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直すだけがリフォームではない。リライフのリフォームで未来の暮らしを作りたい【リフォームガイド Yuu】

「リフォームはカタチからではなく暮らしから。こう暮らしたいと思った先にあるカタチを探す」。リライフ・リフォームを提唱し、業界とユーザーに情報発信を続ける一級建築士、Yuuさんの原点を探る。

All About【リフォームガイド Yuu】

Yuu(ゆう) 多くの現場経験や相談実績を持つリフォーム全般に精通する一級建築士 住宅リフォームコンサルタント・住宅リフォームガイド、一級建築士。講演・監修・取材多数のガイドが、新しい暮らしをつくる「リライフのリフォーム」を提案。本当に満足するリフォーム実現のためのトータルなアドバイスをしています。

新聞広告の間取りを見て遊んだ少女時代

子どもの頃から間取り図を見るのは大好き。新聞の広告を眺めながら、日がな一日「ここはこうしたらもっといいのに」とか「こうしたらどうなるかな」と考えていたという女の子。それがYuuさんだ。その情熱と軸は今でも全く変わることはない。

それほど遠くない昔、リフォームは新築のスキマ産業と言われ、新築の片手間でやる仕事だった。
しかし1990年代になり、業界はリフォームにこそ女性の視点が大切と気づき始め、女性が進出するようになった。Yuuさんはその先がけといっていい存在だ。
現場では「インテリアコーディネーター」をもじって「インテリア掃除姉ちゃん」とか「工事姉ちゃん」と言われながら、営業設計からインテリアコーディネート、積算、管理、請求書の発行、回収、はては近隣の挨拶まで全て自分でこなしていった。その現場での実務と感覚は、今のYuuさんの財産となった。


最近ユーザに紹介することが多いのは、東京ガスの横浜ショールーム。最先端のガス機器があるだけでなく、1980年代の家を再現するなどリフォームのイメージが喚起しやすいおすすめの施設だ。

『普通』ってなに?

住宅建築業界に入って最初にお世話になった設計事務所で学んだことは、「『普通』はない」ということ。
洗面所の床からお風呂の床は何cm下に設計すればいいのだろうか?普通は何cm?新人の女の子のそんな疑問にも事務所の先生は答えてくれない。

「あなたは何cmにしたいの?大事なことは、なぜそうするのか、そうすることでお客様にとって、施工側にとってどんないいことがあるのか。それを考えることが大切。あなたがいいと思えば1cmだろうが1mだろうがそうすればいい」と。それはショッキングな言葉ではあったが身にしみた。以後、「『普通』というものはない」を座右の銘として、日頃の仕事に生かしている。

そこで学んだ既成概念にとらわれない発想は、以降「キッチンに吊戸棚がなくてもいいじゃない?和室に障子がなくてもいいじゃない?猫だけが通れないドアがあってもいいじゃない?コンセントの差込は下の方になくてもいいじゃない?」と自由無限に広がっていって、よりよい住まい作りに貢献している。


常に肌身離さず持ち歩く商売道具メジャー。長年愛用する仕事のパートナーだ。

徹底した顧客目線を学ぶ

その後就職したリフォーム会社で学んだことは、徹底した顧客目線だった。クレーム産業であったリフォーム業界がそこから脱却するためには、まず顧客目線に徹すること。リフォームの作業は、ユーザーが生活をしている中に入って行う。だからこそ「笑顔で接する」、「清潔感を重視する」など、小さな心配りをおろそかにはできない。少しずつ工夫を重ね、信頼を得ていくことの大切さを学んだ。独立してからは業者側にそういったニーズやノウハウを伝え、業界全体が信頼を得ることに貢献し、少しずつ実を結びつつある。

「ペットと住む家は、一生追求したいと思っています」と語る動物大好きYuuさん。

車椅子生活1年間で見えたもの

さて、10年以上いたリフォーム会社をやめ、独立することになったYuuさんに、生涯の転機となる事件が起こる。階段から落ちて、1年間の車椅子生活を余儀なくされたのだ。

全く今までと違う目線での暮らしを1年間体験したことは、その後の住まい作りに大きな影響を及ぼした。対面式のキッチンは行き止まり。車椅子ではUターンできなかった。カーペットの隅の小さな段差ではつまづき、起きることができなかった。今まで良いと思っていたことをまた壊して、一から考え直す作業が必要となった。


車椅子生活1年間は、Yuuさんの人生にとって大きな転機となった。

「あなたが教えてあげて」

もうひとつ、車椅子生活によって大きな転機が訪れた。独立したばかりで怪我をしてしまい、車椅子で家に閉じこもっていたときに、たまたま友人のリフォームの相談に乗ることとなった。
そのときに、自分にとっては当たり前のことを全くユーザーは知らないという事実を思い知る。今では多くのユーザーが知っている「相見積もりをとる」、「サンプルを取り寄せる」といったことを当時のユーザーは全くと言っていいほど知らなかった。
ちょっとした知恵や行動で、リフォームの余計な費用がかからずにすんだり、ユーザーの満足度が大いに変わったりする。
「それ、みんな知らないと思うよ。教えてあげたら?」。友人の一言がきっかけとなり、ホームページビルダーを購入、2週間ほどで一気に作ったのが、「リフォームのホント・裏話」というホームページだった。元気に外に出て働いている状態では、忙しくてそういった時間を捻出するゆとりはなかっただろう。
そのホームページが評判を呼び、マスコミにも紹介されるようになりAll aboutの目にとまり、ガイドのオファーがきた。2001年のことである。
そこからYuuさんの「リフォーム情報の発信」という仕事が始まることとなる。

ひとりで作ったサイトが注目されることになる。

業界とユーザーの蝶番の役目を担う

現在Yuuさんが業者・企業側に行っている仕事は、企業向けのリフォームコンサルタント。
リフォームでユーザーに満足をしてもらうための人材の育成、ツールの作成、お客様にリフォームをアピールするための小冊子の作成やメーカーのリフォーム商品の監修と開発などである。
一方、ユーザーに向けては、ガイド記事や著作、講座セミナー、テレビ、ラジオ出演などを通して満足のいくリフォームについての情報を発信する。
まさに、業界とユーザーのどちらもハッピーになれる蝶番の役目を担っているのである。

ガイドを始めることで仕事の依頼が増えたこともあるが、ガイド同士のつながりができたことも今の活動にプラスとなっている。
最近では、「積算資料ポケット版・リフォーム編」(発行 一般財団法人経済調査会)という本の編集に関わることができた。これもガイドの横のつながりから来たもの。
「積算資料」とは昔からあった業界のプロのための本である。見積もりの標準費用が書かれた業界プロが費用を算出する際の目安となるもので、これを一般ユーザーが見ることはなかった。
しかし、新たに作った今回の本は、素人でも読みやすくし、業者とユーザーが一緒に見ながら見積もりをしていくことを可能にした。これも一つの常識破り。真に業界とユーザーのためを思う心意気が形となったものだ。


積算資料ポケット版リフォーム編は、業界の常識を破った1冊。 どの本も、リフォームをする前にしっかり読み込みたい。

家は生活を変える。人生を変える

リフォームとはなんだろうか。
Yuuさんは「壊れたものを直す、穴を塞ぐのがリフォームではない。これからの時間、未来、そう最低20年間、自分や家族はどう暮らすのかを考え、その暮らしに合うように家を変えるのがリフォームなのです」という。
それが、Yuuさんの提唱するリライフ・リフォームの考え方だ。とてもポジティブで、将来に向けての自分自身の希望まで感じられるような考え方だ。
なぜ、希望まで感じられるのだろうか。
「穴を塞ぐのにお金をかけなければいけない」より「これから20年、こんな暮らし方をしていきたいから、この家をそれに合うように変えるためにお金を使おう」の方がずっと楽しいからではないだろうか。自分のこれからを考え直すいい機会にもなり、パッと目の前が明るくなる。

実際このリライフ・リフォームについて講座で語ると大変反響があり、「目からウロコが落ちました」といった感想が多く寄せられるという。

初心を忘れず、情熱を持ち続け、リフォーム業界からクレームをなくすという壮大な夢にYuuさんは着実に一歩一歩近づいている。

文/むなかたようこ 写真/平林直己
取材協力:東京ガス 横浜ショールーム
http://home.tokyo-gas.co.jp/showroom/tys/
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