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ネイルを通してお客様の人生を盛り上げたい 信念と行動力で道なき道を切り開いたパイオニア【ネイルガイド 渡邉 季穂】

ヘア、ファッション、料理。試行錯誤を重ねてきた時代があったからこそいまの自分がある。すべての道はトータルビューティの空間創造につながっていた。トータルビューティーの世界の第一人者のひとり、渡邉季穂の原点。

All About【ネイルガイド 渡邉 季穂】

渡辺 季穂(わたなべ きほ) トータルビューティサロンuka代表、トップネイリスト。サロンワーク・撮影を中心に活動し、セミナー等の講師を務めネイリストの育成に尽力。各人の個性 を活かしライフスタイルをも考慮したナチュラルかつシンプルなネイルスタイルには定評があり、各界著名人やビューテイ関係者からの信頼は厚く、その活躍は 多岐にわたる。Ukaブランドのネイルオイルや2010年4月 東京ミッドタウン内にプロデュースしたオーガニックカフェukafe も高い人気を誇る。

ネイルには興味がなかった

ライフスタイルを反映したカラーリング、個性を引き立たせる洗練されたアート。渡邉さんが創りだす上品でシンプルかつナチュラルなネイルスタイルは、各界著名人やビューテイ関係者を始め、多くの人を魅了してやまない。
だが、そんな華やかなキャリアとは裏腹に、26才まで渡邉さんはネイルアートにはまったく関心がなかったという。

「よく昔から好きだったんでしょうと言われるんですが、ネイルは塗っていませんでした。ただし、爪でもテーブルでも表面が滑らかではないのが性格的にいやで、シールがついているとはがしたり、爪の回りが固くなると自分で噛んだりしていましたね(笑)。突起物が嫌いなんです」
ネイルに目覚めたのは、友人のスタイリストに誘われてのネイルサロン初体験がきっかけだ。プロの手による甘皮処理の完璧さを前に「手入れをすると爪はこんなにきれいになるんだ」と感動を覚え、ロングルアージュネイルスクールに通い始めた。

季穂さんご自身は、普段、ベージュのカラーを使い分けている。ニュアンスの違いが楽しい。

ネイルの仕事に必要な感覚を磨くための道のり

心にピンと来るものがあれば、即座にアクションを起こさずにはいられない。行動派の渡邉さんは、それまでもいくつもの学校に通っている。実家が美容室を経営していたこともあり、高校を卒業するとまずは美容学校に入学。その半年後には文化服装学院のスタイリスト科へ通い始め、メイクスクールや料理学校も経験し、資格も取得してきた。
いったい自分は何をしたいのか。自分が求めているものは何なのか。自問自答を繰り返し、将来を模索してきた渡邉さんの心を熱くつかんで離さなかったのがネイルの世界だったのだ。

「妹が脳腫瘍で亡くなり、父も喉頭がんを煩い、私が二人分がんばろうと決意したころでした。もうこれは運命の出会いだと直感しましたね。それまで私が学んできたことは、ネイルの仕事に必要な感覚を磨くための道のりだったように思います」

長年愛用しているネイルケアの仕事道具。思い入れのある品ばかりだ。

美容院内に設けた本格的なネイルサロン

ネイルスクール卒業後、渡邉さんは「ネイルはこれからの美容院には不可欠の要素になる」と父親を説得し、93年に厚木FILL店内に簡易なプチネイルサロンをオープンした。

だが、時代が早すぎた。ネイルに興味を持つ客は少なく、店のスタッフもネイルへの理解が薄かった。利用客は一人か二人。時間をもてあました渡邉さんは、母校であるロングルアージュネイルスクールの講師からの誘いで、アシスタントコーチとして勤め始める。

これが転機となった。間もなくネイルブームが到来し、生徒も増え始めた。プロの技とセンスを間近で見ては吸収し、講師の手伝いと練習に明け暮れる日々。

97年に渡邉さんは実家が経営する美容院が新しく開いた青山店にネイルサロンを開設した。3席だけだが、本格的なネイルサロンだ。「でも、最初の1年は閑古鳥で、1日4人体制で臨んだのに月の売り上げはわずか9万ほど。ただ、必ず支持を得られるはずだという確信はありました」

こよなく愛するシャネルのネイルカラー。一番のお気に入りはNo.18 ルージュノワール。

米国の専門誌「CREATIVE NAIL DESIGN」。ビジュアルに魅了され、修行時代から愛読している。

やがて時代が追いついてきた

確信を支えていたのは、ロサンゼルスで目にしたサロンの光景だ。ネイルを勉強し始めてから間もなく、渡邉さんは友人の紹介でロスで活躍する著名美容師を訪ねた。そこには、初めて見るトータルビューティの世界が広がっていた。

「美容院の中で、メイクからエステ、ネイル、ペディキュア、指圧までが受けられるようになっていました。隣のレストランからはサンドイッチもデリバリーしてもらえる。お客さんがみな笑顔でオシャレだったのが印象的で、以後も毎年のように視察に出かけています。青山店が軌道に乗るまでは何度も心が折れそうになりましたが、このロスのサロンを見ていたから、トータルできれいになれる素敵な空間は絶対に受けるはずだと信じることができたんです」   
強い信念は新たなチャンスを呼び起こす。女性誌「Oggi」の表紙撮影でモデルに施したネイルが評判を呼び、指名での依頼が殺到。店でのネイル利用客も並行して急増していった。青山店オープンから2年後には、ヘアと同時にネイルケアを行う「トータルビューティの空間」は業界では当たり前になっていた。

友人たちとの思い出の写真。人との出会い、つながりを何よりも大事にしたいという。

職人目線ではなく、お客様目線で

渡邉さんの挑戦はさらに続く。97年にエクセル東京ミッドタウン店をプロデュースし、09年にはブランド名をukaに統一。サナギの状態の女性が美しい蝶に変身する「羽化」を意味したネーミングだ。初めて開発したネイルオイル「uka」も、使いやすさと香りの良さでファンを獲得し、パリや香港、韓国、台湾でも発売されている。
「いつも”こんなのがあったらいいな”と考えてやってきた。職人目線ではなく、お客様目線でやってきたのが良かったんでしょう。これは記事を書くときも同じです。誰でもきれいになるとテンションが上がり、うれしくなる。これからもお客様の人生を盛り上げるお手伝いをしていきたいですね」

東京ミッドタウン内の店舗uka。清潔感あふれるナチュラルなトータルビューティの世界が広がっている。
文/山本初美 写真/金田邦男
※本記事の内容は取材時点(2012年5月)の情報です。
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