ポイントその3 現場で“使える”言葉にする
寺門
昨年12月に検討をスタートして、7月に全社リリースまでこぎつけましたが、言葉の完成まで慎重に進めました。
4月末に素案が出来上がり、5月にマネジメント層にこの取り組みの趣旨背景とWay内容について説明をし、意見をもらいました。現状認識との距離感や、想定されるメンバーの反応など、非常に参考になる意見がありました。その際の反応、意見を踏まえて改めてボードメンバーと推進メンバーで要素の見直しや表現の調整を行いました。
その際、意見を反映したもの、反映しなかったものそれぞれの判断理由も含めてマネジメント層にオープンにすることで納得してもらえるよう努めました。
4月末に素案が出来上がり、5月にマネジメント層にこの取り組みの趣旨背景とWay内容について説明をし、意見をもらいました。現状認識との距離感や、想定されるメンバーの反応など、非常に参考になる意見がありました。その際の反応、意見を踏まえて改めてボードメンバーと推進メンバーで要素の見直しや表現の調整を行いました。
その際、意見を反映したもの、反映しなかったものそれぞれの判断理由も含めてマネジメント層にオープンにすることで納得してもらえるよう努めました。
―そこまで丁寧にやったのはなぜですか。
竹之下
Wayを日常に根ざしていく上で、マネジメント層は重要な推進役を担います。まずは彼ら自身が深く理解、腹落ちしてメンバーに伝えてもらえるよう、説明を尽くしました。言語化の初期段階から直接関わってもらうことは現実的に難しく叶いませんでしたが、できる限り“自分たちのモノ感”を感じてもらえることを意識しました。
―具体的な例を挙げてもらえますか。
竹之下
例えば、江幡さんが頻繁に口にしている「スケールと時間軸」という言葉をWayに入れたほうがいいのではないかという意見がありました。ボードメンバーと推進メンバーで再考し、これは一時的なものではなく仕事をする上で大切にしたいものだと判断して追加しました。また、その際に「時間軸」という言葉がそのままでは少々分かりにくいので、「スピード」と「タイミング」という2つの要素に分けて、「社会を変えるためにはスケールとスピード、そしてタイミングを大切に」という文章を追加することにしました。
その他にも、「踏み込む」前の「踏み出すこと」にも意識を向けたほうがよいという意見を受け、「踏み出そう」というはじめの一歩を誘う表現を追加してみたりしています。
このように、メンバー、マネジメント層の使いやすさなども意識しながら最終調整を行いました。
また、言語化検討の過程でボードメンバーが取り組んだワークをマネジメント層にも取り組んでもらいました。自分たちが考えていることとボードメンバーが考えていることの重なりや違いを見出すことにより納得感が得られ、より現場で使いやすいWayを作ることができると考えたからです。
その他にも、「踏み込む」前の「踏み出すこと」にも意識を向けたほうがよいという意見を受け、「踏み出そう」というはじめの一歩を誘う表現を追加してみたりしています。
このように、メンバー、マネジメント層の使いやすさなども意識しながら最終調整を行いました。
また、言語化検討の過程でボードメンバーが取り組んだワークをマネジメント層にも取り組んでもらいました。自分たちが考えていることとボードメンバーが考えていることの重なりや違いを見出すことにより納得感が得られ、より現場で使いやすいWayを作ることができると考えたからです。
―「すべてに、踏み込む。」というワードにたどり着いた経緯を教えてください。
竹之下
当初は「踏み込む」だけでなく「問う」「冒険する」というキーワードのバリエーションがありました。それぞれ良さがあるのですが、「問う」だと当たり前すぎる、「冒険する」だと行き過ぎ感があるということで最終的に「踏み込む」に落ち着きました。
寺門
「問う」だけだとそのあとの肝心の「行動」がない。行動を後押しするものとしたかったので「踏み込む」になったんですよね。もちろん考えのない行動を求めているわけではないので、「問う」はリード文の「際限なく、問い、行動し」というところに含めました。
竹之下
「冒険」も、失敗を恐れなくてもいいのだという要素は入れたいということで最後の「ときには、明るく踏みはずせ。」と表現を変えて入れましたね。
―現場の声、トップの声を融合させながら進めていったのですね。
竹之下
はい。対話、対話、対話です。大切にしたいことは意思をもって残すものの、理解しにくければ言葉を変えたり強弱を調整したりして、また確認してという繰り返しでした。ここにパワーをかけるということは当初から決めていましたが、オールアバウトは江幡さんからメンバーまで理念や言葉へのこだわりが強い人が多いため、なかなか前に進まずひやひやすることもありました……。
―最初から現場のメンバーをプロジェクトメンバーに入れるという選択肢はなかったのですか。
竹之下
そういうやり方も考えました。しかしながら、船頭多くして船山に上るではないですが、収拾がつかなくなって結果的に頓挫してしまうことを避けたいと思いました。まずは少人数で取りまとめて素案を作るものの、それをそのまま展開するのではなくて、本当に日常でうまく使えそうかマネジメント層に確認してもらってブラッシュアップして、納得できる形で世に出すというのが一番効率的で効果的だと考え、今回の進め方を選びました。
■Wayを日常に根付かせていく「Way新党」誕生
竹之下
言語化にパワーをかけたといっても、言語化の重要性はこの取り組み全体からすると2割程度に過ぎません。Wayを作ることではなく、Wayをうまく使って日常をよりよくしていくことが本来の目的です。肝心のこれからの取組みをより効果的に推進するために「Way新党」というチームを作りました。
―メンバーや役割について教えてください。
竹之下
先ほど、マネジメント層が重要な存在であるというお話をしましたが、日常をよりよくしていくにはタテヨコの連携が不可欠と考え、各事業部から1名以上にWay新党へ入ってもらっています。発足したのがちょうど選挙のタイミングだったのでこの名前になりました(笑)。メンバーみんなで決めた名前です。
Way新党メンバー
Way新党の役割は、取り組み背景や文言の理解のサポート、体現の推進、他部署との連携、部署横断施策の遂行などです。もちろん、日常をよりよくしていく主体者は私たち社員一人ひとりですので、Way新党メンバーだけががんばる、といった流れにならないように気を付けなければいけないと思っています。今は、まず部署ごとのWayの咀嚼や日常に根付かせる仕組みの構築に注力しています。例えば営業部門と法務部門では「踏み込む」方法が違う。事業フェーズ、戦略、役割、構成メンバーのキャラクターに合わせ、具体的な行動に落とし込んでいく取り組みを進めています。また、各部署でワークショップをするといった場合も、トップダウンや人事主導でやるよりも、中の人たちが自分たちでテーマや進め方を考えたほうがはるかによいものができると考えています。
Way新党の役割は、取り組み背景や文言の理解のサポート、体現の推進、他部署との連携、部署横断施策の遂行などです。もちろん、日常をよりよくしていく主体者は私たち社員一人ひとりですので、Way新党メンバーだけががんばる、といった流れにならないように気を付けなければいけないと思っています。今は、まず部署ごとのWayの咀嚼や日常に根付かせる仕組みの構築に注力しています。例えば営業部門と法務部門では「踏み込む」方法が違う。事業フェーズ、戦略、役割、構成メンバーのキャラクターに合わせ、具体的な行動に落とし込んでいく取り組みを進めています。また、各部署でワークショップをするといった場合も、トップダウンや人事主導でやるよりも、中の人たちが自分たちでテーマや進め方を考えたほうがはるかによいものができると考えています。
―もう実際に活動を始めているのですね?
竹之下
Wayは、よりよい仕事をしたり、よりよい判断をしたりする手助けになるものだと考えています。ところが「Wayという仕事が増えてしまう」とか「今できていないと責められている」と誤って受け取られ、早々に心のコップを下向きにされてしまったら、この取り組みの趣旨やWayに込められている意味など、受け止めてほしい水が心に入っていきません。そういう誤解をされないように、全社へのリリース前にWay新党で伝え方の相談などを行いました。
リリース後の最初は1週間に1度、今は2週間に1度、何がうまくいっていて何がうまくいかなくてどういう課題があるかという話を共有しながらやっています。それぞれやり方が違う中で、党大会(ミーティングをこう呼んでいます)で横のつながりを持つことで、その取り組みいいね、うちでもやってみようみたいなことが出てきています。
今後は、継続的にWayを意識できる仕掛けや、Wayを体現した行動とはどういうものか理解を深める仕組みなど、全社横断の取り組みも分科会を作って進めていきます。
■高い共感を得られて取り組みスタート
―リリース後の反応はいかがでしたか。
竹之下
後日アンケートをとったところ、共感度が8割を超えていました。思った以上に前向きに受け止めてもらえていてほっとしました。フリーコメント欄が3項目あったのですが、任意にも関わらず9割以上の人がコメントをぎっしり書いてくれてありがたかったです。みんなとても真剣に意見をしてくれて、改めてオールアバウトは何事にも真摯に取り組む人たちの集まりなんだなと嬉しく、誇らしく感じられました。
寺門
まだ深くは理解できていないけれど、共感はできているといった感じですよね。具体的に何をすればいいのかなという不安があるので、ここへの対処は必要ですが、必要性についてはポジティブに受け取られたので、すごく安心しました。
―取り組みをスタートできて、今どのようなお気持ちですか。
寺門
メッセージ性にこだわりつつ、社員の気持ちもある程度取り込んで共感度の高いものが作れたのはよかったです。ここからWayを日常に活かしていき成果を出していくのは私たち一人ひとりであり部署であるので、いい形で進められるようにサポートしていきたいと思っています。
竹之下
私も、ここまで来られてまずは安堵しているというのが正直なところです。一方で、長期間に渡る取り組みのスタートを切ったので、たち消えさせることなくやりきらなくてはいけないというプレッシャーも感じています。ここからが本番。ボードメンバー、Way新党、マネジメント層、メンバーとの対話を続けながら一歩一歩踏み出していきたいと思っています。
■5年10年と続くカルチャーにしていく
―今後の取り組み予定を教えてください。
竹之下
具体的な行動への落とし込みがこれからなので、理解を深めるためのお手伝いであったり、常に意識しやすい仕組みを作ることが大切かなと思っています。新しいカルチャーが醸成されるまでには時間がかかるので、忘れ去られないようにする仕掛けをオンライン、オフライン問わず、いろいろ作っていきたいと思います。
また、2023年4月を目処に人事評価制度を改定する準備をしています。Wayに沿った行動をきちんと評価する仕組みを設けることで、モチベーションや納得感に繋げられたらと考えています。
また、2023年4月を目処に人事評価制度を改定する準備をしています。Wayに沿った行動をきちんと評価する仕組みを設けることで、モチベーションや納得感に繋げられたらと考えています。
―評価制度はどのように変わるのでしょうか。
竹之下
自分で目標を立てて宣言をして上長とすり合わせをして、査定期間終了後に振り返り、アピールするという流れは変えません。評価対象が現在「成果」に寄っているところを「行動」にも光を当てていく方向で考えています。
寺門
まずは日常の中で意識するようなタイミングを増やしていきながら、「踏み込み」について上司や同僚と話し合う機会を多く作り、部署や会社として方向感をそろえていきたい。その上で、変化の実感を早く作っていくようにしたいですね。
竹之下
そう。「踏み込む」機会は日常に溢れています。まずは日々の仕事の中で、どういう「踏み込み」を今既にしているのか、あるいは、どういう「踏み込み」の可能性があるか意識することから始めていければいいと思っています。「Wayを日常に取り込んでみたらいいことあるね」という実感を早くみんなに持ってもらいたいですね。
―変化の兆しが楽しみですね。本日はありがとうございました。
~後編はこちらから~日々の取り組みを、目指す未来へつなぐWayプロジェクト始動
オールアバウトグループでは、「Way=日常をよりよくするプロジェクト」を2022年7月に始動。後編では代表・江幡をはじめとするボードメンバーにその想いを聞きました。
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