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モノを減らして暮らしをシンプルに。大切なものが見えてくる、とっておきの方法を教えます【シンプルライフガイド 金子 由紀子】

家の中にモノがあふれて息苦しい。シンプルに暮らしたいけれど継続しない。そんな人にとって金子さんの記事は、生活感あふれリアリティがあると大人気。「シンプルライフが生き方を見つめなおすことにもつながる」というガイドの原点とは?

All About【シンプルライフガイド 金子 由紀子】

金子 由紀子(かねこ ゆきこ) 子供の頃より「シンプル」「ミニマム」に関心を抱く。学生時代より10年間の一人暮らし賃貸住まい時代に、少ないモノで楽しく暮らすノウハウを模索。出版社にて書籍編集に携わったのちフリーランスに。結婚後二児を得て、新たなシンプルライフの構築にいそしむ日々。

モノの増える気持ちの悪さを知る

シンプルライフガイド金子さんのお宅にお邪魔した。何もモノがないツルンとしたリビングなのだろうか?という予想は軽く裏切られた。リビングの扉を開けると、そこは生活感が適度にある温かな居心地のよい空間だった。

低めのテーブルとそれに合わせたイスはすわり心地がよく、鍋のこげ跡のついた使い込まれたテーブルの上はすっきりと片付き、気持ちがいい。竹で編まれたかごがいくつかあって「おとうさん」「おかあさん」と子どもたちの名前がついていた。

家族やよく訪れるだろう友人たちとのさんざめく会話が聞こえてくるような温かいリビングだ。

金子さんには、シンプルにこだわるようになったきっかけともいえる「モノに関する記憶」が2つある。

一つは故郷栃木県の実家の風景だ。幼いときは家の中にモノはあまりなく、お母さんの嫁入り道具のたんす以外は何もないような家。それがちょうど高度成長期にあたると、モノがどんどんと家の中に入り込んできた。

モノのない生活に慣れてきた親世代は片付けの文化もなく、家の中はどんどん煩雑になっていった。モノがあふれてくる不愉快さや気持ちの悪さは、子どもの金子さんをして「大人になったらモノの少ない生活をしたい」と決意させた。

もう一つの記憶はオイルショックだ。「トイレットペーパーがなくなる」と奔走していた人々がいる一方、金子さんの親の世代はとんと気にしていなかったそうだ。「どうせすぐ収まる騒ぎだよ」と。親の世代は、モノの便利さは知っていたけれど、いざとなればモノなどなくても何とかなる知恵を持っていた。

そんな親の姿を見て育ち、金子さんも「モノの価値」を考えるようになっていった。


天板と脚を買ってきて自分で作ったテーブルは、高さにもこだわった大切なもの。13年ほど使っていて味が出てきた


「複雑なことは苦手なの。田舎の風景がだだっ広くてシンプルだったせいかしら」

普通の人ができるすっきりした心地の良い暮らし

社会人となり一人暮らしを10年間続けて、シンプルライフをより目指したいと考えた金子さんは、シンプルライフ提唱者たちの言うことに耳を傾けてみたものの、なかなか思うようにはいかなかった。

「質のよいものを選びましょう」「アンティークに価値を見出しましょう」といった先駆者たちはあまりにもセンスがよすぎて、自分が背伸びしても続かない。

特に美意識が高いわけでもない自分にできることはなんだろう。そう考えてまず実践したことは、センスのよいものを選ぶというよりは自分の家の中の嫌いなものを排除していくことだった。

この「普通」の感じ、庶民感覚が金子さんの記事の最大の魅力である。

実は筆者も「見せる収納」やら「一点豪華主義」やら、目指してはセンスのなさに頓挫を繰り返してきたエセシンプル人間。金子さんに言われて家に帰り、少しだけ「ほんとは好きじゃないモノ」を処分したら、思ったよりずっとすっきりして驚いた。確か何年か前に断捨離をしたはずだったのに、それからいつの間にかまたモノは増え続けていたのだ。

さて、金子さんは結婚後、子どもができると格段にモノが増える現実に直面する。部屋いっぱいに散らかったものをみて茫然とする日々。そして気づいたことは「捨てても捨ててもモノが減らない。これは、家にモノを入れる前にシャットアウトするしかない」ということだった。

「セレブでもなければ、特別センスのいい人間でもない。でも放っておくと、モノはどんどん増えて生活を脅かしていく。それはイヤ。そうならないためにどうしたらいいのか考えたい」。そんな普通の目線が多くの人に受け入れられて、金子さんの記事は人気を集めている。


カゴやザルが好き。いつか捨てるときにも、燃やせて土になる。重ねて収納できるものを選ぶことも重要。


シールで引出に入れるものの名前を付ける事で、所在地を明確に。時によって中のものは変わって行くのではがせるシールを使用。ラベルライター「p-touch」(メーカー:brother)(左)はシャンプーなど水にぬれるものの名づけに有効。

All Aboutに関わるきっかけは、ボツになった原稿だった!?

ダイエットや旅行などを中心に長くライターをしていた金子さんは、次第に「シンプルライフ」について専門を特化していった。

ある時「捨てる」をテーマに書籍の企画を出したところ、どこの出版社からも受け入れられず、ついに書籍としては日の目を見ることができなかった。ちょうどそんな折にAll Aboutの「住まい」のジャンルでガイドの募集があるのを見つけ、ネットでなら自分の企画を活かせるのではないかと考えガイドに立候補。晴れて「シンプルライフ」ガイドとなる。そして企画の中からネタを作り、少しずつネットで公開していくようになった。

All Aboutで記事を書くことは、どんな魅力があるのだろうか。

雑誌や書籍はお題が決められており、それに沿って書いていく。しかしAll Aboutの記事は、企画立案、取材、調査をすべて自分で考えていかなければならない。それは逆に言えば、制約を加えられることなく自分でやりたいことがやれるということでもある。
実験的な仕事をやる。検証する。会いたい人に会う。

やりたいことをやらせてくれるという意味で、All Aboutは非常に貴重な存在だと金子さんは感じている。


「All Aboutの名刺のおかげで会ってみたいなあと思う人には随分会えました!」

モノは大切。モノは好き。だからこそ選びたい

では、金子さんが記事を通じて読者に伝えたいことはなんだろうか。

それは、3つある。

一つ目は、「モノはいらないとは言わない。でももしモノがあふれていることでストレスを感じているのなら、こうしましょうという提案をしていきたい」。記事では「モノはあれば便利だけど、なくても大丈夫なのだ」と伝え続けたい。かつて親の世代が教えてくれたように。

二つ目は、「好きなものを大切に使うこと」。「私は特別センスがいいわけではない」という金子さんの家は、そうはいっても統一感があって心地が良かった。徹底的に入り込むモノをシャットアウトし、「優しい色合いの木」「竹で編んだザル」「和風の布」「お気に入りの本」など自分の好きなものを大切に扱っているからだろう。

振り返ってみれば私たちは、もらいものやおまけなど日々増えていく「特に好きというわけでもないもの」になんとたくさん囲まれていることか。それらが統一感のない空間をどんどん埋めていき、私たちの生活を息苦しくしている。

最後は、「家事は一人の主婦が完璧にこなすものではない。完璧ではなくてもいいから補い合って家族みんなで家事を片付けていく」ことを伝えたいという。一人で完璧にするにはあまりにも家事は重い。もう少し肩の力を抜いて「ラクにやろうよ」。モノは少なく、やる家事も減れば、ずいぶんと生きるのもラクですよと金子さんはささやく。

記事を読んだりお話を聞く中で、普段の金子さんの豊かな人間関係のエピソードを垣間見ることが多かった。子どもの洋服をもらったり、あげたり。困ったときにモノを借りた後に、パンを焼いてお礼をしたり。何年に1度しか使わない調味料をわざわざ買う必要もない。モノをたくさん抱えることよりも、モノの貸し借りをできる豊かな人間関係を持っているほうがずっと自由で楽しいのだと、改めて教えられたような気がした。


「できるだけ、モノは増やさない。そしてあるものの中で何とかやっていく方法を考えることをおすすめします」
文/むなかたようこ 写真/平林直己
※本記事の内容は取材時点(2014年4月)の情報です。
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