ヒト

トップ営業から新規事業の立ち上げまで。新卒一期生・弘中が歩むイバラの道

オールアバウトの新卒一期生として入社した弘中雪絵さん。営業部で好成績を残した後、新規事業部で「会社生活で一番つらかった」経験を経てグローバル推進室の事業責任者に就任。仕事への向き合い方やグローバル推進室の展望について話をうかがいました。

■参加した説明会は100社以上。面接大好きなオ-ルアバウトの新卒一期生

−2006年入社の新卒一期生ということですが、どういった企業を中心に就職活動をしていたのですか?

もともとベンチャーに行きたかったんです。大学でもベンチャーや起業に関するゼミに通っていたこともあり、そこを対象に活動していました。就職活動中は会社説明会に行くのがとても楽しくて。100社くらいは回ったんじゃないかな。企業の中の人と直接話して意見をいえるから面接も好きでしたね。

−企業の人と話すのが楽しかった?

私、本屋に置いてあるような面接マニュアル本はそっちのけで……。当時の面接って今と比較しても、もっと形式的なものが多かったと思うのですが、一人だけ意見を言ったり、面接中にメモを取ったりしていて周囲の学生から目をつけられる事もありました(笑)

なぜ意見を言いたかったかというと、説明会で聞いた事業内容に対し質問したり、自分なりの意見をいって企業の人と会話することで企業の考え方が見えるし、自分がやりたい事があるかを探れるからです。そういう話をちゃんと聞いてくれたのは、ベンチャー企業が多かったですね。でも新卒採用をしているところは少なかった。そんな中、オールアバウトがちょうど新卒採用を初めて開始したことをトップページで知り、応募しました。

−ベンチャー企業の中でもオールアバウトに入社しようと思った理由は?

私自身も学生時代からブログを運営していたこともあり、個人による情報発信に興味があったからです。ブログを書き続けていると、自分が知らない企業の方から連絡をいただく事も多かった。そういった経験からビジネスとしての可能性を感じていて、自分が起業するなら、ヒトの知見にフォーカスしたプラットフォームを作りたかった。そしたら既にやっている企業があって、それがオールアバウトだったんです。

それと好奇心旺盛な性格もあって、仕事をする上であまり業種を絞りたくなかった。就職活動でいろんな企業を知れたのが楽しかったこともあって、いろんな業界に関わる仕事に就きたいと思ったんです。いろんなジャンルを扱っているというところでも、オールアバウトが一番近かった。
あとは……けっこう大きい理由なのですが、新卒一期生であれば、それまで前例がないので何をやっても怒られないかもと思いました(笑)。やりたい事やらせてもらえそう!と。後は江幡さんが他の企業の社長さんよりもイケメン、気さくな感じで話しやすかったというのもちょっとだけあります。(笑)

■営業には向いていないと言われながらも、人一倍努力して実績を作っていった

−入社してやりたかったことは何ですか?

新規事業をやりたいと思っていましたが、フタを開けてみたら、配属されたのは「営業部」。先輩方からは「雪絵ちゃんは営業向きじゃないよね」っていわれていたし、自分でもそう思っていたのに、「あれれ?」って思いました。正直、不本意な配属でしたね。

でもやってみたら結構楽しくて。「All About」は総合情報サイトなので、テーマが幅広い分、広告の導線設計も広告の内容も自由なんです。白いスケッチブックを渡されて、その中に自由にストーリーが書ける。企画を考えるのが元々好きだったので、商品をただ売るだけじゃなくて、クライアントと議論しながらどういうターゲットにどういうメッセージを届けていくか、ストーリーを作り上げていくのが面白かったですね。

自分のアイデアを認めてもらえるという点も自信につながりました。自分の価値をわかってもらえるとクライアントとの関係性が強固になるので、営業活動としてもプラスに働いていたと思います。

−営業時代は好成績を常に収められていたそうですね。

詳しい数字は記憶していないんですが、昔から100点満点を目指すために120点分の努力をするタイプ。結果も重視するので、数字を達成することにはかなりこだわっていました。負けず嫌いなんですよね。

■おこぼれを貰うコバンザメの気分だった新規事業部時代

−営業を経験されたあと、念願の新規事業部に異動になったそうですね。

その当時、オールアバウトには大規模な社員研修があったんです。そこで社員がシャッフルしてチームを組み新規ビジネスを考える企画があって、私のグループは日本のことを海外に向けて紹介する“オールアバウトジャパン”というサイトを提案しました。

それがきっかけになったかどうかはわかりませんが、その後、新規事業部の中で2009年頃にグローバルビジネスを検討するチームが立ち上がりました。中国を中心とするアジアからの訪日外国人の増加を見据え、現地企業と連携して新たに会社を設立できないかなど、喧々諤々と議論した結果、米About.comが中国で展開した「阿邦(アバン).com」というサイトの中に日本の旅行チャンネルを立ち上げました。

でも、立ち上がり当初の1年から2年くらいは売上がほとんどなかった。営業部時代とは打って変わり、まるでおこぼれを貰うコバンザメの気分でした。当時はインバウンドや訪日外国人向けのビジネス自体が全く注目されておらず、中国人に向けてなにかやりたいというクライアントの要望もほとんどなくて。さらに追い打ちをかけるように外交関係が複雑になったり、東日本大震災が起きたり、いつ部署がなくなってもおかしくないという危機感が常にありました。悔しいのはもちろんですが、この部署は、売上をあげるどころかコストばかりがかかってしまっているという事実がすごく嫌だった。つらかったです。

−その状況をどうやって打破されたんですか?

東日本大震災が起きたときに、日本に住んでいる中国人の方々の声をもとに日本の今を伝えるコンテンツを作ったら、とても反響が高かったんです。日本人が「日本は大丈夫だ」と言っても全く信じてもらえない中、同じ国の人が発するメッセージにある信頼感、強みを感じました。

その体験をヒントに、撤退するかどうか迷う中、もう一度だけチャレンジさせて欲しいと、外国人が実際に記事を書く多言語情報サイト、今の「All About Japan」の実現に踏み切りました。国ごとに興味を示す日本の要素は異なります。だから国別に視点を変えて、その国の言葉で日本を紹介するこれまでにない海外向け日本情報メディアを目指し、日本ツウの外国人のネットワーク構築を開始しました。

その後、2015年10月に「All About Japan」が正式に開設。おかげさまで今は、言語も文化も異なる12名体制の部署に成長しました。

■日本だけでなく、アジアの他の国にも展開していきたい

−日本の魅力を海外に発信するインバウンド系のメディアは競合も多く出てきていますよね。

そうですね。他にも訪日外国人をターゲットとするメディアはありますが、「All About Japan」は日本に興味を持ってもらうきっかけづくりができる海外向けの日本の総合情報メディアとして確立していると自負しています。

一般観光客の口コミ情報を集約するプラットフォームの場合、日本に行くことが決まったユーザーが具体的に旅行プランをたてるのに使いますよね。最近は各地方自治体の広告コンテンツも増えてきていて、日本に興味がある、あるいは日本に行くことが決まっている外国人向けの情報は充実しつつありますが、日本に興味がない外国人へのリーチは難しかったりします。

私たちはそういった日本に興味がない人から、興味を持っている人までがターゲットで、日本でなにができるのか、どこに行くべきかを幅広く見せるコンテンツを持っているのが強みです。
毎週展開する特集コンテンツは「All About Ramen」「All About Snow」「All About Toilet」など、外国人にも人気な食べ物、文化、体験、外国人がユニークで面白いと感じる情報などがテーマで、入り口や対象者が広いのが特徴。日本の良さだけを書き綴るのではなく、類似したテーマが魅力の国や地域との比較情報もセットで掲載しています。

例えば、ラーメンは日本だけでなく、韓国や中国でも有名な食事です。そのため各国のラーメンの違いを説明した上で、日本のラーメン文化、有名店やご当地で異なるラーメンなど日本のラーメンの魅力を訴求することで、「ラーメン」から「日本のラーメン」に興味をもってもらうようなコンテンツを作っています。

あと昨今人気のスキーもその一つ。スキーを外国でしたいというユーザーに対し、日本の雪が注目される理由や、スキーができる国や地域の比較などの情報を掲載することで、「日本のスキー」に興味をもってもらう。こういったユーザーの態度変容を促し、日本に来てもらうきっかけを作ることが「All About Japan」の役割だと考えています。
書き手であるライターのネットワークも強みの一つですね。
記事もただの翻訳ではなく、日本に詳しい外国人ライターが自ら取材し、自分の言葉で紹介しています。また、外国人ライター以外にも、総合情報サイト「All About」で記事を書くガイド(専門家)も海外で活躍する方が増えてきており、ガイドさん達にも協力いただくことで、より詳しい専門的な情報も発信できています。

−「All About Japan」の運営だけでなく、農林水産省、経済産業省、観光庁、復興庁、地方自治体など省庁の受注案件も多いですよね。

そうですね。「All About Japan」のほかに、フォロワー総数100万人におよぶ国別SNSアカウントの運用や、各国の大手ポータルサイトの連携など、情報発信力と拡散力を評価いただいています。あとは企業や地方自治体が発信したい情報をいかに海外に伝えるか、グローバル視点でのストーリー作りのノウハウがあることもあり、日本企業や日本政府向けにコンサルティングを兼ねた情報発信業務を請け負うことが増えてきました。
海外のマーケットに精通するコンサルタントや越境ECを運営する企業とパートナー契約を結んでいることも大きく、経済産業省補助事業では伝統工芸品・地域産品の産地ブランド化の推進、海外展開に向けた活動を支援するプロジェクトを展開しています。
こうした各省庁との取り組みを通じて海外の企業やメディアと関わることで、海外での基盤を構築することにつながればと思っています。その背景にはグローバルビジネスを続ける上で、海外のクライアントを獲得できるようなビジネスモデルが作りたいと思っているからです。

旅行博などをみても、世界からすると日本企業はまだ小さな存在です。日本だけでビジネスを繰り広げるよりは、何か一つ軸を持って世界で展開したほうがビジネスの規模がより一層拡大するでしょうし、チャンスも増えるだろうと考えています。

ただ、世界を舞台にしたとき、多言語、特に英語版となると競合サイトが一気に増えます。旅行サイトやグルメサイトも星の数ほどあります。今は日本をテーマにしていますが、その枠を外した時に何を強みとしていくのか。動きが早い業界ですので、先々を見通して動いていかなければなりません。

−今後はどのように「All About Japan」を発展させていきたいですか?

現地のメディアとの連携をもっと進めていきたいですね。逆もしかりなんですが、例えば日本人がタイにいくとき、バンコクやプーケットなど主要な場所は情報があるけど、クラビやスコータイなどの情報は入ってこない。そういった情報の濃淡を埋めるという部分で相互に補完し、より情報が充実したサイトへ成長させたいと思っています。

あとは日本だけでなく、「All About Asia」など、アジア全体に領域を広げることもチャレンジしたいですね。というのも、日本に興味がある外国人は増えてはいるけど、世界的にみたらそこまで多くない。日本に興味を持ってもらう手法として、日本だけの情報で展開するには限界があると考えていて、タイや韓国など、アジアに興味を持っている人達にもアプローチしていく必要があると思います。

例えば、日本からアジアのマイナーな都市に行く旅行プランや、台湾に行くときは沖縄経由だとより安く行けるといったアジアを横断する情報を展開するとか。そうすると、アメリカの人が日本に来る際に韓国とタイもセットで旅行するといった、今までになかった形で日本を売り込む提案ができるようになる。そういう意味でも各国のメディアとの連携をはじめ、他の国に基盤を作っていくことが重要で、今後を見据え省庁の仕事を通して注力しています。

■チャンスがなくても手を挙げるべき

−2回の産休を経て事業責任者に。就任されてどうですか?

私の場合、マネージャーとか、事業責任者を目指していたわけではないんです。周囲のサポートを得ながら、とにかく目の前にある業務をこなし、やりたい事に取り組んでいたらジェネラルマネージャーになっていた、という感じです。事業責任者になってみて、「成長し続けないと!」という今までにない責任の重圧はありますが、一緒に戦うメンバーが増えてエネルギーにもなっています。

−オールアバウトの若手に対し、メッセージはありますか?

男だからとか女だからとか、そういうこだわりは一切ありませんが、もう少し女性や若手の事業責任者が増えてほしいですね。他の部署も含めて、優秀で責任感の強い、シゴト好きな女性はたくさんいますから。私自身も決して原状には満足していないので、様々なことに挑戦し、成長し続けたい。自分で自分の壁を作っているのはもったいないので、チャンスがなくても手を挙げるべきだと思っています。働く環境としても、みんながチャレンジしやすいような、柔軟な仕組みや雰囲気づくりができたらいいですよね。
(取材・文 大竹 菜々子)
46 件

おすすめの記事

ヒト <リーダーズ Vol.4>ビジョナリーな創業代表 江幡が目指す“スキルワーカー”が活躍する社会(前編)

オールアバウトの創業者である江幡さんは、昨今「スキルワーカー」という概念を提唱しています。江幡さんがオールアバウトの経営を通じて実現したい、理想的な社会や個人のあり方とは、いったいど...

ヒト <リーダーズ vol.1> 新編集長、大塚が見る「All About」の今と未来 

こんにちは、広報グループの大貫です。 弊社が運営する総合情報サイト「All About」ですが、2017年1月に新しい編集長が就任しました! そこで、ジェネラルマネジャーや、執行役...

ヒト 膨大なデータの海から未来のオールアバウトを見出すデータエンジニア・横山

オールアバウトの成長や変革に寄与した人物にお話を伺い、仕事に対する価値観や取り組みの詳細を深堀りしていく「プレイヤーズ」。今回は2016年エンジニア部門における通期MVPに輝いた、シ...

人気記事ランキング

専門家 女性だけの問題ではない。意外と身近な「不妊治療」、専門家とオープンに話してみた。

All Aboutの専門家(ガイド)に色々聞いてみるコーナー。 今回は、爆笑問題・太田光も絶賛の人気Podcast番組「バイリンガルニュース」でMCを務めるMamiがレポーターとして...

ヒト トップ営業から新規事業の立ち上げまで。新卒一期生・弘中が歩むイバラの道

オールアバウトの新卒一期生として入社した弘中雪絵さん。営業部で好成績を残した後、新規事業部で「会社生活で一番つらかった」経験を経てグローバル推進室の事業責任者に就任。仕事への向き合い...

コト 第56回「リアルサンプリングプロモーション」が行われました

こんにちは、広報グループのやなぎです。 先日、オールアバウトグループでEC事業の分野を担う株式会社オールアバウトライフマーケティングが運営する、日本最大級のサンプリングECサイト「...