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効率好きと、130%の力を発揮する心がけが切り拓いた「家事アドバイザー」への道 【節約ガイド 矢野 きくの】

ワークライフバランスが声高に叫ばれているが、それでも「仕事と家庭の両立」に悩む女性は多い。解決する糸口が家事にあるとしたら…。彼女が家事について発信し続ける「原点」がそこにある

【All About 「節約」ガイド 矢野きくの】

矢野 きくの(やの きくの) 明治大学卒業後、キャリアコンサルタント、家電PCメーカーでの仕事を経て節約アドバイザー、家事アドバイザーとして独立。家事の効率化、家庭の省エネを専門にテレビ、雑誌、講演などで活動。またテレビ番組の問題作成や便利グッズ、調理器具等の企画にも携わる。著書「私らしくシンプル家事」毎日新聞社、「シンプルライフの節約リスト」講談社、「矢野きくの流食材使いきり節約レシピ300」宝島社、他。

キャリアカウンセリングで見えた、働く女性の本当の悩み

節約アドバイザー・家事アドバイザーとしてガイドとしてはもちろん、テレビや雑誌でも活躍中の矢野さん。よほど“この道”にこだわりがあるのかと思えば、実は、流れに身を任せた結果だという。

「大学を卒業後に就職した会社では、キャリアコンサルタントをしていました。採用面接をした後にその人の適性を判断し、希望、環境にあわせた就業をカウンセリングするという内容の仕事です。多くの方と話していて気がついたのは、たくさんの女性が仕事に悩んでいること。悩みを掘り下げていくと、どのかたの悩みにも、仕事をしながら家事や育児をどうこなすかが根底にありました」

自身も彼女たちと同じ立場の「仕事と家庭を両立する女性」だった矢野さんは、自分自身が暮らしの中で実践していた効率的な家事の方法を、ネットで公開するようになっていった。

OL時代、飲み会のワンシーン。「やるならとことんやる」という持ち前の精神で、仕事に邁進していたころ

いわば、効率化のオタク!?

そもそも、矢野さんがなぜ家事の効率化をアドバイスできたのか。それには矢野さんの性格も影響している。

「私は、昔から“いかに効率的に物事をこなすか”というシステムを考えることが大好きでした。たとえば、仕事で使う筆記用具ひとつをとってもそう。メインに使う赤と黒のペンに加え、シャープペンシルが1本になった多機能ペンを使うことで、持ち替える時間を短縮できます。さらに、蛍光ペンはキャップを外さずに使えるノック式のものを購入。仕事で使うのはこの2本のみ。机の上の決まった場所に並べて置いておけば、目線を動かさずに手に取れます。仕事中の「書く」という作業における、究極の時短。つまり、単なるオタクですよね(笑)」

身の回りのさまざまなことを寸分の無駄もなく行うための天性の発想力。これこそが「家事アドバイザー矢野きくの」の原点になっているのだ。

多機能ペンとピンクの蛍光ペンは、現在も愛用している

130%の力を発揮する心がけ

そんな得意分野を発信すべく、1999年にメールマガジンで「時間とお金を効率的に使うスマートライフ」を発信しはじめた。翌年、ウェブサイトを開設するとすぐさまメディアの注目を浴び、翌月には主婦向けの生活情報誌から取材を受けることになる。

「有名になりたいとか、この道で一旗あげるぞ、なんて思ったことはありません。当初は会社員として働く傍らに家事アドバイザーもしていたのですが、次第に家事アドバイザーとしての仕事が増え、職場に迷惑をかけないための選択として独立することに。そして今に至るわけです」

しかし、矢野さんのプロとしての「今」は、運や偶然の重なりのような、たまたま手に入ったものではない。

「私は、与えられた仕事に対して130%の力を発揮できるよう努力したいと思っています。130%の仕上がりにできるかどうかは別にしても、どんな仕事も全力投球。おばあちゃんになったときに、“私、あの頃はよく働いたなぁ”と思える人生を送りたいから。ひとつ一つの仕事を精いっぱいやれば、得るものは大きい。そして未来につながるということを日々感じています」

仕事はいつも130%を目指します。できているかどうかは別としても(笑)

時短を目指すと節約にもつながる

矢野さん曰く、家事効率を上げることで仕事と家事の両立が叶うようになる。「家事に費やす時間が減ることで、それまで躊躇していたフルタイムの仕事にチャレンジする人もいれば、好きな仕事に変える人、趣味を切り開く人など様々です。家事のやり方次第で、働き方、生き方まで変えられるんです」

そして、無駄のない家事スキルを身につければ、おのずと「節約」にもつながる。矢野さんの「節約」とは、お金をケチケチと切り詰める方法ではなく、家事に費やす時間や手間を省いた結果得られる副産物なのだ。

企業主催の講演会で話すことも

終わりがないから楽しい、それが家事!

矢野さんにとって家事の魅力とは、終わりがないこと。さらに、自分次第でいくらでも改善が図れることだ。そしてその結果はダイレクトに自分に返ってくる。家事は一生やり続ける、だからこそ楽しくやるにはどうしたらいいか、気持ちよく穏やかな気持ちでこなすためにはどうしたらいいかというポジティブな発想に切り替えることが大切だ。

家事のやり方は、性格や間取りなどのケースごとに全く違う、まさに十人十色の方法が存在する。それゆえ、これまでは矢野さんが現場に出向いてケースごとにアドバイスをする方法が主流だった。

家事の魅力を語る表情豊かな矢野さんの手
矢野さんが描くこれからのビジョンは、多様なケースに応用できる汎用性のある体系づくりだ。働く女性、家事を分担する夫婦、独身の男性、そしてたとえば被災した地域の仮設住宅の中、設備の整わない中で家事を行う人たちのためにも。

「一歩踏み出すきっかけづくりや、自分の自由時間を確保するためのお手伝いができれば本望。誰かのためではなく、自分のためというスタンスで、たくさんの方に家事の効率化を考え始めてほしいです」。

「シンプルライフの節約リスト」(講談社)「47テーマで学ぶ家庭の教科書」(TAC出版)など著書多数。写真は、ラジオ番組でパーソナリティをつとめる矢野さん
文/小林博子 写真/佐山順丸
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