありますか?

大きく3つあります。1つ目は、何か意見が出てきたら、必ず反対側の意見も聞くことです。みんな共通して「オールアバウトを成長させたい」という意識で出してくれているものなので、どんな意見も決して間違っていないと思っています。

2つ目は、議論する際、相手に“余白をつくる”こと。余白をつくるというのは、例えば叱ったり、指摘したりする場面でも、必要以上に相手を追い込まず、最後に相手の立場を残せるよう、意識しています。完全制圧することに意味はないですから。
組織内では、僕の方が立場が上になることが多いので、無意識に追い詰めてしまわないように気をつけています。

3つ目は、怒っている人に怒り返さないこと。これは小さいころから父に言われてきたことです。怒っている人に怒り返しても、喧嘩になるだけ。感情的にならないということですね。よくサッカー元フランス代表のジダンのトラップに例えるんですが、彼は試合中にどんな強い球が来ても、ピタッと足元に落とすんですよ。これ、自分のなかの美学でもあるんですが、仕事においてもどんな境遇でもあんなトラッピングができたらいいなと思っています。
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—舟久保さんがマネジメント上でもっとも大事にされているものは、何ですか?

やはり信頼でしょうね。信頼って、当たり前ですがそう簡単に築けるものではない。過去の付き合いがあるからこそ、今の自分を応援してくれる人がいるのだと思っていて、僕も築いた信頼をなくさないよう、努力しているつもりです。
あとは、僕自身がチームを信頼することも、信頼を築く上で重要な要素です。
こっちが信頼していなかったら、相手も信頼してくれるわけがないですからね。

—舟久保さんが考える、理想の組織の在り方を教えてください

自分の部署だけでなく、他部署にも敬意を払い、互いに信頼しあえる状態が理想です。組織では、全員がその道のプロとして、それぞれの役割が与えられていますよね。個人間においても、役職が上とか下とか関係なく、他人の仕事にも誇りを持って仕事ができるというのが理想です。

■成熟期のオールアバウトに必要な「調和」をもたらす

—江幡社長が舟久保さんを取締役に任命した理由を、ご自身ではどのように分析されていますか?

オールアバウトのメディアビジネスも成熟期に入り、「調和」が必要なフェーズだったからではないでしょうか。劇的に伸びる状態ではないけれど、利益をある程度しっかりと出して、次に投資できる環境をつくっていく。周りと兼ね合いをとりながら進めていく調整弁としての役割を期待されていると思います。
さらには、オールアバウトグループには江幡さんという象徴的な存在がいるので、そういう立場の人が次の世代から生まれるための橋渡しをするのが僕の役目ですね。こういうことを言ってはいけないかもしれませんが、僕が次期社長をやるといったイメージはあまりありません(笑)
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—収益をあげるために、新規事業の立ち上げだけでなく、撤退など、取締役として難しい決断を迫られるシーンもあるかと思います。どのように決断されていますか?

基本的に、ジャッジポイントは事業のポテンシャルで、数字をベースに判断しています。やはり弊社くらいの会社規模だと特に、事業に関わる社員の顔や感情がくみ取りやすい分、判断がつらい部分は当然あります。なので、自分の役割として、そこは片目をつぶって言うべきことを言うし、決断しています。

—激動するIT業界ですが、さまざまな決断をする際、競合はどの程度意識するのですか?

良いか悪いかは別として競合はあまり気にしないです。
IT業界は浮き沈みが激しかったり、競合がゴロゴロ変わる。そこに一喜一憂したり、右往左往せず、「情報の信頼性を担保する」というのを軸に、やるべきことをやる。その上で成長できる事業を推進すべきと思っています。

■自分を演出することで、仕事モードに切り替える

—舟久保さんの評価を社員に聞いたところ、“優しい” “人情味あふれる” “人格者”といった声が聞こえてきましたが、このような評価を受けることについて、どう思いますか?

自覚はないというか、言われて悪い気はしないけれど、「そこまでじゃないのにな」という、こそばゆい感じがします。「人はそれぞれ都合や正義があるから、きっと彼は彼なりに何かあるんだろう」という前提で話を聞くようにしているから、優しく見えるだけだと思いますよ。僕だって人間ですから、黒い部分はあるし、内心は感情的になっているときだってあります。

—“舟久保さんは、感受性が豊かだ”と評する人もいました。

映画や小説などからの影響は受けやすいですね。しょっちゅうですよ。たまたまAmazonのレコメンドに従って観ただけの映画でも「これは観るべくして観たな」と思ってしまう。
『ザ・エージェント』っていうアメリカンフットボールの有能なスポーツ代理人をテーマにした映画を観たときは、トム・クルーズの真似をして、熱いメッセージをWordで書いて、会議で配ったこともあります。言いにくいことも、トム・クルーズになりきれば言えたりしてね。(笑)仕事場って、ある種の舞台でしょう?映画と近しい、演出された場だと思っているので、場面に応じて自分も演じていくというのは時には有効だと思います。自分が若かったころ、映画のスターに限らず、営業のできる人の口調や服装を真似て「できる営業の自分」を演じることもありましたよ。(笑)その人になりきるということは、参考にした人の考え方や、行動を理解する必要があるわけで、要は成功する要因を分析し、自分に取り入れているということなんですよね。こういう自己演出も、自分を成長させる技の一つだと思っています。
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—最後に、舟久保さんの座右の銘を教えてください。

特にはないですけど、「誰も見ていなくても、自分は見ている」というのは、気をつけています。やらなかったり、妥協したことがバレなかったとしても、自分にはわかってる。人は易きに流れるものだからこそ、意識しておくことが大切だと思っています。
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(取材・文 野本 纏花)
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