世界を席巻するか?日本の靴
さて、気になる日本の靴業界について聞いてみた。2009年年末に「紳士靴、この10年を総括する」という記事を書いた飯野さんは、その後もその記事を基準に「あれから○年たったが、どうだろうか?」といったスタンスで業界を眺めているという。
「実は日本の靴業界、この5年はとてもむずかしい状況の中、いい流れも出てくるようになっています」と飯野さん。
聞けば、1990年代に職人になった人たちは、世の中が豊かになり、外国のいい靴をたっぷり見て吸収してきた世代。その世代に代替わりしてきたことで、木型もパターンも洗練されてきた。「いいものを生み出そう」という確固とした意思も感じると言う。
緻密で丁寧な手仕事を得意とする日本人にとって、靴作りは合っているとも言える。職人の差による個体差は、海外のものに比べて圧倒的に少ないという。
「いつか日本の技術が世界のトップに躍り出ることも可能なのではないでしょうか」とうれしそうに語ってくれた。
インタビューを終えて、飯野さんはまさに「日本の靴業界、そして靴のユーザーの守破離を見守り、関わっていくガイド」と感じた。まずは基本を守ること。知らないユーザーには基本を教え、上級者にはぶれない基本を思い出させる。
基本の型を知っていれば、型を破ることも可能なのだと型破りな若者たちや機動力のある小さなブランドの活躍ぶりに目を細める。そして、さらにその上を目指すのも不可能ではないと道を示す。
その上とは、日本の靴業界が進化して、イギリス、アメリカ、イタリアのそれらと対等に渡り合い、国際的な評価を高めていき、日本の靴が輸出産品として成り立っていくという「夢」だ。
どうやって、今までの職人さんの技能を継承していくか、どうやってクオリティの高い材料を調達していくか、靴業界にも問題は山積している。しかし、その日が来るまで飯野さんは東奔西走、ピシと磨き上げられた靴を履いて業界全体のレベルアップのために走り回っていることだろう。
日本の靴業界が世界トップの実力を持つようになったとき、ユーザーもまた「自分に合う靴は何か」「どうやって自分にとっていい靴にしていけるのか」を考えられる賢さを身に着けているのかもしれない。
「実は日本の靴業界、この5年はとてもむずかしい状況の中、いい流れも出てくるようになっています」と飯野さん。
聞けば、1990年代に職人になった人たちは、世の中が豊かになり、外国のいい靴をたっぷり見て吸収してきた世代。その世代に代替わりしてきたことで、木型もパターンも洗練されてきた。「いいものを生み出そう」という確固とした意思も感じると言う。
緻密で丁寧な手仕事を得意とする日本人にとって、靴作りは合っているとも言える。職人の差による個体差は、海外のものに比べて圧倒的に少ないという。
「いつか日本の技術が世界のトップに躍り出ることも可能なのではないでしょうか」とうれしそうに語ってくれた。
インタビューを終えて、飯野さんはまさに「日本の靴業界、そして靴のユーザーの守破離を見守り、関わっていくガイド」と感じた。まずは基本を守ること。知らないユーザーには基本を教え、上級者にはぶれない基本を思い出させる。
基本の型を知っていれば、型を破ることも可能なのだと型破りな若者たちや機動力のある小さなブランドの活躍ぶりに目を細める。そして、さらにその上を目指すのも不可能ではないと道を示す。
その上とは、日本の靴業界が進化して、イギリス、アメリカ、イタリアのそれらと対等に渡り合い、国際的な評価を高めていき、日本の靴が輸出産品として成り立っていくという「夢」だ。
どうやって、今までの職人さんの技能を継承していくか、どうやってクオリティの高い材料を調達していくか、靴業界にも問題は山積している。しかし、その日が来るまで飯野さんは東奔西走、ピシと磨き上げられた靴を履いて業界全体のレベルアップのために走り回っていることだろう。
日本の靴業界が世界トップの実力を持つようになったとき、ユーザーもまた「自分に合う靴は何か」「どうやって自分にとっていい靴にしていけるのか」を考えられる賢さを身に着けているのかもしれない。
「どうしたらもっと自分にとっていい靴になるのか自ら考えてほしいんです。そうすればもっと奥深い靴の愉しみを知ることができるはず」 |
エドワードグリーンの外羽根式プレーントウ。 工場売却の絡みで1990年代後半に木型と型紙をモデルチェンジしたが、これ以前の工場で作られたもの。 |
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文/むなかたようこ 写真/平林直己
※本記事の内容は取材時点(2014年2月)の情報です。
※本記事の内容は取材時点(2014年2月)の情報です。
紳士靴、この10年を総括する! その1 [男の靴・スニーカー] All About
年末にかけての2回に渡り、西暦2000年頃からの紳士靴の10年を振り返ってみたいと思います。当時から大好きだった方も、それ以降に好きになられた方も必読です! まずは「あの国」の紳士靴から!
19世紀以降、紳士靴の規範を作り上げてきたイギリスの靴のこの10年について振り返る。
紳士靴、この10年を総括する! その2 [男の靴・スニーカー] All About
西暦2000年頃からの紳士靴の10年を振り返る後編は、フランスとイタリア、それに日本の靴について振り返ってみたいと思います。そして、これからの紳士靴の作り手とユーザーとの関係についても考えてみます!
こちらは、フランス、イタリア、それに日本の靴について振り返った。紳士靴の作り手とユーザーの関係についても考察
この2本は、飯野さんの靴に対するアプローチがぶれていないか、あれから○年たってみてあの国の靴事情はどうなのかなど、その時々で検証するマーカーとしての記事になっているという意味で、大切にしたい記事。
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