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自分はどう生きたいのか問い直し、 お金の管理を見直せば 誰でも豊かな老後が見えてくる 【家計管理ガイド 山口 京子】

家計管理と言われると、「節約しなくちゃいけないのはつまらない」と否定的になる。「資金運用」と言われると「損しちゃうのでは?」と身構える。そんなネガティブな気持ちをきれいさっぱり払拭してくれるのが「家計管理ガイド」の山口さんの記事だ。なぜ山口さんの記事は、気持ちが前向きになれて、「今までできなかったことがやれそう」な気分になるのだろうか。じっくりとお話を伺った。

All About【家計管理ガイド 山口 京子】

山口 京子(やまぐち きょうこ) へそくりから保険、運用まで最得ルートをアドバイス。名古屋出身。大学在学中からテレビ・ラジオに出演。卒業後はフリーアナウンサーに。お金好きが高じてファイナンシャルプランナーの資格取得。新婚当初、手取り20万円台から、マイホーム購入。2年で完済費用を貯める!

アナウンサーからFPへ

大きな眼にサラサラのロングヘアー。シャネル風のジャケットをきっちりと着こなした山口さんは、鈴のなるような美しい声の持ち主だ。

中学の頃の夢はDJになること。大学では放送部に入り、アナウンサーを目指し切磋琢磨していた。
大学卒業後結婚を機に上京をし、フリーのアナウンサーとしてラジオやテレビで活躍していたものの新婚家庭の収入はそれほど多くない。高円寺の築30年のマンションで「パンは97円になったら3斤買って、2斤は冷凍」という生活をしながら、夫婦で一つ一つの仕事を大切にし、広い家に住むことを夢見ていた。

20代も終わるころ、TBSテレビの近くの本屋でふと目にはいった本が「ファイナンシャルプランナーになるための本」だった。

アナウンサー業だけでは将来に不安を感じていたころでもあったから、本を読んで「ファイナンシャルプランナー(以下FP)とはお金を扱う仕事」と知り「大好きなお金、楽しいかも!」と飛びつく。一念発起し、FPを養成するための学校に通い資格を取得。現在は日本でもそれほど多くないフリーのFP、それも誰にでも身近な「家計管理」を得意とする専門家として活躍中だ。


「広い家に住みたいという目標がありましたから、節約はちっとも苦ではありませんでした」

持ち前の名古屋人気質と「環境」が最強FPを育てる

ほんわかした女子大生が、着々と経験を積み、その後フリーのFPとして実績をあげていく。その成功要因はなんだろうか。
山口さんによれば二つあったという。
ひとつは名古屋人気質。もう一つは結婚後の働く環境だ。

コテコテの名古屋人を自認する山口さん、著書のプロフィールには「血の一滴まで赤味噌です」と書くほどだ。
名古屋出身というと「結婚式が豪華」とか「ケチ」といったイメージを持たれることも少なくないが「それは誤解です」と山口さん。

「名古屋人は、もともとお金を貯めるのが当たり前という気質、借金が嫌いなんです。結婚までに1000万円貯める人も少なくない。かといって、結婚式が必要以上に派手ということもないんですよ」

結婚前の貯金高は日本一。けれども結婚式そのものにかける費用は意外なことに全国平均以下だという。ただし出す料理にはこだわるなど、徹底してムダを排除してこれと思うものにはお金を惜しまない。貯金をして、必要なものにお金を使うといった山口流お金のメリハリのある使い方はまさに名古屋のDNAにほかならない。

もうひとつの要因の「環境」。フリーでずっと働いてきた山口さん夫婦は、安定的な収入が得られる会社つとめをしたことがない。
フリーのアナウンサーであれば、春と秋の番組改編の時期に「これで今回のお仕事はおしまいです」と突然言われることもある。
そこで、夫婦で働く心構えとして

1 どんなに小さな仕事でも声をかけてもらった仕事はありがたく受ける。

2 次の仕事に繋がるよう、1の仕事に対して相手が2倍3倍も得をするようにしてお返しする。

3 得た収入は必ずその何割かは貯金をする。または運用をする。

4 どんな苦境であっても「なんとかなるさ」と笑い飛ばす。

この4つを実践していった結果、徐々に収入はアップしていった。


お金の大切さをしっかり学んで欲しい「20代のお金の教科書」と、山口さんの名古屋人DNA全開の「お金持ち名古屋人八つの習慣」

借金サイトから家計管理サイトへ移り、ブレイク

もともとお金に興味があるせいか、一発でFPの資格を取った山口さんは、メインの仕事はフリーアナウンサーとしつつも副業でFPの仕事を始める。友達や仕事仲間のお金の相談にのっていた程度だったのが、次第にFPの仕事が増えていった。そのきっかけになったのはAll Aboutだった。

FP学校時代の同窓生である山崎俊輔さん(現「企業年金・401k」ガイド)に声をかけられ「お金を借りる返す・借金ガイド」としてデビューする。

匿名ではなくちゃんと名前を出してひとつのことを解説するというのは、意味のある仕事と考え、ていねいな記事つくりを心がけた。

ところが、「借金サイト」という分野は、山口さんにとって少々やりにくいものだった。

実は山口さんは「借金が大嫌いな名古屋人」。どうにか記事を書いていたものの、どうも違和感が拭えない。

そこでそのころ借金の専門家として有名になっていた横山光昭さんに声をかけ借金ガイドを譲り、自らは家計管理ガイドに移った。2004年のことである。それからの山口さんは水を得た魚のよう。

「だって、『手取りが少ない時から家計管理をして着実に貯金を増やす』というコンテンツであれば、私は絶対的に自信がありましたから」とにっこり。

その後は順調に、記事を書くたびにいろいろな企業、雑誌、テレビの取材が来るようになり、名実ともに家計管理に強いFPとして自立していった。


仕事をするときの必需品の電卓は、思いついたときにいつでも計算ができるよう、山口さんのいるところ常にあり。バッグ、デスク、キッチンカウンターなど、5個以上は持っている。画像はシャツとお揃いの電卓


レギュラー、コメンテーターとしてテレビ出演も数多い

収入の多さで、貯金高が決まるわけではない

「貯金残高は、収入で決まるわけではない」というのは山口さんの持論だ。そうは言っても、年収2000万円の人と200万円の人とでは、やはり2000万円の人のほうが貯蓄もしやすいし、実際貯蓄高も多いのではないだろうか?

山口さんによれば、実際は2000万円の収入があっても貯蓄ゼロの人もいれば、200万円の人で1000万円貯めている人もいるのだとか。

「貯蓄残高は、収入の結果ではなく毎日の習慣の結果なんです。何を選ぶか、どんな風にお金を使うか、生活スタイルの癖が貯金残高に現れるんですよ。だからこそ」と山口さんは言う。

「日頃の生活習慣を見直して、出費を削れるところから少しずつ削っていけば、誰でも必ず貯金はできるんです」

ただし自分が大切にしていることを削る必要はない。
「ワインが大好きな人に、『そのワインをやめれば貯金が貯まりますよ』といっても、それはその人の幸せにはならないですよね」

なるほど。誰もが、自分は何を大切にしてどう生きていきたいのか、何を目標にしたいのか、明確にすることが幸せへの一歩なのだ。何を大切にしたいのかが明確になれば、それを生かしてお金を貯めていけばいい。次に考えるべきはリスクヘッジだ。

「老後、皆さんが安心して暮らせるようリスクヘッジは必要ですが、そのやり方も十人十色」と山口さん。

「たとえば一生働くというのもひとつの方法です。運用の力を借りるという手もあります。保険で備える人もいるでしょう。貯金を貯めるという手段もある。貯め方・運用の仕方も多種多様です。私ができることは、そういった情報を発信することです。運用もするかしないかではあとで大きな差が出ます。みなさんの幸せの形はさまざまですから、情報の中から自分に合ったものを選択してほしいのです」

長い老後だ。自分の生きたいようにしっかりとお金を管理していくことが幸せへの次のステップなのだと山口さんは説く。


「当時はまだ自分のHPもなかったので、All Aboutの看板というのは、本当にありがたかったですね」


お金が貯まるかどうかは、生活習慣の積み重ね。山口さんのお財布は、こんなに小さい。カード2~3枚と現金1万円程度

自分らしく生きる。そのためのお金の話をしよう

「年収と貯金高は別物だとわかってもらえれば、『年収によって子どもの数を決める』なんて寂しいこともなくなるのでは」と山口さんは感じている。子育て世代を応援していくこと、より多様な選択肢を提供し、老後難民の予備軍を一人でも減らすこと、その二つが自分に与えられたミッションと肝に銘じ、活動を続ける。

さて、10年後の山口さんはどこで何をしているのだろうか?
「かしこくお金を貯めるノートのメソッドがみなさんに広がるシステムがあり、会員の皆様と『お金が貯まってよかったですね~』というディナーショーをするというのが楽しいかも」ふいに山口さんの目がキラキラと輝いた。

「実は私、『名古屋弁を饒舌に語る女優』というのが夢。そのディナーショーで主役をこなして……」おっとあらぬ方向に妄想が膨らんでいるようだ。それは、山口さんらしく生きるということであり、それもまた楽し。

お金の事を考えるのは、自分の人生を考えるということでもある。若い時から、お金のことを考える癖をつける。自分の夢は大切にする。ひとつひとつ積み上げる。相談にくる人だけではなく、広く世間いっぱいに向け情報発信はこれからも必要だと感じている。

「もちろん、これからもAll Aboutで『最後まで自分らしく生きて欲しい。そのために必要なお金のこと』を愛を持って語っていきますよ」と笑顔で約束してくれた。



山口さんが監修した「かしこくお金を貯めるノート」。わかりやすくシンプルで目標がはっきりわかるスグレモノだ。
文/宗像陽子 写真/平林直己
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