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女性の美しさを決めるのは何か? それが、私の探究心をくすぐりました【美しい姿勢・歩き方ガイド 長坂 靖子】

「ウォーキングなんて絶対にビジネスにならない」と周囲から言われた時代。なぜ彼女は、ウォーキングの専門家を志したのか。その「原点」を探る。

All About【美しい姿勢・歩き方ガイド 長坂靖子さん】

長坂 靖子(ながさか やすこ) ウォーキングトレーナーとして、講演会、執筆、テレビ、女性誌、企業コンサル等、美と健康をテーマに幅広く活動。代表を務める「日本ウォーキングセラピスト協会」は関東を中心に多数の教室を展開。室内で行うストレッチ教室はじめ、屋外で行うウォーキング教室とバリエーション豊かなカリキュラムにファンも多い。

「ミス日本」受賞が“美しさ”への動機

弱冠16歳で「ミス日本」に選ばれた長坂さん。この受賞が、ウォーキングや姿勢に興味を持つきっかけとなった。
「当時私は地方在住の女子高生で、華やかな世界とは無縁の環境にいました。勿論、お化粧もした事がありませんし、コンテスト会場の雰囲気と自分の存在に違和感を覚えました。
それでも私がミス日本を受賞できたのは、身にまとっているものではない“何か”で選んでいただけたからだと思ったんです」と長坂さん。それが不思議でもあり、“では、美しさとは何か?”ということに、興味を持つきっかけにもなった。
「お辞儀一つにも意味がある。振る舞いや歩き方でその人の印象が変わることがわかったんです」

長坂さんが「美」に対して目覚めるきっかけとなったコンテスト

結婚・出産で、“女として”終わる?

ミス日本やモデルとして活躍しながら、さらに数々のミスコンに選ばれ続けたが、22歳で結婚。今は、結婚・出産は女性の美しさに影響を与えるという考えはないが、ミスの時代は、25年以上も前の事。当時、“結婚したら、女性としての価値は終わり”という風潮を感じ、疑問に感じた。さらに出産で、大きな変化を迎える。「モデル時代に無理なダイエットを繰り返していたせいか、妊娠したら、一気に太ってしまったんです。一人目で13㎏、二人目では16㎏も!でも、それがきっかけで、年齢や出産による女性の体の変化に関心を持つようになり、体の勉強を始めました」
結婚と出産を経験したことで、女性の生き方や存在意義、女性の仕事、そして美しさと健康は、“つながっている”と確信するようになっていった。

体を負担にかける無理なダイエットではなく、日々の生活のなかでコントロールしていくことを意識しはじめた

言葉より雄弁に物語る立ち振る舞い

さらに、長坂さんの転機となったのが3年間のインド暮らし。「インドは、連邦公用語がヒンディー語、他に、憲法で公認されている州の言語が21あり、地方により言葉も異なり、外国人である私は言葉が通じない場面も多々ありました。言葉が通じなくても、元気がない、怒っている、楽しそう、という事は、姿勢や振る舞いを見れば大体わかります。その人の心や日常生活が体に染み込んで、その人の一挙手一投足に顕れる…そういう感じです。
これは日本に帰ったらすぐに研究をスタートしなくては、と思いました」

ミス日本で感じた、振る舞いと美しさの関係、結婚・出産で気づいた女性の健康と美しさのつながり、さらに、インドで知った、振る舞いは人生そのものを映し出す鏡だということ。さまざまな気づきにはひとつの接点があるように思えた。インドからの帰国後、長坂さんはスポーツ医学や医師などあらゆる専門家に学び、ばらばらだったキーワードがひとつにつながっていく。こうして長坂さんのウォーキングメソッドが誕生した。

生徒3名の教室から、全国80カ所へ

ウォーキング講師として始動したのは今から20年以上前。「当時は、“ウォーキングなんて絶対にビジネスにならない”と周囲から反対されました。でも、私はビジネスを始めたいわけではなく、女性が美しく健やかでいるための方法として、ウォーキングを広めたいと思ったんです」
しかし、熱意とは裏腹に、講師としてカルチャーセンターに売り込みに行くと散々な結果に。「歩くって一体何の教室?モデルじゃあるまいし。ウォーキングなんて(・・・)…と言われ、全く受け入れてもらえませんでした」
それでも長坂さんは、売り込みを続けた。「私が考案した、モデルの歩き方とスポーツウォーキングを融合させた方法は、女性の健康や美しさのために必ず役立つと自信がありました。でも、やっとの思いで取れた最初の教室は、生徒さんがたった3人でしたけど(笑)」。しかし、その後クチコミで評判が広がり、今では全国80カ所で講座を開催している。

現在では、長坂さんに憧れ、ウォーキングを習うだけでなく、同じく講師になる人も増えてきた

後押ししてくれる家族、母として

現在、大学生と高校生、二人の子どもを持つ長坂さん。子育てと仕事を両立していく中で、幾度も葛藤があった。ある時、悩んだ末に仕事をセーブすることにしたところ、娘さんに「ママにはお外で働いていてほしい」と言われた。「よく、お子さんがいてお仕事もするなんて大変ですね、と言われるのですが、全くそんなことはないんです。いつも子どもや夫が支えてくれて、背中をポンと押してくれる。今の私があるのは、家族のおかげです。たとえば、帰宅した時に上手とは言えないたたまれかたの洗濯ものがあったりするんです。幼い子どもたちが家事を手伝おうとしてくれた形跡なんですよね。それを思うと、嬉しくって思わず涙ができそうになっちゃう場面も日常のなかで多々あるんですよ」
家族に感謝したくなることが日々積み重なり、頑張ろうという力が沸いてくるという。

子育てをしながら自分の信じた道で仕事をし続け、靴のプロデュースなども手掛けるように

ウォーキングの専門家であり続けたい

現在、ウォーキング講師にとどまらず、著書の出版、雑誌やテレビへの出演、シューズやスポーツウエアなどの商品開発、ウォーキングインストラクター養成なども手掛ける長坂さん。「今、お仕事の幅が広がっているのは、単にウォーキングのメソッドを伝えてきたのではなく、私のスタートが“振る舞いが美しさと健康、さらには人生にどう影響するか”だったからだと思います」
かつては世間に受け入れられにくかったウォーキングの専門家という職業が、いまや定番化しつつある。「私の後輩や仲間をはじめ、ウォーキングの専門家が増えることは業界が活性化するので大変いい事です。それが人々の健康や美しさにつながっていくわけですから」
今後についてたずねると、おばあちゃんになることが夢だと語る。「孫が生まれても柔軟性を持って、常に新しいことにチャレンジしていく女性でありたい。“ウォーキング”というフィールドで、80歳、いや死ぬまで歩き続けていきたいですね(笑)」

「美人ぐせ」をキーワードに、歩き方や姿勢に関連するいくつかの商品をプロデュースしている
文/山本初美 写真/奈良英雄
※本記事の内容は取材時点(2012年1月)の情報です。
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