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強い体が切り拓く人生 ボディデザインは、自らの人生をデザインすること【ボディケアガイド 森 俊憲】

ビジネスパーソンにとっては、筋トレがメンタルをはじめとした自己強化の手段になりはじめている。多忙のビジネスパーソンにメソッドを伝えている森俊憲さん。サラリーマンから、ボディデザイナーという道をどのように切り拓いたのかを紐解く。

All About【ボディケアガイド 森 俊憲】

森 俊憲(もり としのり) ボディデザイナー。株式会社ボディクエスト代表取締役。これまでに3,000名以上への体型管理カウンセリングやパーソナルトレーニング指導を行い、自社で提供するオンライン支援サービスには国内はもとより海外在住の顧客も多数。「ダイエットという引き算ではなく、ボディデザインという足し算の考え方を」というコンセプトのもと、体作りをプロジェクトマネジメント化するアプローチは能力開発分野でも活用されている。最新の著作は『筋トレセラピー』http://www.amazon.co.jp/dp/407282317

俳句部に所属し、筋トレに目覚めた大学時代

そもそも森さんが通っていた小学校は、体育のモデル校だったという。そのため、運動をする時間が普通の小学校よりも多かった。そんな中、3年生の時に担任の先生から言われたのが「森は運動神経がすごくある」という一言。理由はわからずとも、この言葉が“自分は運動が得意なんだ”ということを自覚するきっかけとなり、自信にもつながった。

それからというもの、小学時代はソフトボール部でキャッチャー、中・高時代はバレーボール部に所属し、セッターとして活躍。

しかし、大学で一転。入部したのはなんと“俳句部”。さらに、夜はホテルのバーでバーテンダーのアルバイトをしては友人との飲み会を繰り返す日々。

「運動とは無縁の生活になったら、物足りなさを感じ、自分らしさを見失いかけました。ある時、健康で元気がよく、体力に自信があるのが本来の自分だと気付いて、目指したのがトライアスロン。スポーツクラブに入り、本格的に筋トレを行うようになると、体が変わるのはもちろん、充実感も芽生えてきました」

この頃からボディデザインを意識するようにもなっていった。

京セラに勤めていた当時の名誉会長は稲盛和夫氏。その教えは森さんのビジネスマインドのなかに今も根付いている

ボディデザインで、会社員としての立ち位置を築く

大学を卒業後、入社したのは京セラ株式会社。マーケティング部に配属され、朝7時前には寮を出て帰宅するのは終電。ジムに寄るどころか夕飯を食べる時間さえなかったが、コンスタントな筋トレだけはかかさなかった。

「マーケティング部の森といえば“元気そうで、いい体をしている奴”というイメージがあったので、それを崩してしまうと僕のエッジの部分がなくなってしまう気がしました。恐怖といってもいいかもしれない。だから、今持っているこの体という武器は、組織で働く自分のためにも維持しようと思ったんです」

限られた時間の中で筋トレを行った場所は、寮の階段の踊り場。ここで道具を使わず、できるだけ効率よく行える種目を考えて取り組んだ。これが、のちの森さんのフィットネスメソッドにつながっていく。

「僕の持論ですが、男性は自分よりもいい体をしている人に対して、言葉にはださなくても一目おいているところがあると思うんです。それが内面的な自信となり、上司や取引先の方にも、ものおじせずにコミュニケーションがとれました」

社内においての評価や良好な人間関係も、自身の体がもたらすエネルギッシュな雰囲気が影響していたはず、と森さんはいう

フィットネス好きサラリーマンから起業へ

京セラに10年半勤めた後、ボーダフォン(現ソフトバンクモバイル株式会社)に転職。この頃、自身のホームページを立ち上げ、階段の踊り場で試行錯誤して考えた筋トレのメソッドを綴った。

今でいうブログのようなものをはじめると、共感のコメントが集まり、自分の考えたメソッドは筋トレやフィットネスで悩んでいる人たちに役立っていると実感。このメソッドを体系化してサービスにすれば、ニーズがあるのではないか。そんなことをと考えはじめた頃、ボーダフォンがソフトバンクに買収される。転職してまだ半年だったが、それを機に退職し、ボディデザイナーとして起業する道を選んだ。

これまでに歩んできた道とは全く違うフィットネス業界での起業。しかも、元アスリートという肩書があるわけでも、体育系の学校を卒業したわけでもない。「いわば、僕は単なるフィットネス好きのサラリーマン。だからこそ、ターゲットは一般のビジネスパーソン。彼らが必要としているのは、アスリート向けのハイレベルなテクニックではなく、僕が考えた隙間時間で、無駄なことはせずに自分の得たい結果が得られるメソッドだと思ったからです」

たった1年しか在籍しなかったボーダフォン。今では貴重な社章や名刺

4000人以上のケーススタディを蓄積し、サポートの質もより向上。最近は企業と事業提携を行い、社内でレッスンすることも。

顔は知らないけれど、支持してくれる方がいた

自分が考えたメソッドを、できるだけ多くのビジネスパーソンに伝えたい。そう思った森さんはこれまでに培ったIT技術を駆使して、寝る暇もなくウエブサイトのコンテンツ作りに取り組んだ。自分が納得のいくオンラインフィットネスのサービスが提供できれば、数件は必ず売れるという確信もあったという。

「当時、顔は知らないけれど僕を支持してくれる方がいて、その方たちの存在が支えでもありました。発売すると、すぐに彼らが購入してくれました」

購入者はたった数名だったけれど、認知さえ拡大できればビジネスとしてやっていけるという自信にはなった。そこでコンテンツを1週間に1回増やすことを公言し、コンテンツ作りとメルマガの配信を続けた。有言実行することが信頼感、そして認知拡大につながると信じて…。

しかし起業して2年間は赤字続き。一時期は追い込まれてカップラーメンでしのぐ食生活になったり、ミネラルなどの栄養不足や極端な睡眠不足で脇腹胃けいれんになったりもした。けれどビジネスマンとしてのキャリアを捨てた以上、それを超えたい、振り出しには戻りたくない、そんな思いから必死に取り組んだ。そして、大きな転機が訪れる。とあるきっかけで自衛官向けにトレーニングプログラムを推薦してもらったことが新聞に写真付きで大きく掲載され、これにより一気に知名度があがり、お客さんの数も増加した。

「へやトレ」(主婦の友社)をはじめ著書は多数。テレビ番組のオファーもあるが、まだ出演するには早いと断っているという。「もし出演するなら"情熱大陸"か"ソロモン流"がいいですね(笑)」

筋トレは体と心を鍛えてくれる。そのメソッドを伝えていきたい

起業してから6年、これまでに個別カウンセリングやパーソナルトレーニングを行った人数は4000人以上にもなる。けれど、クレームは一切ないという。

「うちのプログラムは、ウエブ上のシステムで、双方向のやりとりをするのが基本です。対面しないからこそ、お客さんは自分をさらけだしてくれるので、深いやりとりができるんです。それに、オーダーメイドの運動メニューにより、着実に体が変わっていくので、自信がつくんだと思います。その証拠に、転職活動をはじめる方が多いですね(笑)」

日本は“筋トレ=ダサイ”というイメージがまだあるものの、アメリカではビジネスパーソンにとって筋トレが欠かせない自己強化の手段になっていることを、昨年渡米した際に感じたと森さん。

「ビジネススキルとして、いまや健康は外せない。だからこそ、ビジネスパーソンにもっと僕のメソッドを伝えていきたいですね。筋トレは体を鍛えるだけではなく、マインドも強くしてくれますから」

森さんご自身は、大学時代と体重も体脂肪も変わっていない。体脂肪率は10%を切っている。
文/小林博子 写真/斉藤美春
※本記事の内容は取材時点(2012年4月)の情報です。
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