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もっとブッフェは楽しめる。マナー、楽しみ方、魅力を多角的に伝えて「食」の幸せを追求する【ブッフェ・食べ放題・バイキングガイド 東龍】

東龍さんが過去に行ったブッフェ数はなんと3,500!2012年にAll Aboutガイドになり、あっという間に人気はうなぎのぼり。その原点を探るとともに、ブッフェの魅力や最新事情などを伺った

All About【ブッフェ・食べ放題・バイキング ガイド 東龍】

東龍(とうりゅう) ブッフェ店の知識を競う、テレビ東京「TVチャンピオン」の「食べ放題通選手権」に2002年と2007年に優勝。テレビや雑誌で活躍。「すみれ草201」(http://www.sumire201.com/)を主宰。

原点は、家庭料理にあり。

原点は、家庭料理にあり
台湾出身で東京育ちの東龍さん、幼い時から家庭料理と言えば、大皿にたくさんの料理が出て、自分でとって食べると言うスタイルだった。ほわほわと立ち上る湯気。食べきれない山のようなごちそう。自分で好きなものを取るワクワク感。家族の笑顔。そんな食のシーンの中で育った東龍さんが、食べるものが大好きで、ブッフェが大好きになったのも当然なのかもしれない。

高校時代は、部活動などの集まりで食べ放題によく行っていた。けれども、よく行く食べ放題の店は、凍ったままの肉が出たり、薄いドリンクだったりしたため「食べ放題=安くてまずいもの」という認識だった。

ところが、あるとき入ったブッフェレストランが、凍っていない肉で、惣菜もきちんとあって、とてもおいしかった。「ブッフェっておいしければ、お得じゃないか!」と、東龍少年は衝撃を受ける。

おりしも時代は東京ウォーカーができて、グルメ大衆化時代に突入したころ。若者の食欲をあおるようなスタイルで、毎週次から次へとおいしそうな店が紹介される。食欲旺盛な若者がじっとしていられるはずもなく、毎週のように雑誌を片手に食べに行っていた。そして20年近く。ブッフェの魅力にとりつかれた東龍さんが行ったブッフェの数は、なんと3,500にもなる。


「高校3年生の時に行ったしゃぶしゃぶブッフェがめちゃくちゃおいしかったので、価値観が変わりました」

いかに楽しむかを考える。それがブッフェの醍醐味

いったいブッフェにどれほどの魅力があるものなのだろうか。筆者にとってブッフェとは「お腹いっぱい食べないと元が取れない」とか「話の途中で中座しなければならず、落ち着かない」など、マイナスイメージだった。

ところが、東龍さんに伺うと様々なブッフェの魅力があふれ出てきた。

・たくさんあるものを全部食べなくてもいい。山のようなごちそうの中から、「今日は何を選ぼうか」と自分の気持ちとお腹に相談しながら選択していくのがブッフェの醍醐味。前菜、主菜、デザートとチョイスして、自分のリズムで食べることができる。もちろん、前菜、前菜、デザートでもかまわない。その時の自分にとって大切なことは何か、自分と相談しつつ選ぼう。

・ブッフェは、中座をしなければならない。が、初めてのデートや、まだよく知りあっていない間柄の人との食事など、それが、かえってガス抜きになって助かることもあるのでは?「こんなもの選びましたよ」「あ。それおいしそうですね」「それはどこにありましたか?」など、会話の糸口になったり、相手の選ぶものを見て、好みや癖がわかったりすることも。

・子どもとレストランに行くのは落ち着かないもの。でもブッフェなら適度に歩き回ることができ、じっとしていられない子どもと行くにはうってつけ。しかも3歳までは無料としているところも多いのでお得感もあり。

・3世代でレストランに行くときなど、祖父母の世代と若い者の世代とでは食べたいものが違って、店を選ぶだけで一苦労。けれどもブッフェなら量も料理もなにがしか食べられるものが見つかるはず。みんなが我慢せず、好きなものを食べられるのはブッフェならでは。

言われてみるとすべてがその通りで、いかに筆者を含め多くの人が、ブッフェについて誤解をしていたかがわかる。東龍さんは言う。

「なぜ、元を取ろうなんて思うのですか? そうではなく、いかに楽しむかということを考えましょうよ。今日はどんな組み合わせで食べようか。大好きな●●を2回食べようか。それともデザートに重点を置こうか。前菜、主菜、デザートとセットを作って食べる。何セット食べてもいいし、食べなくてもいい。前菜、前菜、主菜でもいいんです。お腹や時間と相談しながらうんと楽しんで食べてください」

軽やかでスマートな東龍さんのお話を聞いていると、元を取ろうなどと考え、皿を山盛りにし、血走っていたわが身を恥じ入るばかりである。

「そもそもレストランは、3割が人件費、3割が食材に費用を使っていると言われます。ブッフェは人件費をカットして食材に回しているのだから、実はお得なんですよ。そのなかでもカービングエリアで、肉を切ってくれるサービスなどがありますね。人件費をカットしている中でさらに人件費を使っているわけですからとってもお得なんですよ」

とのこと。あふれ出るブッフェの知識とその魅力についての話は尽きることがない。


東龍さんのチョイスした前菜、主菜のプレート。東龍さんは、食材をいつくしむように、彩りを考え、位置を確かめ、丁寧に皿に盛っていた。


「ホテルのブッフェなどではカトラリーを楽しむのもいいですね。僕はカトラリーも好きですが、なかなか買えませんからブッフェで存分に楽しんでいます」

読者も店も料理人も、みんながブッフェで幸せに!

ブッフェが大好きで様々なブッフェの味を知り尽くす東龍さんは、2002年と2007年にテレビ東京「TVチャンピオン」の「食べ放題通選手権」で優勝、一気に知名度があがった。現在もメディアには積極的に参加し、ブッフェの歴史や文化、その楽しさを伝えるために活動の幅を広げている。All Aboutガイドもその一環だが、ガイドになったことでさらに知名度がアップし、取材がよりやりやすくなったと感じている。

東龍さんが目指していることは、読者にブッフェの楽しさを知らせること、店側にたてばたくさん客が来て潤うようにすること。さらに、料理人の若手の育成に寄与したいと考えている。季節ごとのフェアや業界内のコンテストの審査委員などを頼まれれば積極的に協力し、若手のモチベーションアップに貢献する。それが業界全体の士気のアップにつながると感じるからだ。


10年来のお付き合いとなるウェスティンホテル東京の総料理長沼尻寿夫氏と。業界のレベル向上のためにお互い切磋琢磨する。

おいしくて当たり前。これからのビュッフェはサービス向上と芸術性がカギ

今後、ブッフェはどのように進化していくのだろうか。「二つの可能性があります」と東龍さん。

ひとつは、さらなるサービスの向上。帝国ホテルが始めた「バイキングコンシェルジュ」というサービスは「何から食べるか、お勧めは何か、食材の説明など」きめ細かな案内をしてくれるコンシェルジュを配置する。バイキング発祥の地である帝国ホテルが原点に返って考えたサービスに、東龍さんは期待をしている。

もうひとつは芸術性の進化だ。すでにスイーツでは見られるが、ビビットなカラーを使ったり、おしゃれ感を出すこと。芸術性があり、しかもおいしいことで顧客満足につなげる。

いずれもおいしいのは当たり前、その上さらにできることはないかと各店が知恵を絞る。東龍さんは、こういったお店のチャレンジ精神、真摯な姿勢を読者に伝え、情報を業界に共有し、業界全体のレベルアップに貢献したいと考えている。

「僕がそのためにできることは、取材をきっちりこなすことです」という東龍さん。取材では、メニューは一部だけではなくすべて載せる。写真も、食材の撮り方にはこだわる。さらに数多くのブッフェをまわっている、「慣れ」からその店の良さに気付かないことのないように、お客の動向に目を配り、そのブッフェのどこにお客が驚いたり感激していたか、つぶさに観察をして記事を書く。

お話を聞いていて、筆者が感じたのは東龍さんの「無私の姿勢」だった。ブッフェにかかわる人すべてが楽しく、幸せであれ、と自分はとことん謙虚なのだ。

今後はブッフェ以外のグルメについてもどんどん書いていきたい、まだまだ勉強不足なので地道に取材を続けたい、より広くグルメにかかわっていきたいと語ってくれた東龍さん。その極意は、「食が好き」「食を楽しめれば人生は楽しい」「みんなが楽しんでくれれば自分も楽しい」の3つなのだと感じ入った。


取材道具。カメラとPDA(携帯情報端末)。ブッフェの写真は、撮り方にはこだわるが一眼レフは使わない。デジカメでサッと撮ることで機動性を重視している。


取材協力 ウェスティンホテル東京 1階 インターナショナルブッフェレストラン「ザ・テラス」
文/むなかたようこ 写真/須藤明子
※本記事の内容は取材時点(2014年3月)の情報です。
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