ヒト

手芸をキッカケに主婦をスターにさせる、ナガオ流プロデュース術

オールアバウトの成長や変革に寄与した人物にお話を伺い、仕事に対する価値観や取り組みを深堀していく「Players」。今回は生涯学習事業を推進する、株式会社オールアバウトライフワークス 事業部 講座プランニング課 課長代理の長雄陽子さんにお話を伺いました。仕事と育児を両立しながら、パワフルに活躍されている、長雄さんのモチベーションの源泉とは?

長雄 陽子(ながお ようこ)
2006年4月、旅行会社から株式会社コロネット(現オールアバウトライフワークス)へ転職。講座運営の部署で、講座運営・プランニングを担当。新規事業やイベントの立ち上げを得意としている。同じ部署で働く夫と、理解ある職場環境に助けられて、1歳の息子の子育て奮闘中。

■江戸時代から続く糸屋の娘が細く長く手芸に携わる運命

——オールアバウトライフワークスでの長雄さんのお仕事について、教えてください。

オールアバウトライフワークス(以下、ライフワークス)は、“好きを仕事に”を企業理念に掲げており、生涯学習のコミュニティ「楽習フォーラム」を通じて、手芸分野をはじめとした講師育成を行なっています。これまで3万人以上の講師を育成し、現在1万4000人が認定講師として全国で活動しています。

「楽習フォーラム」で取得できる資格は、一般財団法人 生涯学習開発財団という第三者機関から資格認定を受けているので、その資格の技能や知識を習得した認定講師の方は、今まで“◯◯さんの奥さん”と呼ばれる主婦だった方が、一気に“△△先生”になることができるんですね。

そんな風に、女性がイキイキと輝けるお手伝いをする中で、私は営業として、認定講座の運営や資格取得後のフォローアップ研修の開催などを担当しています。

——長雄さんはライフワークスの前身であるコロネット時代(2012年にオールアバウトの子会社化)からお仕事をされていたそうですが、改めて社会人になってからの経歴を教えていただけますか?

コロネット(ライフワークスの前身)に入社する前は旅行代理店にいました。私が最初に担当したのは、手芸クラフトやお花・絵画など趣味の方に向けたツアーの企画でした。1ヶ月に20本程の企画を立てていたのですが、参加者の半数以上は常連のお客様だったので、常に新しい企画を考える必要があり、ハードな環境でしたね。

当時はかなり激務で、明け方まで準備して、そのまま朝一でツアー帯同のため成田から海外に飛ぶ……とか(笑)体力があったからこそできていましたが、もう少し自分の時間を大事にしたいと思うようになり、入社3年で転職活動を始めました。

2006年にコロネットに入社したのですが、実はコロネットは前職の旅行代理店時代のお取引先だったんです。当時の社長から何度も転職のお誘いをいただいていたのですが、実家が秋田で江戸時代から続く糸屋を営んでおり、母が手芸の先生をしている姿を見ながら育ってきたので、“こんなに大変そうな業界には絶対に行きたくない”と思っていたこともあり、ずっとお断りしていたんです。でも結局、何かに導かれるように、自然と入社していたんですけど(笑)やっぱり一番近くで苦労を見てきた私としては、母と同じ境遇の方のバックアップをしたいという気持ちがどこかにあったんでしょうね。

■主婦から先生へ、好きを仕事にするお手伝い

——ライフワークスでは、お母様のように個人で教室を開いている方に対して、「認定講師」という資格付与のほか、教室を運営するための「教材の販売」でサポートしているということですね。

そうですね。講師になるには、「楽習フォーラム」で展開する50種類以上ある認定資格を通学か通信で取得いただきます。資格を取得いただいたあとは、さまざまなレベルの弊社で開発した教材を用いて、各自で教室活動を行っていただくのですが、弊社からも百貨店での催事への参加、書籍への作品掲載など、講師の方の活躍機会の創出や、広報活動のサポートをしています。

私が担当しているのは、新規講座の企画立案、講座・イベントの運営、講師活動のサポートなどが主な業務です。

——1つの“認定資格講座”を作るには、どのくらいの期間がかかるのですか?

新規講座の場合、まず認定講座として成り立つか検証することからスタートします。その後、カリキュラムに落とし込み、教科書と教材を作っていくので、開設まで1年はかかります。ちなみに、教材というのは、必要な材料とレシピが入っている“作品キット”のことです。

教科書の作り方には様々なパターンがありますが、基本的には自社制作で、認定資格に特化した充実度が高いものをつくります。まだ世に知られていない講座、例えば「マクラメ」「ソウタシエ」などがありますが、これらのテーマは多くの方に興味を持ってもらう必要があるので、出版社と組んで一般書籍として販売することもあります。この書籍がきっかけで有名になった講師の方もいて、テーマによっては大きなPR効果が見込めます。

——2018年度上期には、「アーティストフェスタ」というイベントを立ち上げ、短期間で会社の売上に貢献されたと伺いました。「アーティストフェスタ」を開催することになった背景を教えていただけますか?

「アーティストフェスタ」とは、「楽習フォーラム」の先生方に出展していただき、オリジナル商品を販売するイベントで、9月13日〜15日の3日間、ここ(ライフワークスのオフィス内にあるセミナールーム)で開催しました。商品は、豪華な講師陣が手掛ける作品のキットということもあり、「絶対に欲しい!」というファンの方が全国からかけつけるほどの大反響で初日の会場はぎゅうぎゅう。このために沖縄から来たという人もいて、3日間で600人くらいのお客様を動員できました。
こういった実売会のようなイベントは、従来、大手デパートの催事会場で実施していました。運営や集客は大変だけど、自社主催でもできるのではないか?と前々から先生からのお声もあり、今回は短期間で大きな売上数字を作る必要があったので、「これしかない!」と開催を進めることになりました。

——販売するのは、先生の完成作品ではなく、キットという事ですが、実際どのようなものですか?

これが実際に販売している制作キットの中身なんですが、作品を作るうえで必要な材料と作り方の説明書がはいっています。来場者は物作りが好きな方なので、完成品を購入するよりも、作る工程が楽しめるキットが人気なんですよ。
今回の「アーティストフェスタ」は、プレミアム感を出したいというのもあり、先生には無理を言ってオリジナルのキットをご用意いただいたり、ここでしか学べない限定キットを使ったスペシャルセミナーを企画して、確実に足を運んでもらえる仕組みを整えました。あとは、このイベントを機会に業務提携をすることになった、有名真珠メーカーの東京真珠さんにご協力いただき、アコヤ真珠を特別価格でご提供する特別講座なんかも開きました。

■シンデレラストーリーを間近で見る喜び

——企画の立ち上げから実施まで、1.5か月と短期間しか無い中、自ら「アーティストフェスタ」の企画運営に手を挙げたと聞きました。

そうですね。今年7月下旬にこの企画が持ち上がったんですが、私は4月に育休から復帰して以前よりは、比較的業務ボリュームが少なかった事もあって自分から手を挙げたんです。ですが、普通1年かけるところを3日でやる、くらいのスピード感で進めていて、なおかつ息子は1歳半で一番手のかかる時期。もちろん私一人では絶対無理だったので、やることを明確に決めて、チームで作業分担し各自が責任をもって業務を遂行したからこそ実現できたと思います。

あとは、前職の上司が“企画はお弁当箱と一緒。難しく考える必要はないんだよ”と言っていたんですが、その教えもすごく役立ったと思います。
お弁当をきれいに食べてもらうためには、白飯ばかりじゃダメですよね。魅力的なおかずが必要です。ちょっと変わったおかずを入れたければ、残されたときのことを考えて、それをカバーできるような鉄板のおかずも入れておけばいい。

「アーティストフェスタ」も同じような発想で、目標売上を達成するために、“ただ商品を販売するだけでなく、ワークショップを用意しておこう”とか、“集客の見込みが立ってきたから、先生にもう少し商品を増やしてもらおう”といった感じで、魅力的なお弁当になるように、美味しそうなおかずを詰めていきました。

——イベントの企画力と推進力が成功の鍵だったんですね

チームからの協力もそうですが、何よりも先生方の協力がすごく大きくて。「できる範囲で協力できることを考えるから、何をしてほしいか言って」と先生から連絡してくれたんです。最後は無茶苦茶な企画だったけど楽しかった、とみなさん言ってくださって(笑)社員と先生が一丸となったからこその成功だったと思います。

「アーティストフェスタ」は即興企画ではあったんですが、「楽習フォーラム」としてやりたかった、「認定講師の活躍の場の提供」というところにつなげられたのではと思います。また、全国のトップ先生たちが一堂に会する機会ってなかなかなくて。先生同士の横のつながりもできたことも良かったと思います。先生達の会話から、「そういう場だったらもっとこうしたほうがいいよ」と次のアイデアもどんどんくださって。「次はどうする?」と聞かれる事も多くて、これは一回じゃ終われないなと思っています(笑)

——最後に、長雄さんのモチベーションの源泉を教えていただけますか?

私はやっぱり“1人の主婦が資格をとって「先生」になって、デパートに出展したらデザイナーの桂由美先生に見いだされて、パリコレデビューできた”といったシンデレラストーリーを間近で見られるのが大好きなんです。モノづくりをされている方は「この作品、素敵ですね!」と褒めても、「いやいや私なんて……」と謙遜される方が多くて、ご自身の価値に気付いていない方がたくさんいらっしゃるんです。値段をつけて売るのもすごく苦手という方が多いです。

そうした隠れた逸材を見つけ出し、スター講師になってキラキラと輝いていただくお手伝いができることがモチベーションにつながっているのかなと思います。私たちの事業部は先生たちとのつながりが一番多く、先生達もいろんなアイデアをくれるので、それをいかにスピードを持って形にできるかが、腕の見せ所かなと思います。

「楽習フォーラム」で資格を取っていただくことは、生涯学習が自らのスキルアップにもつながるという意味合いだけでなく、世代を超えたコミュニケーションを生み出すことにもつながるんですよね。

人生100年時代と言われ、副業が当たり前になる今の時代だからこそ、そうやって、何歳になっても生きがいや、やりがいを持って、充実したライフスタイルを実現するお手伝いができるのは幸せなことだと思うので、これからもどんどんチャレンジし続けていきたいです。
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