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かつては、お金があればあるだけ使う、貯まらない生活。 だからこそ、貯められない人の気持ちがわかる【お金を貯める体質改善ノートガイド 横山 光昭】

借金問題の根本は家計の改善にあるのではないか―。自身の貯められなかった経験をもとに、ファイナンシャルプランナーの資格をとり、家計についてもアドバイスするようになった。家計を再建する横山光昭の原点。

All About【お金を貯める体質改善ノート ガイド 横山 光昭】

横山 光昭(よこやま みつあき) 司法書士事務所を経て、「家計再生コンサルタント」として独立。ファイナンシャルプランナー(以下FP)の資格をもち、債務整理に関する知識を活かしながら、「家計の負債」を中心とした家計相談を行っている。 著書に「年収200万円からの貯金生活宣言」(ディスカバー・トゥエンティワン)他がある。

お金が貯められない、劣等生だった

家計再生コンサルタントとして、家計の負債を中心に家計相談を行っている横山さん。けれど、かつての横山さんは「お金が貯められない人」だった。

今から17年前、普通のサラリーマンだった横山さんは結婚するも、お金があればあるだけ使っていたという。

「当時、看護師の妻と共働きだったのですが、欲しいものがあれば、次々とカードで買い、貯蓄はゼロ。お金の劣等生でした」

にもかかわらず、新婚3ヵ月目に、転職先を決めずに会社を辞めてしまう。自己都合で辞めたので、すぐに失業保険もでない。いきなり家計はピンチに陥った。

「このとき妻が涙ながらに、へそくり100万円を渡してくれたんです。それから、私のお金に対する意識が変わりました。この限られた100万円は絶対に大事に使わなければいけない。そう思って、家計簿をつけはじめたのもこの頃です」

クレジットカードは1枚のみ。財布は仕事用とプライベート用を使い分ける

借金に苦しむ人々との出会い

奥様のへそくりで、なんとか生活を凌ぎ、司法書士事務所に再就職。ここで、借金に苦しむ人々を法律に基づき支援した。

けれど、自己破産をした人が再び事務所へ訪れるケースを何度も目の当たりにする。

「自己破産をした人が涙を流しながら“これからはがんばります”と言っていたのに、1~2年すると、また事務所を訪ねてくるんです。私は彼らの問題を解決したと思っていたけれど、実はそうではないことに気づきました」

法的な手続きだけでは、解決ではなく処理になっている。借金問題の根本は家計の改善にあるのではないか―。そう思った横山さんはファイナンシャルプランナー(以下FP)の資格をとり、自身の貯められなかった経験をもとに、家計についてもアドバイスするようになった。家計を再建することが借金問題の解決につながっている、確かな手応えを感じていった。


司法書士事務所で働いていた頃。現在は6人の子どもの父親でもある

弁護士の先生方に受け入れてもらうまでに…

司法書士事務所に5年勤めた後、FPとして独立。けれど、これまでのFPとは違い、借金で苦しい状況にある人を家計から再生させていくことをメインにし、「家計再生コンサルタント」という肩書も作った。

しかし借金の相談というと、それまでは基本弁護士の業務。そのため、快く思っていない先生方もいたという。「私は借金の部分も含めて家計だと思っているので、借金を建て直すお手伝いという点では先生方と同じだという思いがあったんです。だから、FPとして、家計の面から借金問題に悩む人々をフォローしました」

また、相談にきてくれる人は、弁護士費用のほかに、自分のところでの相談費用もかかっているので、絶対に損はさせたくない、変わってもらいたいという思いがあった。とことん相談にのり、必死でアドバイスを行うにつれ、横山さんがアドバイスをした人たちは、確実に変わる、しっかりと返済している、と評判になっていった。今では弁護士の先生方も認めてくれているという。


カウンセリングでは、ノーネクタイ&ノージャケットが横山スタイル

著書「年収200万円からの貯金生活宣言」が爆発的なヒット

独立して2年たった頃、ちまたでは借金に関する本が話題に。そんなとき、横山さんのホームページをみた出版社の方から声がかり、1冊目の著書を発行することになった。その後、3冊目に出版した「年収200万円からの貯金生活宣言」が17万部のベストセラーに。

「あの本に記したことは、実際に相談にきた方にアドバイスをした、私の経験に基づく方法をまとめただけなんです。お金を貯められない、お金の問題児さんたちが実践して成功した方法なので、一般の方にも受け入れられたんだと思います」

この本のヒットにより、一気に知名度は上がった。けれど、相談にきてくれた方とはフラットに接し、つながりを今でも大事にしている。「家計が落ち着いた人たちは、100万円貯まった貯金通帳や現金で買った車を見せにきてくれたり、購入した家の写真を送ってくれることもあります。そういった報告がなによりも嬉しいですね」


「年収200万円からの貯金生活宣言」がベストセラーとなり有名に

2年間綴った家計簿で知った、お金の価値感

横山さんにとって、家計簿の存在は大きい。無職になった頃、2年間家計簿をつけたことで、自身のお金への価値感がわかり、貯蓄もできるようになった。

「家計簿をつけると、自分のお金の全像やその流れだけでなく、お金の価値感もわかってくるんです。たとえば私の場合、同じ金額でも、家族での外食費用ならいいけれど、通信費にはかけたくなかったり。自分の中のお金の価値感がわかってくると、どこを節約すればいいのかも見えてくるので、貯蓄にもつながるんです」

また、横山さん曰く、家計簿にはその日の気持ちを記すことも大事。「数字だけを記すと味気ないし、続かないものです。自分の気持ちを簡単なことでもいいので記しておくと、自分との対話にもなるし、あとから振り返ることで、自分自身もみえてきます。私も数字だけを記していたら3日坊主になっていただろうし、そもそも数字だけで続く人は、お金に対してしっかりした人ですね(笑)」

現在、北海道と東京を拠点に活動。キャリーケースは仕事の必須アイテム

お金の使い方やオープンに話せる場を提供したい

これまでに家計再生のお手伝いをした方は5400人以上。今後も、お金が貯められない方々のフォローを一人でも多く行い、さらにお金の基本的な使い方も伝えていきたいという。
「日本は昔からマネーリテラシーが低く、クレジットカードやリボ払いなど、お金に関するあたりまえのことを知らない人も大勢いると思うんです。だから、大人はもちろん、高校生や大学生にもお金の基本的なことを伝えていきたいですね」

また、お金の話はどうしても周囲の人にしづらいので、お金について広く話せる場を提供したいとも。

「私はお金を貯めたり、お金が好きだと口にしてもいいと思うんです。貯金があるほうが責任があると思うし、大事な時のための貯蓄はケチではないですから。そういった考えも広めながら、お金についてオープンに意見交換ができる場を作っていきたいですね」
文/山本初美 写真/金田邦男
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