専門家

すべての夫婦に「離婚」の危機はあり、「修復」の可能性が広がる。 幸せを目指し、前に進む勇気をもつための ノウハウを伝えます。【離婚ガイド 岡野 あつこ】

「離婚」ガイド岡野さんの人生は、波瀾万丈だ。36歳で離婚し、その辛さを味わう。その後23年間で、「離婚カウンセラー」として26,000件以上の夫婦にアドバイスし、幸せを提供し続ける。当初は、それまでなかった「離婚ビジネス」に対し批判を浴びたこともあったという。多角的に離婚ビジネスを広げる岡野さんにお話を伺った。

All About【離婚ガイド 岡野 あつこ】

夫婦問題を解決に導くライフアップカウンセラーのパイオニア。特に離婚問題においては22年間で25,000件以上の相談を手がけ、どうしたら幸せになれるか親身にアドバイス。的確で歯切れのよいコメントは、テレビ番組・ラジオ・講演などでも、多くの人の共感を得ている。

「時代」を敏感に察知し、即行動

南青山のオフィスに伺うと、岡野さんはテレビ局との打ち合わせの最中だった。てきぱきとオフィスのスタッフに指示を出している姿が印象的だ。

岡野さんは現在、離婚カウンセリング、離婚カウンセラー養成事業、結婚相談所、マリッジカウンセラー養成、心理カウンセラー養成、良き出会いのプランナー育成などなど多角的に事業を展開している。

岡野さんの事業の成功の理由のひとつは「時代を察知する嗅覚と行動力」と言っていいだろう。
「これだ」と思えばすぐやる。失敗すればすぐ撤退。すべてが早い。
「私が離婚をしたのは36歳のときでした。人生の再スタートの時期が遅かったから、人の1.5倍速でやらなくちゃと思ったのね」

ブティック経営や保険会社勤務などを経て離婚ビジネスへと事業を絞っていたのは1991年のこと。当時はまだなかった「離婚ビジネス」というアイデアは、「人の不幸をビジネスにするなんて」と批判も浴びたとか。

「でも、自分が離婚をしたときに『こんなものがあればいいのに』と切実に思ったものをひとつずつ具現していったにすぎないんですよ」と岡野さんは言う。

最初の結婚が破たんしそうになったとき、岡野さんはもっと結婚生活を修復するための相談がしたかった。同じ経験をした人の話も聞きたかった。占い師、宗教家、弁護士のところにも行った。しかし、誰も岡野さんが満足できる情報やアドバイスをくれなかった。

その経験があって、「自分のような経験をしないですむように、人の気持に添える相談をする場所を自分で作ろう」と考えた。
「行動せよ。失敗することもあるけれども、それを乗り越えることで知恵も力もついてくる」と、岡野さんは自らの人生をもって、それを教えてくれる。


最初の離婚のときの元夫の書いた書類の山。これを見ると、もっといい男に出会いたいというモチベーションにつながる

親身になって、幸せ探し

「行動力」の次に、岡野さんの魅力は「親身になれる愛」だ。

「離婚したい!」といきりたっている人、「修復したい」と涙ぐむ人、様々な人が岡野さんのもとを訪れる。「『離婚したい』という人と、『修復したい』という人は、一見真逆に見えますが、実は全く同じなんですよ」と岡野さん。「どちらの人も、『幸せになりたい』んです。だからうちに来た人の幸せになるお手伝いを私はしているんです」

進むべきは離婚への道なのか、修復への道なのか。まずはじっくりと話を聞く。そして相談者の気持ちを受容する。それから現実をひとつずつテーブルの上に乗せていく。

「もしかしたら、旦那さんはこんな風に思っているんじゃないかしら?」
「お子さんの気持ちは、実はこうかもしれないわね?」
「養育費のほかに収入はどれくらいになりそう?」

離婚をして経済的にどうやっていけるのか。実際に電卓をはじきながら収入と支出の計算をしていく。
感情と現実を別々にして、一つひとつ検証する。幸せのゴールがどこにあるのかを探していく共同作業を経て、最終的に結論を出すのは相談者だ。離婚なのか修復なのかゴールが決まればあとは進むだけだ。

こうして一人ひとりの気持に寄り添いながら、ゴールまで伴走するモチベーションは何か。

岡野さんによれば離婚のカウンセラーは、どれだけ傷ついたことがあるか、その自分を自分で大切にできたかに尽きると言う。そうでなければ人に共感できない。

「私は一度目の離婚でとても傷つきました。それを乗り越えて、人に元気と勇気を与えて来た。昨年、また離婚して傷ついたことで、さらにバージョンアップできたと思っています(笑)」

岡野さんは傷つくことを恐れない。傷つく。落ち込む。降りかかった火の粉を振り払う。そしてそこから立ち上がる。「そんな自分が好きなのかも」と笑う。そんな岡野さんを、多くの傷ついた人が頼りにする。


1995年に出した1冊目の本。当時、離婚の本はあまり出ておらず、1週間で増刷した


1995年に出した1冊目の本。当時、離婚の本はあまり出ておらず、1週間で増刷した


「私は離婚しました。でも今幸せ。けれどもたとえ修復したとしても今幸せだと思う。要は心のもちようなんです」という言葉は説得力がある

トレンドを切り取り、多角的に「離婚」を書く

All Aboutのガイドは2001年からスタート。もともと新しい物好きの岡野さんが、海外から新しいウェブサービスが来るというので、興味を持ち人のツテを頼って立候補。前担当者が辞めたのを機にガイドとなった。

岡野さんの場合は、検索キーワードやトレンドなどから予測されたお題を編集部から提示されることが多い。「養育費について書いて下さい」「先日離婚した芸能人について記事を書いてください」と言った提案にこたえる形で記事を書く。

「自分が好きなように書いている本とは違って、世の中のニーズにぴったり当てはまっているお題を与えていただけることは、時代のトレンドを知ることにつながります。ありがたいですね」と岡野さんは言う。

「離婚」ガイドといっても「離婚」を推奨したり、単なる離婚の手続きを書いているだけではない。離婚を防ぐためにできること、実際離婚すると起こることが様々な角度から書かれ、どんな人でも興味がもてるような記事構成になっている。どんな性格の夫婦にでも離婚の危機はあり、修復の可能性があるからだろう。

幅広い視点からの記事は、23年間の離婚相談案件26,000件以上の相談を受けてきたという実績なくしては書けないものだ。


「離婚しないにこしたことはない。したほうが幸せになるならすればいい。本当にしたほうが幸せになるかは、よく考えないといけません」

活力の素 郷ひろみでGO!

カウンセラーの仕事は、精神的なストレスが大きいと聞く。岡野さんはどのようにオンオフを切り替えているのだろうか。
ひとつは郷ひろみ。

「だってあなた、ひろみはすごいですよ。あの年であの若さや美を保つ努力は尊敬に値します」。お友達にならないのか聞いてみると「ならないの。だってお友達は『ひろみさん』って呼ぶけれど、私は『ひろみ』って呼んでいたいから」と岡野さんは少し顔を赤らめた。

自分でパワーが落ちていると感じるときは、部屋でピンクのジャケットを着て郷ひろみのDVDを見ながら「男願Groove」を熱唱して踊って、元気パワーをチャージする。
もうひとつは、運気UPのための方位取り。

生年月日から割り出して、自分にとってのいい方向にいい日に行くと運気が上がるという方位取り。距離や時間によって行けるタイミングが合えば、即行く。

たとえば、「今日は北に4キロの方位がよい」と言う日に時間が空いていればタクシーにサッと乗って4キロ先に出かける。そして、居心地のいい喫茶店でぼーっとしていることもあれば、ネイルサロンやサウナに入ることも。いつも走り続けている岡野さんにとって、何にも代えがたいゆったりとできる時間だ。距離は、近ければ4キロ。遠ければ外国まで行くこともあるとか。サッと飛行機に飛び乗り、あっという間に現地でも友達を作ってしまう。そればかりか現地の物価や金利を調べて、将来住めるかどうかまでリサーチしているというから、やはり並ではない行動派のようだ。


これぞ、岡野パワーの源。郷ひろみのDVD。歌って踊れば元気もりもり

もっともっと女性を幸せに

これからの活動について伺った。

「2020年の東京オリンピックまでに、1億円くらいお金を貯めて政治家になろうかしら」と夢を語る。
お金がいかに大切か身に染みている岡野さんは、政治家になって、女性がたとえシングルであってもたくましく活躍できる仕組みを作りたいという。その夢は、壮大だ。まだ誰も思いつかないような大きな枠組みの考え方が必要だろう。でも岡野さんならやれるかもしれない。

なぜなら、今までもいつでも「人が誰も考えないようなこと」「最初は非難されるようなこと」に目をつけ、作り、広げてきたのだから。

そして、いくつかの小さな失敗をしたとしても、バージョンアップさせたその仕組みのおかげで幸せになった人がたくさんいることは、紛れもない事実なのだから。


「一時預かりなんて小さな支援ではなくて、もっと大きな支援ができないかしら」。子どもがいても女性が活躍できる場を創りたいと願う
文/むなかたようこ 写真/平林直己
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