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カラオケを楽しむコツは、歌の上手さだけじゃない。苦手な人にこそ伝えたいことがある【カラオケガイド 唯野 奈津実】

All About「カラオケ」ガイドの唯野さんはその昔、「ジャイアン」とあだ名されるほどの音痴だった。今では日本で唯一の「カラオケ評論家」(商標登録済み)として、マルチに活躍している唯野さんの原点とは

All About【カラオケガイド 唯野 奈津実】

唯野 奈津実(ゆいの なつみ) カラオケ評論家。カラオケコンサルタント。カラオケコンテンツの流行分析・カラオケ店舗のリサーチ・カラオケルームのプロデュースなど、「カラオケ」に関わるあらゆる分野を専門とする。自身も独自のカラオケ上達法により、カラオケ大会で優勝・入賞多数。その経験を生かし、上達法の指導やカラオケ大会審査員も務める。

ついたあだ名は「ジャイアン」

唯野さんが音楽に親しんだ最初の記憶は、5歳のころのことだという。両親から教わったばかりの将棋に夢中だった唯野少年は、将棋をモチーフにした曲として、村田英雄の「王将」を知る。この「王将」が、唯野さんが初めて興味を持った音楽であり、その後のカラオケ人生の原点となる。当時、カセットテープを何度も巻き戻しながら、拙い平仮名で歌詞を画用紙に書き連ねていたという。

小学校時代は、「ザ・ベストテン」や「歌のトップテン」などの音楽番組を見ながら歌うのが大好き。町内会のカラオケ大会や遠足のバスでもよく歌っていたとか。
その唯野少年が、初めてカラオケボックスに行ったのは中3の卒業式のあとのこと。その時の感動は今でも忘れられない。

「今までテレビの向こう側だった歌の世界にいきなりポンと行って、まるで自分が歌手のような気分になれたのです。部屋の雰囲気、歌本、マイク、リモコン、スピーカー、ステージ、そして注目を浴びて歌うということ、すべてが感動的でした」という。

それから、すっかりカラオケにはまってしまったものの、残念なことに唯野さんのカラオケは、お世辞にも決して上手とは言えなかった。あまりにも調子の外れた歌を繰り返すものだから、歌っている最中に四方からスリッパが飛んでくることもしばしば。にもかかわらず、唯野さん自身には自分の歌が相当に酷いものであるという自覚がなかったという。その結果、唯野さんは「ジャイアン」というあだ名をつけられてしまうことになる。

下手と言われながらも大いにカラオケを楽しんでいた唯野さんだったが、「ジャイアン」のあだ名は返上したいという一心で、日夜ひとりでカラオケ店に通いながら練習を積み、工夫に工夫を重ね、10年以上もかけてカラオケ道を邁進。もともと、凝り性だったということもあるが、好きこそ物の上手なれとはよく言ったもの。少しずつ歌は上達していった。

昔は1日8時間立ちっぱなしで歌うこともよくあったとか。今も週に2~3回はマイクを握る。

「かあちゃん」は、カラオケ大会でほかの参加者が歌っているのを聞いて気に入ったもの。じっくりしみじみと歌い上げる唯野さんの一八番。

メルマガ会員1万人。そして書籍化

「ジャイアンと呼ばれた自分がそれなりに歌えるようになったノウハウを世に広めることはできないか?」と考えて、無料のカラオケ上達メールマガジンを発行し始めたのが、2005年のこと。もともと歌の上手い人が上から目線で語るような切り口ではなく「歌が下手だった自分はこんな練習をやってみたら効果的だった。あなたもいっしょに上手になろう!」というコンセプトが受け入れられ、2年間で1万人の読者を獲得することとなった。

その後もカラオケの記事を発信し続け、ついに、2010年、念願の著書「カラオケ上達100の裏ワザ」(リットーミュージック)を出版することとなる。

その間にも、全国のカラオケ大会を行脚し、ついには念願の優勝を果たす。
カラオケが大好きで大好きで日々研鑽を積む。その延長上に、今の唯野さんがいる。

カラオケ大会優勝トロフィーの数々。カラオケ道のたゆまぬ努力の賜物!

カラオケは歌の上手下手にかかわらず楽しめる

唯野さんが、メディアを通して伝えたいことはなんだろうか。
それは、いかにしてカラオケがうまくなったかというハウツーだけではないし、むずかしいボイストレーニングの話でもない。「カラオケは歌の上手下手にかかわらず楽しめる」ということだ。

「カラオケ上達100の裏ワザ」には、歌唱力がアップするワザはもちろんのこと、下手でも上手に聴かせるワザや、上司の心をつかむワザ、機材を使いこなすワザ、楽曲の構成の基本から、はては自信をなくした時にリフレッシュする方法、カラオケ大会で入賞する裏ワザまで、歌が下手でもちょっとした工夫や知恵でカラオケが上達するワザがたくさん。心理面、機材、楽曲、カラオケ店、あらゆる切り口でカラオケが上達し、楽しめるワザを読者に伝えている。

唯野さんは、メールマガジンや著書の発行により、「書くこと」で自分の責任において情報を正確に伝えられると感じるようになった。そこでライティングの仕事を増やしたいと考え、All About の「カラオケ」ガイドに応募、採用された。
All Aboutでは、カラオケに苦手意識を持つ人や興味のない人にこそ読んで欲しい記事を書いているという。
どんどん進化しているカラオケは、昔と違って遊び方も多岐にわたる。カラオケファンなら誰でも知っていることでも、カラオケから遠ざかっている人にとっては新鮮なこともある。

下手だっていいじゃない。笑顔で堂々と歌おう。
選曲でこうすれば盛り上がるよ。
メニューだって美味しいものがたくさんあるよ。
ひとりで楽しむのもよし。みんなで楽しく時を過ごすのもまたよし。

記事を読んで「へえ、カラオケも悪くないね」「今はそんな風に楽しめるんだね」「なるほど!今度はそうやって歌ってみよう!」と読者が思ってくれて、カラオケの裾野が広がればうれしい。そんな風に唯野さんは考えている。カラオケの苦手な筆者も記事を読んで大いに力を得た。

行ったことのないカラオケ店はない!?新しいお店ができたと聞けば行き、チェック。打ち合わせや取材をカラオケ店で行うことも多い。

スキマ評論家でみんなHappyに

2013年11月に唯野さんは2冊目の本を出した。「副業革命!スキマ評論家入門」である。「自分の得意分野で『評論家』を名乗れば、多くのマスメディアに出演できて、誰もが自分の好きなことで稼げる!」といった趣旨の本だ。

唯野さんも、最初は一カラオケファンに過ぎなかった。けれども、カラオケ評論家と名乗り、どんどん情報を発信することで、徐々にカラオケ評論家として世の中から認知されるようになった。その結果、ますますカラオケの楽しさを社会に広めることができるようになった。唯野さんは「カラオケ」のようなピンポイントの評論テーマを「隙間産業」にちなんで「スキマ」と呼んでいる。

誰しもが持っているはずの「ピンポイントの好きなこと」を徹底的に研究して、評論家を名乗る。「ピンポイントのスキマ」は、アイスでもトイレでもなんでもいい。必死に勉強して、日本で、いや世界で一番詳しい人間になり、その知識を社会に還元していく。人にも喜ばれ、自分も幸せになれるスキマ評論家になる方法をこの本では伝えている。


「カラオケ上達100の裏ワザ」では、カラオケをより楽しむワザを、「副業革命!スキマ評論家入門」では、好きなことで評論家になって自己実現するワザを伝授している。

朝カラオケ、カラオケ甲子園で日本を元気に

あえて「評論家」と名乗ることで自分も変わったと唯野さんは感じている。好きなことを極め、責任感を持ち、そのことに関して揺るぎない自信をもつためには日々勉強が必要だからだ。

カラオケ記事の執筆、カラオケ上達法の指導、カラオケ店のリサーチ、カラオケコンテンツの調査、マスメディアの対応、番組制作時の企画相談、カラオケチェーン店との企画検討などカラオケのすべてに関わる唯野さんは、今後、社会貢献をするために3つの目標を掲げているという。その3つとは、「朝カラオケの普及」「学校教育へのカラオケ導入」「カラオケ甲子園の開催」である。

「朝カラオケ」では、会社に行く前にカラオケで気持ちよく声を出せば、一日を元気に過ごせるのではないか。また、朝カラオケをきっかけに異業種間交流を図ることができれば、人間関係の幅も広がっていくのではないか。

「学校教育カラオケ」では、日本人に足りない自己主張力を伸ばすとともに、目立たない子でも主役になるという経験を積めることや、人の歌をしっかり聞くことによって、他人を尊重する心が芽生えることだろう。

「カラオケ甲子園」では、老若男女が参加できる国民的なカラオケイベントにしてみたい。歌唱力を競うだけではなく、パフォーマンスや一生懸命さといった部分にもスポットを当てたい。文句なく日本中が盛り上がるに違いない。

どれも、カラオケを通じて社会を元気にするための展望であり、それこそがカラオケ評論家としての使命だと唯野さんは感じている。

ちょっぴり冗談みたいに楽しく夢を語る。いつでもどこでも誰にでも語る。ネットで発信する。本に書く。毎日コツコツ情報を集め、考える。するといつの間にか夢が実現していく。かつて音痴だった唯野さんがカラオケ大会で優勝したように。

「カラオケメーカー・カラオケチェーン店とも今以上に一緒に仕事をして、カラオケ人口をさらに広げ、日本全国の人にとって『カラオケ』をなくてはならないものにすべく、さらなるカラオケの普及に力を注ぎたいですね」と力強く語ってくれた唯野さん。次の夢のゴールはまだ先のこと。だが、唯野さんはその過程を、苦を苦と思わずひたすら楽しみながら、いつの間にか到達するに違いない。


「歌が下手でもいいんですよ。プロの歌手じゃないんだから。上手いと言われる人だって音をはずしていますよ。『明るく歌っていれば充分楽しい』ということを伝えたいですね」


取材協力:コート・ダジュール大井町駅前店
文/むなかたようこ 写真/平林直己
※本記事の内容は取材時点(2014年1月)の情報です。
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