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塩ヨーグルトに日本の伝統食を組み合わせたい そんな思いから塩ヨーグルトの漬け床は生まれました【エスニック料理ガイド 佐藤 わか子】

大ヒットとなった塩麹に続き、今、最も注目を浴びている万能調味料が、ヨーグルトに塩分を加える「塩ヨーグルト」。じつは、エスニック料理のガイド 佐藤わか子さんの著書『塩ヨーグルトをはじめよう』が、ブームの火付け役になっている。エスニック料理ガイド 佐藤わか子さんの原点。

All About【エスニック料理ガイド 佐藤 わか子】

佐藤 わか子(さとう わかこ) 栄養士の免許を取得後、メニュー開発する会社勤務。その後、独立。常に新しい味を追求するために海外でホームステイして家庭料理を学んでいる。また、テレビやラジオ、雑誌、インターネットなどで世界各国のレシピやレストランを紹介し、執筆活動なども行っている。自宅での料理教室「Wakka Kitchen」も主宰している。著書に『塩ヨーグルトをはじめよう』

トルコ料理店で万能調味料としてのヨーグルトの魅力に出会う

佐藤さんが、ヨーグルトに塩を加えるという調理法に出会ったのは15年以上も前のこと。トルコ料理店で食べた料理が初めてだった。

「それまで“ヨーグルト=甘くして食べるもの”だと思っていたので、焼いたお肉や野菜にヨーグルトがかかったものがでてきた時は衝撃的でした。口にしてみると、私の食味に合っていましたし、ヨーグルトと合わせることで素材の旨みがより引き立っていることに驚きました」

また、ヨーグルトを加えることでさっぱりとした味になる点にも共感を覚えたという。
これをきっかけに、各国のヨーグルトの調理法をとことん調べた。すると、中近東ではヨーグルトは塩やオリーブオイル、レモンの絞り汁などを加えて使う、まさに日本の醤油と同じ万能調味料だということがわかったと話す。


佐藤わか子さんの著書『塩ヨーグルトをはじめよう

甘いだけじゃない、万能調味料としてのヨーグルト

最初は各国の塩ヨーグルト術をそのまま再現して作り食していたが、次第に自分なりにアレンジをして家庭料理に取り入れるようになった。

また、各国へ出向き、いろいろなヨーグルト料理も食べ歩いた。なかでもブルガリアでは“ヨーグルトの旅”と題し、農家などにホームステイし、乳搾りやヨーグルト作りも体験。海外に行けば行くほどヨーグルト料理のおいしさと、その多様性を感じた。

日本でもこれだけヨーグルトが普及しているのに甘いだけの使い方一辺倒ではもったいない-。そんな思いが募り、塩ヨーグルトを一番好きな和食に活かすことはできないだろうかと考えはじめたという。


「私は昔から梅干しを漬けたり、お味噌を作っているのですが、中近東などで古来より受け継がれている塩ヨーグルトにも長年魅せられていました。あるとき、このふたつの伝統食を組み合わせたらどうなるだろうか、ヨーグルトの多様性が広がるのでは-と思ったんです。そう考えたときに、すぐに頭に浮かんだのが “漬けもの文化”でした」

塩ヨーグルト床を作って野菜を漬けてみると、ぬか漬けよりも簡単で、かつ短期間で野菜の旨みを引き出してくれることがわかったという。学生の頃から実験が好きだったこともこうじて、ヨーグルトに加える塩分量や素材、漬ける日数などを変えて何度も試作をしてマトリックスを書いた。そして、ようやく納得のいく塩ヨーグルトの漬け床が完成した。


塩ヨーグルトのレシピの数々「料理の幅が広がる! 塩ヨーグルト特集」


人のぬくもりが伝わるアイテムが好きだという佐藤さんの自宅キッチンには、現地で購入した手づくりの臼やお母様手づくりの木のかごが並ぶ。

エスニック料理への関心のきっかけは、マトン

現在、エスニック料理ガイドを務める佐藤さんだが、幼い頃から一風変わったものを食していたという。

「食に興味のある両親だったこともあって、普段の家庭料理として鶏のきんかん(卵巣)が入ったもつ煮や、いるかとくじらの肉を一緒に煮込んだものなども食べていました(笑)」

学生のときに栄養学を学んだ後、食肉を扱う大手食品会社に就職するものの、配属されたのは羊やいのししの肉など扱う輸入原料課だった。さらに佐藤さんが担当したのは 超マイナーな“マトン”。

「当時は、なんで私がマトン担当なんだろうって思っていましたが、今となってはなるべくしてな
ったんだと思っています」

まだジンギスカンも流行っていない頃、マトンを扱っていたのはインド料理店が中心。マトンを食べ歩くうちにスパイスの効いた料理を食べる機会が増え、次第にエスニック料理に惹かれていったという。

探究心から、エスニック料理ガイドへ

「もっと現場に携わりたい」そんな思いから転職したのは、メニュー開発や食の情報を提供する会社。毎年研修チームがニューヨークへ出向いて食のトレンドをみつけ、それを日本で仕掛けていった。

仕事内容は企画、メニュー開発、調理、撮影など、現場のすべてを行うというハードなもの。一人で1日20品ほど調理することもあった。また、流行っている飲食店や惣菜店に足を運び、その店のメニューの分析もした。すると、食のトレンドは意外にも郷土食や伝統食にシフトしていることを実感。

「私自身も、いろいろな国の料理を食べ歩くうちに、昔ながらの料理、伝統食がいちばん美味しいし、飽きずに食べられると感じるようになりました」

この思いが、佐藤さんのエスニック料理ガイドとしてのこだわりにつながっていく。

本来、エスニックとは“民族”という意味で、決して辛い料理ばかりではない。“エスニック=辛い料理”という日本人のイメージを払拭したいという思いからガイドになったと語る。また、佐藤さんがAll Aboutで紹介している店は、真摯な姿勢で昔ながらの調理法を守り続けている店舗のみだという。

「各国の料理店は自分たちの料理に誇りを持って、その味や調理法を守り続けて欲しい、そんな思いを込めて店を選んでいます。私は各国のストレートな味が好きですし、そんな味を提供してくれる人も好き。ふらりと訪ねて料理を口にして、お店の人と話しているだけで心が和むんです」

思いついたレシピはすぐノートに記す。何通りもの具材の組み合せを記したり、盛りつけを描くことも

和食を基調に、各国のエッセンスを加えた家庭料理を提案

海外でホームステイをして、その国の家庭料理を習ってくるのが佐藤さんのスタイル。20カ国以上体験した中で衝撃を受けた国のひとつがネパールだという。

「床は土で、水道も電気もなく、手食だったり…。生活はシンプルなのですが、調理法はとても丁寧だし、キッチンをすごく清潔に保っていたり、水やものを本当に大切にしている。食のありがたさや当たり前のことについて考えさせられました。暮らしの原点を見た気がします」

またホームステイをして感じるのは、どの国でも家族のために作る料理は、どんな有名シェフにも代えがたい妙味があるということ。それゆえに、佐藤さんの家庭料理へのこだわりは強い。

「私の根底には和食があり、各国の家庭料理を知るほど、和食への思いは強くなっています。あたたかく、食べ飽きないのが家庭料理。だからこそシンプルな料理で、素材の味を活かすことが大切だと思うんです。塩ヨーグルトにもまだまだ無限の可能性があるはずです。今後も和食を大切にしつつ、いろいろな国のエッセンスも取り入れて、ライフスタイルの変化に合わせた料理も提供していきたいですね。どんな料理でも共通することは “旬の素材をたくさん取りいれること”。小さい頃からまわりに畑がたくさんあり、山海の幸が豊富にある環境で育った私にとって、旬の素材、とくに野菜はなくてはならないものですから」

モンゴルでは移動式住居や大草原の村にある家に泊るなど宿を転々とし、様々な体験をしたという。
文/山口初美 写真/金田邦男
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