両親の姿と重なる、ドラマの中の「大人の叫び」
社員が大切にしている言葉を紹介する連載企画「Quotes」。第5回に登場していただくのは、制作部のジェネラル・マネジャー西川さん。マンガを原作としたあるドラマでの1シーンで発せられたセリフを紹介してもらいました。
■金より、いぶし銀
昔から、「人知れず」「陰ながら」「男は黙って」的な言葉や行動に、強烈な美しさを感じるのです。
同じ結果なら、有言実行より不言実行。
キラキラ輝く華やかさを放つ人より、いぶし銀的な強さを内に持つ人。
巨人なら篠塚。
「黙って努力しなさい、ちゃんと誰かが見てるから」と言われて育ってそれが刷り込まれているので、少しの投資で大きなリターンを得るとか、最小のリソースで大きな成果を得るみたいなことにも違和感を覚えてムズムズします。どっかでバチ当たるわ、とビビってしまう。
つくづく、ビジネスに向いてない。
同じ結果なら、有言実行より不言実行。
キラキラ輝く華やかさを放つ人より、いぶし銀的な強さを内に持つ人。
巨人なら篠塚。
「黙って努力しなさい、ちゃんと誰かが見てるから」と言われて育ってそれが刷り込まれているので、少しの投資で大きなリターンを得るとか、最小のリソースで大きな成果を得るみたいなことにも違和感を覚えてムズムズします。どっかでバチ当たるわ、とビビってしまう。
つくづく、ビジネスに向いてない。
■クセの強い父、両親の思い
私の父はごく普通のサラリーマン。ただし、子どもの頃は、朝出勤するとき、姿が見えなくなるまで「お父さーん、行ってらっしゃーい!」と手を振りながら叫び続けないとスネるし、お酒に酔ってご近所の犬に吠えかかるし(家族総出で父を回収)、会社でも町内会でも暴言を吐くし、なかなかクセの強い昭和初期の男です。もちろん、大出世もしなかったし、モテ男でもイケメンでもない。気が利かないしデリカシーもない。
そんな父が、職場で出会った10歳も下の母(複数の男性からプロポーズされた伝説の花嫁候補。父と結婚が決まったときは振られた男性たちが集まって残念会を開いたという。※すべて本人申告)と結婚できたのは、父には“他人から見えにくく分かりにくい良いところ”が実はたくさんあって、それを母が見ていたからです。
父が暴言を吐くのは目上の人に対してのみで、部下には絶対的に優しかった(犬は別)。
部下のミスを責めず、黙って持ち帰って自分で処理していた。
7人兄弟の5男で、快く学校にも行かせてもらえなかったのに、両親にすごく尽くしていた、などなど。
そんな父が、職場で出会った10歳も下の母(複数の男性からプロポーズされた伝説の花嫁候補。父と結婚が決まったときは振られた男性たちが集まって残念会を開いたという。※すべて本人申告)と結婚できたのは、父には“他人から見えにくく分かりにくい良いところ”が実はたくさんあって、それを母が見ていたからです。
父が暴言を吐くのは目上の人に対してのみで、部下には絶対的に優しかった(犬は別)。
部下のミスを責めず、黙って持ち帰って自分で処理していた。
7人兄弟の5男で、快く学校にも行かせてもらえなかったのに、両親にすごく尽くしていた、などなど。
わざわざもう一度言いますが、父はごく普通のサラリーマンで大出世もしなかったし、他人とのコミュニケーションも独特でトラブルになりがちなので、両親にとってはきっと経済的にもメンタル面でも悩み多き子育て期だったはず。
それでも娘である私(と妹)に、不安を感じさせるようなことは何もありませんでした。
だから私は、習い事も、学費を出してもらうことも、学生時代のひとり暮らしや海外旅行の援助も当たり前だという感覚だったし、むしろ友達に比べて地味な生活でもOKの良心的な娘で、うちの親はラッキーだよね、くらいに思っていました。
でも、実はそんなに楽ではなく、両親はずっと必死だった。
妹が大学を卒業したとき、母は「子どもの学費を何とか出し終えた」という安堵感から高熱を出して寝込んだそうです。何も言わないから私がずっと知らなかっただけ。
両親はある意味、「子どもに余計な心配をさせない、ドーンと構えた親」を演じていて、それによって私も妹も安心して、好きなように生きてこられたわけです。
それでも娘である私(と妹)に、不安を感じさせるようなことは何もありませんでした。
だから私は、習い事も、学費を出してもらうことも、学生時代のひとり暮らしや海外旅行の援助も当たり前だという感覚だったし、むしろ友達に比べて地味な生活でもOKの良心的な娘で、うちの親はラッキーだよね、くらいに思っていました。
でも、実はそんなに楽ではなく、両親はずっと必死だった。
妹が大学を卒業したとき、母は「子どもの学費を何とか出し終えた」という安堵感から高熱を出して寝込んだそうです。何も言わないから私がずっと知らなかっただけ。
両親はある意味、「子どもに余計な心配をさせない、ドーンと構えた親」を演じていて、それによって私も妹も安心して、好きなように生きてこられたわけです。
■大人の矜持、新しい喜び
マンガ雑誌の編集部を舞台にした『重版出来(じゅうはんしゅったい)』というドラマがあります。
編集の仕事の面白さ、理不尽さ、理想と現実の乖離など様々な要素が描かれていて、特に私たちのように制作の仕事をしている人間にとっては、そうそう、そうなんだよ!!と膝を打つリアルがテンコ盛り。「いろいろあるけどとりあえず頑張ろう」と気持ちをチャージできる作品です。妙なラブストーリーが絡まないのもまた良し。
このドラマの中で、松重豊さん演じる編集長・和田が、落ちぶれてしまった往年の人気漫画家・牛露田(うしろだ)に対してこう叫びます。
編集の仕事の面白さ、理不尽さ、理想と現実の乖離など様々な要素が描かれていて、特に私たちのように制作の仕事をしている人間にとっては、そうそう、そうなんだよ!!と膝を打つリアルがテンコ盛り。「いろいろあるけどとりあえず頑張ろう」と気持ちをチャージできる作品です。妙なラブストーリーが絡まないのもまた良し。
このドラマの中で、松重豊さん演じる編集長・和田が、落ちぶれてしまった往年の人気漫画家・牛露田(うしろだ)に対してこう叫びます。
私ら大人は、子どもの前でカッコつけなきゃならんでしょう!!
もうヒット作は描けず、お金もなく、1人娘に無様な姿を平気でさらす牛露田を鼓舞する言葉です。同時に、自分も娘を持つ和田が、出版不況などで不安定な立場にいる今の自分自身に言い聞かせている言葉でもあります。
私の両親も、まさにこの気持ちだったんだろうな、と思います。
楽じゃない。それでも子どもにカッコつけることが、親の矜持。
そしてこれは、親と子だけでなく、上司と部下とか、先輩と後輩にも当てはまることなんですよね。
親も上司も先輩も、それほど賢くも立派でもない。迷いも不安も心配も、下手すると昔よりずっと増えて四苦八苦しているのです。それでも、子どもや部下や後輩にカッコ悪いところを見せずに、黙って頑張る。それによって子どもや部下や後輩が安心してくれたら、また頑張れる。
私の両親も、まさにこの気持ちだったんだろうな、と思います。
楽じゃない。それでも子どもにカッコつけることが、親の矜持。
そしてこれは、親と子だけでなく、上司と部下とか、先輩と後輩にも当てはまることなんですよね。
親も上司も先輩も、それほど賢くも立派でもない。迷いも不安も心配も、下手すると昔よりずっと増えて四苦八苦しているのです。それでも、子どもや部下や後輩にカッコ悪いところを見せずに、黙って頑張る。それによって子どもや部下や後輩が安心してくれたら、また頑張れる。
若い頃、親や上司や先輩を見ていて、あんなに忙しい思いをして、いろいろ背負って、たいした見返りもなさそうで、何が面白いんだろうと思っていました。
でも、自分が“大人”になった今、自分なりの矜持があれば、目に見える称賛や見返りとは別の新しい喜びが得られるんだなあと分かりました。
カッコつけなきゃならんのです。
でもコレ、悪くないんです。
でも、自分が“大人”になった今、自分なりの矜持があれば、目に見える称賛や見返りとは別の新しい喜びが得られるんだなあと分かりました。
カッコつけなきゃならんのです。
でもコレ、悪くないんです。
ーー今回登場した西川さんのインタビュー記事はこちら
経験と勘にデータという武器をプラス。クライアントの課題にクリエイティブで応えたい - About All About
2001年から、累計7000本近くのタイアップ広告を作り続けている制作部。2016年11月に営業部と一体の組織となり、その後、さらにプラットフォーム開発部も加わる「3部一体」へと進化した。制作部 ジェネラルマネジャーの西川陽子さんに、制作部の進化と部を取り巻く環境の変化と今後について聞いた。
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