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<プレイヤーズ vol.3> 柔軟・的確な対応のために、サービスの立ち上げから関わる「攻め」の法務 高橋実穂

オールアバウトの成長や変革に寄与した人物にお話を伺い、仕事に対する価値観や取り組みの詳細を深堀りしていく「プレイヤーズ」。今回は2016年度の「社長賞」を受賞した経営管理部 法務グループの高橋実穂さんをご紹介します。


高橋 実穂(たかはし みほ)
経営管理部 法務グループ マネジャー

2008年9月、弁護士事務所からオールアバウト法務へ転職。3歳の愛娘と家事全般を得意とする旦那様の超絶大なお助けのもと、日々の業務と奮闘中。休日のお楽しみは、愛娘の許しを得、徒歩5分の海で波乗り+自宅のウッドデッキで昼酒してのんびり過ごすこと。今年はファミリーキャンプデビューを画策中。

■All Aboutの「信頼性」を支える法務のお仕事

—まずは高橋さんの現在のお仕事について教えてください。

大きく分けると「法務/労務/内部監査/情報セキュリティー/リスクマネジメント」の5つがあります。商業登記の対応や商標登録申請前の事前調査(簡易なもの)に関しては、司法書士や弁理士に外注しないで自社で対応しています。また、契約書のチェックや新規サービスの立ち上げ時の法務相談、紛争やM&Aに必要な手続きの対応といったものなど、オールアバウトグループ全体の案件を扱っています。
私は2008年に中途入社し、以前は弁護士事務所で働いていました。そのため、企業法務に携わるのはオールアバウトに入って初めての経験になるのですが、まったく別の仕事と言えるほど、仕事内容は異なりました。弁護士事務所では、ある程度やることが決まっていたのですが、企業法務に関しては、法律とサービスのポリシーとの間で生まれた“せめぎ合い”のようなものを解決するために、法務面から柔軟にサポートしなければなりません。

そのためには、多様な法律知識だけでなく、サービスに対する深い理解が必要ですし、会社のやりたいことを実現するために必要な、定型に収まらない業務やスキルが求められる場面も多くあります。

現場との連携が多いので、自分で経験したことがないところを知れたり、そこから新しい法務対応の知識やパターンを新しく吸収できたりして、すごくおもしろい仕事です。

—昨年末にキュレーションメディア関連で起きた事件を皮切りに、メディア各社に「信頼性」が問われるシーンが多くなりましたが、これについて法務の立場から思うことはありますか?


コンテンツの権利は、基本的には、法令で「できること」と「やってはいけないこと」が決められています。ただ、個々の事案により、個別判断・解釈を要する部分もあり、必ずしも法令の決め事を機械的に当てはめることができないものもあります。サービス提供会社が法令を遵守するのは当然のことながらも、それよりも「サービスを作る側の意識や想い、運営方針」が正しくあることの方が大切なのではないかと思っています。

なぜなら、法務として法的な観点からアドバイスをしたり警鐘を鳴らしたりすることはできても、法務が事業判断の最終的な権限を持っているケースは、ほとんどないからです。事業責任者に「コンプライアンスを崩してでも儲けをとりにいく」と判断されてしまったら、成す術がありません。

そうした間違ったジャッジをさせないためには、トップがコンプライアンスに対する高い意識を持ちながら、それがしっかりと現場まで伝わっている必要があります。その点、オールアバウトグループは現場のコンプライアンス意識がとても高いと感じますね。

—なぜオールアバウトグループにおけるコンプライアンスに対する現場の意識は高いのでしょうか?

オールアバウトの主力サービスである総合情報サイト「All About」は、コンテンツという著作物がサービスの命とも言えるようなもの。そのため、トップの江幡さんの「コンプライアンス順守は絶対!」という不文律は、歴代の編集長だけでなく各グループ会社の社長にも共有されており、それが積み重なって、現場にも浸透しているのではないでしょうか。

現場の人たちに企業法務レベルの法律知識があるわけではないのですが、ちょっとしたことでも、すぐに「これって大丈夫ですか?」と声をかけてくれることからも、コンプライアンスに対するアンテナの高さを感じます。だからこそ「All About」の記事の信頼性は揺るぎないものになっているのではないかと。

■マルチタスクを正確にこなす秘策とは

—よく他部署やグループ各社のメンバーと打ち合わせをしている姿を目にするのですが、どんなお話をされているのですか?

「次、こういうサービスを立ち上げたいんだけど」といったフワッとした相談をされることが多いですね(笑)直接、私の席まで来てくれることも多いですし、なんなら法務マターではない相談も多いのですが、それでいいと思っています。

ある程度サービスの枠組みができあがった段階で相談されたときに「これはやめたほうがいい」と言うと、そこからまたスキームの組み直しが発生したり、システムの改修が必要になってしまったりすることになりかねないので、なるべく初期の段階から声をかけてもらったほうがありがたいです。

—なるほど。気軽に相談してもらえるよう、心がけていることはありますか?

大きな企業になると、法務の敷居が高くなって声をかけづらくなるイメージがあるかと思います。が、うちの場合は特に専用の相談フォームを用意しているわけでもありませんし、オールアバウトグループはほぼ全ての会社・部署が壁のないワンフロアで仕事をしているので、法務に相談することへの心理的な壁は低いのではないかと思います。あとは、メールのやり取りでわからないときは、自ら足を運んで声をかけたり、こちらからミーティングを設定したりして、積極的にコミュニケーションをとるよう意識はしています。

—グループ全体の法務案件を一手に担うメリットには、どんなものがありますか?

やはり、いろんな経験が積めることですね。規模の大きな組織とは違い、企業法務に関わるすべての領域を網羅できることと、グループに属する多種多様なサービスに関われるというメリットがあります。オールアバウトではWEBメディアを、各グループ会社ではECや生涯学習、位置情報ゲームやデジタルコンテンツの販売プラットフォームまで様々な領域でサービスを運営しており、それぞれ扱う法律もまったく異なります。常に学び続ける必要があり、難しい分、テンションが上がりますね。知らないことを知って、できるようになるところにやりがいを感じるし、楽しみながらやっています。

—数多くの案件に対する超人的パフォーマンスが社長賞受賞の理由のひとつとのこと。複数の案件を同時並行で進めていく上で、工夫されていることはありますか?

案件が入ってきたときに、法務相談/契約案件といった「種別」や、NDA/業務委託/覚書といった「契約の種類」、こちらの雛形か先方雛形かといった情報をExcelで作った管理一覧に入力して、3ヶ月に1度、振り返って分析をしています。

これを始めたところ、会社ごとに傾向が見えてきたり、新たに整備や見直しが必要な雛形がわかったり、質問の多い事項についてはQ&Aを作ればいいなとわかったり、様々な気づきを得ることができました。

あとは、保育園に通う子供がいるので、お迎えのリミットがあると爆発的に集中力が生まれますね。時間が限られている分、常に優先順位をつけて仕事をしています。1日の業務の中でも「この案件はこの時間までに終わらせよう」と区切りをつけたり、“なるはや”と言われても本当に急いでいるのか確認したりしながらですね。

■趣味で培ったメンタル・タフネスを仕事に活かす

—お仕事の中で困難だと感じたことは何ですか?また、その困難はどのように乗り越えましたか?


やりがいと表裏一体ではあるのですが、幅広い知識が求められるのは大変です。顧問弁護士の先生に相談することもあるのですが、その際にも自分の知識がないとまともに会話が成立しないので、必ず事前学習をして自分の考えをまとめてから、「こういう見解で齟齬がないか」と確認するようにしています。

また、最近はM&Aの案件が多く、同じスケジュールで4案件が重なったタイミングがあって、これも大変でしたね。会社法上、必要な手続きがそれぞれ微妙に違っていて、そこを間違えるとすべて不成立になってしまうので、きっちりタスクを立てて丁寧に対応していきました。

—かなりストイックにお仕事をされているんですね。

私はプレッシャーがあるとテンションが上がるタイプなので(笑)最近は時間がなくてなかなかできていないのですが、昔はオフロードバイクで林道巡りをしたり、モトクロスのエンデューロレースに出場したり、トライアスロンもやっていたんですよ。マラソンは苦手だったのですが、本番のレースでは沿道のお客さんからの声援が力になって、目標通り走りきることができた。仕事にも通じることですが「できないことができるようになる」というシチュエーションが大好きなんです。

—最後に、今後やりたいことを教えてください。

まず組織としては、ここ2〜3年でグループの規模が大きくなるにつれ、M&A案件が増えると同時に、ひとつひとつの案件の規模も大きくなってきたので、法務組織をきちんと作っていきたいですね。これから会社が何十年と続いていくことを見据えて、自分の知識や経験の引き継ぎをしながら、後進の育成をしっかりとしていきたいです。

次に個人としては、産休に入るときに勉強を始めた社会保険労務士の資格をしっかり取りたいと思っています。加えて、今グループ全体の動きがものすごくはやいので、メインとなる会社法や著作権法といった法律周りの専門書や業界誌を読み込んで、もっと研鑽していきたいなと思っています。
(取材・文 野本 纏花)

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